岩手県の高齢者の住みやすさ
時点の情報
本州の北東部に位置する岩手県は、本州で一番広い県です。県最高峰の岩手山を中心に山々が連なり、内陸部は城下町・盛岡市を中心に栄えています。三陸沖は、世界三大漁場のひとつとして知られるほど漁業が盛んです。南部には、世界遺産として有名な平泉があり、歴史と文化を感じることができます。自然と文化を感じながら、穏やかな老後を過ごせるエリアといえます。
岩手県には、東北新幹線、秋田新幹線が乗り入れているほか、JR東北本線、田沢湖線、山田線、花輪線、大船渡線、北上線、八戸線などが利用可能です。また、私鉄のいわて銀河鉄道線、三陸鉄道リアス線もあります。路線バスも充実しているので、日常のお出かけにも困りません。東北自動車道、八戸自動車道、秋田自動車道、釜石自動車道など高速道路も整備されているので、高齢者に面会するときのご家族の移動も便利です。
県立美術館やこども科学館、県民会館などの公共施設、ショッピングモールやスーパーマーケット、総合病院なども充実しており、安心とともに高齢者の生きがいを見つけやすい県です。
出典:公益財団法人 岩手県観光協会「いわて観光の魅力」
岩手県の老人ホームの特徴
時点の情報
岩手県内には、介護施設が点在しています。主に要介護度の低い高齢者を対象にしたバリアフリー住宅であるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が89件。常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者が対象の特別養護老人ホーム(特養)が189件。介護を必要とする高齢者の自立を支援し家庭への復帰を目指す老人保健施設(老健)が66件など、さまざまな種類の施設があります。
環境面、及び経済面が理由の場合は、特養への入居を検討されることが多いでしょう。ただし、介護を必要とする特養への入居は、やや難しくなっています。岩手県では特養のほか老健や認知症対応型のグループホームなど、入所できる施設の整備を今後も予定しています。そのため、将来的な施設数増加や過疎地域への介護施設新設なども期待できます。
盛岡や両磐エリアは、看護師が常駐していたり、自由に参加できるイベントやレクリエーションのある有料老人ホームが充実しています。利用価格帯は、月額10万円~20万円くらい、また入居金0円の施設もあるのでニーズに合わせて選びやすいのが特徴です。
出典:岩手県「特別養護老人ホームの待機者数等」
出典:岩手県「養護老人ホーム」
出典:岩手県「有料老人ホーム一覧表」
監修

- 小菅 秀樹(LIFULL 介護 編集長)
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老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。
詳細プロフィール・監修記事一覧
岩手県の高齢者の生活に向けた取り組み
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ひとり暮らし高齢者等地域生活サポート事業
岩手県では、高齢者に関する相談に対応するため、「高齢者総合支援センター」を設置、運営しています。認知症の本人と家族の支援のために、講座や地域交流会を開催したり、総合相談業務(シルバー110番)では、弁護士や認知症介護経験者などの専門家による相談の実施をしています。
出典:岩手県「高齢者総合支援センター運営事業」
老人クラブ育成費補助
岩手県では、老人クラブ活動を通して、高齢者が地域社会の中で交流を深め、生きがいを感じてもらうサポートしています。経験と知識を生かして社会活動に参加することで、老後の生活を健康で豊かなものにしてもらうべく、「老人クラブ育成費補助」を行っています。
清掃や奉仕、地域での見守り活動、教養講座の開催、スポーツ大会など、健康づくりや介護予防に関する活動を行う場合、支給の対象となります。
出典:岩手県「老人クラブ」
認知症サポーター養成
岩手県では、認知症についての知識と普及啓発のため、認知症高齢者を支援する「認知症サポーター」の養成を行っています。また、認知症サポーターの講師となる「キャラバン・メイト」を計画的に育成。岩手県独自の取組みとして、小中学生を対象に「孫世代のための認知症講座」を開催し、認知症に対する正しい知識を普及しています。
さらに、認知症の高齢者や家族の困りごと、必要となる支援をサポートできる仕組みづくりを進めています。認知症医療の提供体制も強化。認知症の高齢者と家族の暮らしをより良いものにする取り組みを行っています。
出典:岩手県「岩手県の認知症施策」
紙おむつ支給事業
盛岡市では、「紙おむつ支給事業」として、在宅で寝たきりの高齢者に紙おむつを無料で支給。介護度の区分によって支給枚数が異なります。また、北上市では「家族介護用品支給事業」として、要介護認定を受けている在宅高齢者を介護している家族におむつや尿取りパットといった介護用品の支給券を交付。在宅高齢者の介護度が要介護3の場合、1か月あたり3000円分、要介護4または5の場合、1か月あたり6000円です。
このように岩手県内では、家族介護用品支給事業を市ごとに行っており、条件や支給額などは市によって異なります。
出典:盛岡市「介護保険以外の在宅福祉サービス」
出典:北上市「家族介護用品支給事業」
配食サービス事業
県盛岡市では、「配食サービス事業」として、65歳以上の一人暮らしまたは高齢者世帯で調理が困難な人に、食事の宅配をして安否確認を行っています。利用回数は、1週間に4回まで。昼食か夕食のどちらか1日1回で1食450円です。
奥州市では、「配食見守りサービス事業」として、 調理・買い物が困難な高齢者の自宅へ、食の支援と安否確認を行っています。対象は、65歳以上の一人暮らし、または高齢者のみの世帯。月曜日から土曜日の中で昼食または夕食の宅配を週3回まで利用可能です。食事代実費として500円がかかります。
出典:盛岡市「介護保険以外の在宅福祉サービス」
出典:奥州市「配食見守りサービス事業」
ひとり暮らし高齢者等地域生活サポート事業
盛岡市では、ひとり暮らしの高齢者家庭に緊急通報システムを設置する「ひとり暮らし高齢者等地域生活サポート事業」を行っています。具合が悪くなったときや、事故などで援助が必要なときに、緊急通報ボタンを押すと、緊急通報受信センターにつながります。対象者は、65歳以上の一人暮らしの人で、自宅の電話機に装置を設置。所得税非課税世帯の人は無料で、所得税課税世帯の人は自己負担がかかります。
遠野市では、心疾患等を抱える一人暮らしの高齢者家庭に、緊急通報装置を貸与する制度を設けています。急病時などの通報に対応しやすい体制を整備し、高齢者の自立した生活の継続を支援。親族などの緊急連絡先と、緊急時に状況確認が可能な近隣協力員の、それぞれ1人以上の登録が必要です。
出典:盛岡市「介護保険以外の在宅福祉サービス」
出典:遠野市「ひとり暮らし高齢者等地域生活サポート事業」