- 質問
-
私の夫はまだ60歳ですが、パーキンソン病のため介護保険の第2号被保険者です。私の仕事の関係で、在宅介護が困難なので、介護施設を探しています。しかし、老人ホームの年齢層が高いということで、夫がなじめるか心配です。
2号保険者のいるホームは少ないのでしょうか。どのように施設を選べばよいのか教えてください。
- 回答
-
第2号被保険者(40~64歳)の方が老人ホームへ入居することは可能ですが、老人ホーム入居者の平均年齢が80代と高齢のため、64歳以下の「若年者」と呼ばれる方々にはなじみにくいのが現状です。そのため、他の方々となじめず孤独を感じたり、ずっと部屋で過ごしたりする方もいるようです。
ここでは第2号被保険者の老人ホーム選びについて、ポイントをアドバイスいたします。特定疾病等により若くしてホームを探さなければならない場合に参考にしてみてください。
- 【目次】
1.有料老人ホームは大きく二種類 それぞれの違い
質問者様の旦那様の今後の生活を考えると、個室で生活の自由度が高い有料老人ホームが適切かと思います。
有料老人ホームには「介護付有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2つがあります。それぞれの違いは以下のとおりです。
介護付き有料老人ホーム
入居している方に対し、食事や入浴などの日常生活のお世話や機能訓練を行います。介護保険の対象となり、専属スタッフによる24時間体制の介護が受けられます。重度の要介護認定を受けている方まで対応しています。
>介護付き有料老人ホームの費用や提供されるサービス
住宅型有料老人ホーム
食事の提供や生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの入居施設です。基本的に専属スタッフの配置義務がないため、介護度が軽い方や年齢の若い方から入居されています。
しかしニーズの高まりにより近年では介護体制を整えた住宅型有料老人ホームも増えてきました。
施設選びはそれぞれを比較して人員体制の整っている介護付きをおすすめします。
質問者様の旦那様は進行性の病気であるパーキンソン病ということなので、介護付き有料老人ホームが適切かと思います。
<アドバイスポイント>
運営会社に尋ねると、介護度が高くなり住宅型有料老人ホームを退居しなくてはならない場合でも、系列の介護付き有料老人ホームに入所できる場合もあります。
心身の状況に合わせて老人ホームを変えることも、選択肢のひとつと考えてもよいでしょう。
2.有料老人ホームを選ぶための優先順位を決める
老人ホーム選びのポイントとして「どんなところならなじめるのか」を考える必要があります。静かな環境を好む方に賑やかな環境はなじみませんし、その逆もあるでしょう。
入居者同士のコミュニケーションも大切ですが、身体介護を必要とする以上、介護の質も担保されていなくてはなりません。そのように優先順位をつけていきます。旦那様の心身の状況を考えて客観的に優先順位をつけてみました。
1位:24時間介護
パーキンソン病の場合、日常的な見守りや介護が不可欠であるため。
2位:立地
老人ホーム内でのコミュニケーションだけでなく、家族との繋がりや今までのコミュニティを継続するためにも、住み慣れた環境に近い場所が望ましい。
3位:居住空間
多くの時間を過ごす居室において、間取りや方角などストレスのないことが大切。
4位:レクリエーション
娯楽要素は必要です。高齢者のみならず若年者にもフィットするレクリエーションを実施しているか。また、インターネットが利用できる環境なども要確認。
5位:コミュニケーション
「相撲が好き」「野球が好き」など、他の入居者との共通の趣味があれば年齢に関係なく話が合います。そういった人がいるか、いないかによって生活の楽しさが変わります。
<アドバイスポイント>
「なじむ」とは、他者との関係だけでなく様々な要素を含みます。介護なのか、コミュニケーションなのか。どこにポイントを置くかをよく考えて老人ホームを選んでください。
3.スタッフとのコミュニケーションも重要
筆者が勤務していた老人ホームにも、60歳の入居者がいらっしゃいました。
まわりの方々とは年代も考え方も違うためなじむことが難しいものの、年齢の近いスタッフとのかかわりを意図的に増やし、コミュニケーションを多くとるようにしました。
またレクリエーションの内容なども高齢者向きにかたよらないよう配慮しました。
また、筆者は専門学校の教員時代に、「個別性」について提言し、60代の有名人としてビートたけし、西田敏行、泉ピン子、高田純次、矢沢永吉などを挙げ、「これだけ個性的な人たちが老人ホームで生活するためには、何をすべきか」を教えていました。多様な個性をもった入居者とコミュニケーションが取れるスタッフがいるかどうかも老人ホーム選びのポイントになります。
<アドバイスポイント>
老人ホームの雰囲気は、入居者とスタッフの良好な関係が作り出します。パンフレットや電話だけでは雰囲気は伝わりませんので、必ず見学したり体験入居することをお勧めします。
まとめ:「要望」を伝えることでサービス内容も向上する
第2号被保険者の総数は、全体的にそれほど多くないため、スタッフ側のノウハウが蓄積されていない場合があります。
「何を求めているのか」「何が好みなのか」を主張することは、ワガママではありません。第2号被保険者は今後増加することが予想されます。
介護技術だけではなく、若年者の好みを伝えるためにも多くの声を寄せ、生活しやすい環境を作っていってください。