広島県の高齢者の住みやすさ
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「厳島神社」や「原爆ドーム」という世界遺産があり、国内外から多くの観光客が訪れる広島県は、14の市と9の町からなる中国地方最大の県です。都市機能が集約されているのは、県庁所在地でもある広島市。市内は、バスやJR、アストラムラインなど、公共交通機関が充実しています。さらに広島の玄関口でもあるJR広島駅の再開発が進められており、今後も高齢者や家族の暮らしも便利になっていくでしょう。
また、東広島市や呉市、福山市といったそのほかの地域も、それぞれ生活に便利な施設が充実しており、比較的どのエリアも住みやすいのが魅力です。
広島県内には商業施設やスーパーが点在し、日常生活の買い物にも困らないでしょう。人口10万人あたりに対する病院数・病床数は、全国平均を上回っています。医療体制が充実しているため、高齢でも生活を送りやすい環境です。
広島県の老人ホームの特徴
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広島県では総人口約277万人に対して、65歳以上の高齢者人口は約82万人と全体の約30%を占めています。広島市の高齢化率は約26%。県内で最も高齢化率が高いのは、安芸太田町で約52%となっており、人口の半数以上が65歳以上です。
高齢化が進んでいる広島県には、高齢者をサポートする施設が点在しています。特別養護老人ホーム(特養)が約197施設、有料老人ホームが約166施設。その他にも、短期入所生活介護施設や軽費老人ホーム、生活支援ハウスなど、さまざまな形態の高齢者施設があります。
県内には、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も充実しており、全体で約244施設、広島市だけでも約91施設が存在します。このように高齢者向けの施設が多数あることで、高齢期の暮らし方の選択肢が増えるでしょう。
認知症の方が共同生活を送ることのできるグループホームは、広島県内に約144施設あります。季節の行事や地域行事に参加し、社会の一員としての活動を支援してくれる施設も数多くあります。
広島市の公式サイトや広島県老人福祉施設連盟のサイトによると、広島県内の施設における待機者数は、比較的どの市町村も多数。特別養護老人ホームの待機者数は、広島市全体で約4700人、福山市エリアで約860人、東広島市エリアで約150人です。
出典:広島県「施設一覧(令和5年度)」
監修

- 小菅 秀樹(LIFULL 介護 編集長)
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老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。
詳細プロフィール・監修記事一覧
広島県の高齢者の生活に向けた取り組み
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高齢者の生きがい・健康づくり応援事業
高齢者がスポーツや文化活動を通して、生きがいや健康促進に繋げられるようにと広島県で行われている取り組みです。具体的には、「広島県シニア総合スポーツ大会」の開催や、「全国健康福祉祭」への選手派遣などを行っています。また、日常的に運動する機会が作れるように、ウォーキングや体操など、無理なく参加できる運動の機会作りにも取り組んでいます。誰もがスポーツをしやすい公共施設の環境整備も進んでいて、県内の各地にスポーツセンターや競技場が設置されているのも魅力です。
出典:広島県「第9期ひろしま高齢者プラン」
プラチナ世代の社会参画促進事業
自分のできる範囲で地域や社会での活動を行い、輝かしい毎日を送っている高齢者の方を「プラチナ世代」と呼称。そんなプラチナ世代が活動しやすい環境づくりを実施する取り組みが、広島県では実施されています。
基本的な活動内容は、プラチナ世代のための講座を実施すること。例えば、ライフプランを考える講座や孫育て講座、地域活動やコミュニティビジネスの始め方講座などを実施して、プラチナ世代を後押ししています。他にも、自分らしさを活かしながら、地域のために積極的に活動することを促すための「広島県高齢者福祉大学(プラチナ大学)」も実施。プラチナ世代としての活躍の場の提案、人材育成を行う取り組みです。
出典:広島県「23 高齢者が活躍できる社会づくり」(PDF)
高齢者の移動サービス
高齢者は、免許の返納や要支援・介護状態になると、食品の買い物や通院、活動場所への移動が困難になります。近くに子や孫が住んでいない方にとっては、移動や外出時のサポートが必要です。広島県では、高齢者の移動をサポートする「移動サービス」を展開している事例があります。呉市で実施されている無料の買い物シャトルバスは、その地域の高齢者に対するアンケートから生まれた取り組みです。買い物シャトルバスのほか、移動販売車や注文販売サポートなどの案がありましたが、「たくさんの商品から選ぶ買い物の楽しさが味わえる」「家から出るきっかけになる」という理由で、買い物シャトルバスが採用されました。
出典:広島県「高齢者の移動手段・送迎」
住民主体の「通いの場」
広島県内の各地で実施されている「通いの場」の運営や活動。地域の公民館や集会所にて近所の人たちが集まり、さまざまな活動を行うことで高齢者の生きがいや外出機会へと繋げています。通いの場では、簡単な体操や認知症予防のための講習などを実施。そのあとは、お茶会やカラオケなど、楽しめる活動をプラスしているところもあります。
出典:広島県「令和5年度ひろしま高齢者ガイドブック」
ひろしまオレンジパスポート
ひろしまオレンジパスポートとは、「広島県認知症地域連携パス」のこと。医療機関や介護機関が認知症のある高齢者の、検査・治療内容や日常生活におけるリマインドを共有するために使うパスポートで、該当の高齢者とその家族を支えるための取り組みです。本人や家族が記入するページもあり、日常での様子や変化などを、その後の治療やケアに役立てる目的があります。
広島県には、「広島県認知症介護アドバイザー(オレンジアドバイザー)」も各エリアに配置されていて、認知症の方を支えるための取り組みが複数実施されていることがわかります。
出典:広島県「令和5年度ひろしま高齢者ガイドブック」