- 質問
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76歳の父は介護もいらず元気に愛車を運転しています。近い将来は有料老人ホームの入居を考えていますが、父は自由な生活を望んでいるようです。
入居時にクルマや自転車を持ち込むことはできますか?
- 回答
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クルマや自転車といった車両については、多くのホームが持ち込みを制限しているのが実情です。車両を使うことで入居者の行動範囲が広がるため、運営側の目が行き届かなくなる外出先での事故のリスクを極力減らしたいという思いもあります。
ここでは、車両の持ち込みを制限しているホーム、制限していないホームそれぞれのメリットやデメリットを説明していきたいと思います。車に乗りたいなど入居する方のニーズと、安全を考えた上でホームを選ぶための参考にしてください。
- 【目次】
1.車両の持ち込みが難しい理由
老人ホームの入居時に持ち込むことができるものは、具体的には、衣類や日常の生活用品、介護用品などが主になりますが、愛用の家具や仏壇なども含まれます。この詳細は重要事項説明書や管理規程等に記載がされています。
ホーム側としては、破損・盗難などのトラブルを出来るだけ防ぎたいこともありますし、1つの建物の中の集団生活である以上、一人での管理が難しい物や他の入居者に迷惑をかける恐れがある物(大音量を出す楽器や発火物・爆発物、危険な動植物など)については持ち込みをお断りしているのが現状です。
そのうえで、車両を使うことで入居者の行動範囲が広がるため、運営側の目が行き届かなくなる外出先での事故のリスクを極力減らしたいという思いもあります。
老人ホーム側としては、入居者の行動を制限することが目的ではないのですが、安全面を考慮したうえでの対応となっています。
2.持ち込み可能なホームのメリット・デメリット
■メリット
これまで自宅で生活している時と同じように、自分の責任で運転して出かけられますので、生活習慣が変わるストレスを軽減させることができます。
老人ホームでは、スタッフが運転して入居者みんなで外出して買い物やドライブなどをするレクリエーションなどもあります。
しかし、一人で気兼ねなく出かける点や、好きなところに行くことができるため、非常に自由度が高いと言えます。
■デメリット
まず駐車場・駐輪場代として別途費用の上乗せが考えられます。そして、車両維持にかかる費用(保険料やガソリン代、車検代など)については実費でこれまで通り必要です。
将来的に介護度が増すにつれ、車の運転が困難になる時期が来ますので、その際に慌てて手続きをしなければいけなくなります。
3.持ち込みを禁止しているホームのメリット・デメリット
■メリット
そもそも要介護・要支援の方がメインのホームでは、入居者が自分で車両を運転することを想定していません。
そのため、家族等の来訪者用の駐車場や駐輪場以外にスペースを確保していないところが多いです。また、都心のホームでは敷地スペースの問題で、駐車場を確保できないところも大半です。
こうしたホームでは、入居者の積極的な外出を促進するために、安価で近隣のスーパー、デパート、駅等への送迎サービスを行っていたり、外出しなくても良いように出張理美容や訪問販売などのサービスを導入したりしています。
このことで、自分で運転することによる疲労を減らし、事故に巻き込まれる可能性を減らしています。
■デメリット
車が無い分どうしても一人で遠方に出かけることが減り、行動の自由度が低くなります。また、外出の際に付き添いなどの有料サービスを使うことによって月額費用はその分かかります。
4.どうしても車を持ち込みたい。そんなときはサ高住などを検討してみる
認知症の症状が出ている場合や身体状況が運転に支障をきたし、運転することが危険な場合には、車の運転を諦めざるを得ません。
しかし、現状問題なく運転が出来るご本人としては、「自宅にいたら自由に車に乗れたのに、老人ホームに入ったがために行動が制限されてしまう」と思ってしまうのではないでしょうか。
とは言っても、出来れば入居を機に運転を止めてほしいと思っている家族もいらっしゃるのではないでしょうか。どうしてもこれまでのように車を運転したい場合は、サービス付き高齢者向け住宅のように、一般の賃貸住宅に近い住まいへの転居を検討されてはいかがでしょうか。
>サービス付き高齢者向け住宅(サ高住・サ付き) とは?
まとめ
老人ホームへ車両を持ち込むときには、あくまで車両の取り扱いについては自己責任となる点を注意しましょう。
今お元気な方は、自分が病気になったときのことや、身体が不自由になったときの生活のことをなかなか想像しにくいかと思います。
人間は誰しも歳を取り、だんだん一人で生活することが困難になって周りの人からのサポートが必要になってきます。入居を決めた段階で、自動車や自転車が本当に必要なのかを一度しっかり考え、必要と判断したならば、入居先のホームに取り扱い方法や費用についてしっかり確認しましょう。
お元気なうちに、これからどんな生活を送りたいのかを本人の気持ちを尊重し、本人と一緒に考えていくことが大切です。