福島県の高齢者の住みやすさ
時点の情報
東北地方の南部に位置する福島県。会津・中通り・浜通りの3エリアに分かれており、同じ福島県内でも場所によって気候が異なる点が特徴です。
会津若松市周辺の会津は史跡や古い町並みがあるため観光客が多く、バスなどの交通の便が充実しています。大型店舗や飲食店も点在しているため生活しやすいでしょう。
中通りエリアの福島市は県庁所在地でもあり、東北中央自動車道などの交通網が整備されているため、南東北の拠点となっています。いわき市周辺の浜通りは、寒暖差の少ない比較的温暖な気候のため、高齢者も住みやすいエリアです。一般病床数は全国平均を上回っており、医療体制も安心です。
福島県では健康長寿実現に向けて、高齢者によるコミュニティづくりを促すような取り組みを支援するなど、さまざまなサポートを行っています。東京から約200キロメートル圏内にあるため、首都圏に住んでいるご家族が面会で来る際は、比較的アクセスしやすいと言えるでしょう。
出典:会津若松市定住・二地域居住推進協議会「どこさ住んでみんべ」
出典:福島市「福島市はこんなまち」
出典:いわき市「いわき市のあらまし」
出典:福島県「福島県高齢者コミュニティづくり活性化支援事業補助金の事業選定結果について」
福島県の老人ホームの特徴
時点の情報
2020年の国勢調査では、福島県の介護施設数は全国の平均を上回っており、有料老人ホームやグループホーム、サービス付き高齢者住宅 (サ高住)などが点在しています。特別養護老人ホーム(特養)は206施設。有料老人ホームは157施設あり、県所管の有料老人ホームは54施設です。
福島県の有料老人ホームの入居時費用は全国相場と比べると安い傾向にあります。各地に点在していますが、比較的いわき市に集中しています。
サ高住は福島県内に121施設あり、家賃は3万円~13万円程度と差があります。共益費などを含めると、ひと月にかかる費用は安い施設で4万円程度、高い施設では18万円程度になります。居住面積は18㎡~80㎡と幅があるので生活スタイルや家賃などを考慮して、ご自身に合った施設を選ぶと良いでしょう。
福島県では「高齢者居住安定確保計画」を策定し、介護や医療が付加された安心できる暮らしの提供や利用者の需要に合わせた老人ホームの整備支援を実施しています。また、高齢者がより良いサービスを受けられるよう相談窓口を設置し、サービス向上に努めています。
出典:福島県「高齢者施設等一覧」
出典:福島県「高齢者居住安定確保計画」
監修

- 小菅 秀樹(LIFULL 介護 編集長)
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老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。
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福島県の高齢者の生活に向けた取り組み
時点の情報
おむつ費用のサポート
福島県では、市町村によっておむつなどの介護用品を配布したり、助成したりする制度を設けています。
例えば福島市では、病気などで寝たきりになった場合、医師よりおむつの使用が必要だと認められると、おむつ費用が医療費控除の対象となる制度が確立されています。毎年確定申告の際に、医師が発行した「おむつ使用証明書」を用いることで控除を受けられます。
その他、在宅療養中で、重度の寝たきり状態の方や重度の認知症の方に対して、紙おむつなどと交換できる「治療材料給付券」月額4,000円を給付。
伊達市では、在宅で要介護者を介護している方に向けて「家族介護用品給付券」を配布。市内の指定薬局にて、紙おむつや尿取りパットなどの介護用品と引き換えできるようになっています。
出典:福島市「医療費控除にかかるおむつ使用の確認について」
出典:福島市「治療材料給付券を交付しています」
出典:伊達市「家族介護用品給付券(おむつ券)」
医療体制の充実
福島県では、訪問診療などを行う診療所や病院数が減少しつつあります。在宅や介護老人福祉施設などで療養する方に向けての在宅医療と介護の連携は必要不可欠です。そこで、医療機関の確保や定期巡回・随時対応型訪問介護看護を強化する方向にあります。
具体的には、多職種連携による在宅医療提供拠点を整備し、質の高い在宅医療を効率的に提供するシステム構築に取り組んでいます。また、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護などを適切に行えるよう市町村での整備についてサポートしています。
その他にも在宅医療や介護連携推進事業を推進するリーダーを育成したり、ICTを活用することで多職種による情報共有が円滑にできるよう取り組んでいます。
出典:福島県「福島県高齢者福祉計画・福島県介護保険事業支援計画」
健康寿命を延ばす取り組み
これまで、後期高齢者に対する重度化予防の取り組みは行われておらず、主に健康診査でした。しかし健康寿命を延ばしながら病気の発症予防や重症化予防を行えば、効率的な保健事業を行える可能性があります。
そこで福島県では、要介護状態に陥る前段階のフレイル状態への対策を開始。フレイルは早めに気づくことで対処可能です。対処法としては、栄養バランスのとれた食事や適度な運動、孤独にならないよう社会参加を促すような方法があります。
また、フレイルの概念について知らない方がまだ多く、フレイルを知って早めに対処すると良いことの重要性をアピールできていません。そのため、フレイルの周知徹底や介護予防の取り組みを推進するために、市町村をサポートしています。
出典:福島県「福島県高齢者福祉計画・福島県介護保険事業支援計画」
自分らしく生涯を送れる地域社会づくり
福島県における高齢化率は31.3%で、75歳以上の高齢者人口は総人口の約16%を占めています。今後人口が減少することで高齢化率が上昇し、その上昇率は全国平均よりも上回ることが予想されます。
また、高齢者のみの世帯がますます増加する見込みです。そこで福島県では『すべての高齢者が、安心して、いきいきと、自分らしく暮らせる、地域でともに支え合う「ふくしま」』を基本理念として掲げています。
そこで、地域包括支援センターの機能を強化。介護する方が不安を感じたときにすぐに相談できる場所や、適切な機関につなぐ対応がスムーズに行えるよう体制を整備しています。
その他にも、高齢者が相談しやすいように高齢者総合相談センターを設け、医療や経済的な悩みを相談できるようになっています。地域包括支援センターでは対応できない法律相談など専門的なことも相談可能です。
出典:福島県「福島県高齢者福祉計画・福島県介護保険事業支援計画」