- 質問
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遠方で一人暮らしの祖母が自宅で転倒し、足を骨折して入院しました。歩行などに不安があり、退院後に老人ホームに入居を考えているのですが、退院まであと数日しかありません。
老人ホームに急いで入居することは可能でしょうか?
- 回答
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老人ホームは空室があればすぐに入居できるものではないので注意が必要です。できるだけ早く入居したいのであれば、特別養護老人ホームより入居待機者が少ない「有料老人ホーム」がおススメです。
ただし受け入れるスタッフ側にも準備があるため、通常では入居まで2~3週間程度の日数が必要となります。しかし、質問者様のように一刻も早く入居を希望される方のために即日入居(相談から1~2日程度で入居)を行っている老人ホームも少なからず存在します。
ここでは即日入居可能なホームや選ぶ際の注意点について解説します。すぐに介護施設に入居したい場合に参考にしてください。
1.即日入居可能な老人ホーム
筆者が「即日入居可能」と謳っている老人ホームに問い合わせたところ、「実際に今日、明日に入居することは難しく、準備期間として一週間程度は必要」とのことでした。
しかし前例として緊急性がある方が即日入居したことはあるそうです。もちろん空室があることが前提で、入院している場合は速やかに診断書や医療情報が提供されるなど、病院の協力が必要となります。それでは実際にどんなケースがあるのかみていきましょう。
入居をお急ぎの場合はLIFULL 介護入居相談室にご相談ください
各種書類が間に合わない場合
入居に必要な書類として「健康診断書」の提出を求められることがあります。しかし、医師の都合上、即日発行が難しく、病状によっては一週間以上も待たされることがあります。
そのため、緊急性がある場合、入居前に心身状況や飲んでいる薬など最低限の医療情報の提供を受け、健康診断書などの後日提出を認める老人ホームもあるようです。
ただし、イレギュラーでの対応になりますので、ホーム側の受け入れ体制やご本人の状況によっては、それが難しい場合があることをご承知ください。
希望の老人ホームに空きがないケース
希望した老人ホームに空きがなく、すぐに入居できない場合もあります。そんなときに利用したいのが、「体験入居」と「ショートステイ」です。
体験入居は、老人ホームが設定した料金を払うことで、おおむね7日間までの利用が可能です。その期間内に部屋が空くようであれば、体験入居をしながら「待機」することが可能です。
有料老人ホームのショートステイは、自立から要介護5の方が利用可能です。利用料は老人ホームによって異なりますが、1泊平均8,000円~15,000円程度です。利用期間は1泊2日からで、2週間や1ヶ月プランなどを利用できるところもあります。
入居資金の準備が間に合わない場合に活用したい「0円プラン」
有料老人ホームの費用として入居一時金が必要な場合があります。
「入居一時金」は終身にわたって生活する権利を取得するための費用で、償却期間としておおむね5年間、8年間、10年間(老人ホームによって異なる)が設定されていています。
また期間を待たずに退居した場合には、未償却分残額が返却されるシステムを採用している老人ホームも多くあります。
入居一時金については、初期費用の負担が大きくなるだけでなく、「残金返却額が説明よりも少なかった」というトラブルが発生することが多くありました。そうした問題から現在では、入居一時金を廃して居住費として月々の支払いのみとした「入居一時金0円プラン」を掲げている老人ホームも増えています。
>入居一時金0円特集
まとめ
老人ホームは終の棲家。家を買うのと同じように、じっくりと選びたいもの。
退院が迫っているからと慌てて入居したものの、後から後悔するようではいけません。
「入居一時金0円プラン」は、「退院後すぐに入居できる施設を探している」「特別養護老人ホームが空くまでのつなぎに利用したい」と考えている方に最適ですが、その分、月々の利用料は割高に設定されています。
月額費用を抑えるため、ひとまず0円プランで入居して、生活が安定してきたら入居金を支払うプランに変更する。
体験入居やショートステイを上手に利用し、その間に自分に合った老人ホームを探すなどの工夫を行ってみてください。
2.すぐに入れる老人ホームの探し方は?
ここでは老人ホーム探しに時間がかけられない方へアドバイスをします。
入院している病院のソーシャルワーカーに相談する
最初に「すぐに退院する必要があるのか」という確認をします。もちろん病院は治療が必要のない患者をいつまでも入院させておくことはできませんが、帰る場所も決まっていない患者をいきなり放りだすことはしません。
「現在、老人ホームを探している」「〇日後をめどに退院する」など、今後の方向性を示すことで、退院時期を調整してくれるはず。まずは入院している病院のソーシャルワーカーに相談してみましょう。
インターネットで即入居可能な老人ホームを探す
有料老人ホームを経営する会社は、一施設だけではなく、複数の系列施設を経営していることが多いため、独自の相談窓口を設けています。そこに電話をして状況を話せば、現在空いている系列の老人ホームを紹介してくれます。
また、LIFULL介護では入居相談室を設けており、電話で「入居希望時期、エリア、予算」を伝えることで、条件に沿うホームをお探しいたします。ぜひご活用ください。
近くの老人ホームを直接訪ねてみる
近所に老人ホームがあるのなら、直接訪ねて相談してみましょう。どの施設にも入居相談員が常駐しています。入居相談をすることは可能ですし、見学することで老人ホームの雰囲気をつかむことができます。
もしその老人ホームに空きがない場合でも、系列の別のホームを紹介してもらえるかもしれません。
3.入居までにかかる日数は?入居までのプロセスとは
老人ホームの見学から入居まで、おおよそ一週間程度は必要と考えておきましょう。
一般的な入居の流れ
1.受付・見学
2.申し込み
3.入居までの準備
4.訪問面談
5.体験入居
6.契約・入金
7.入居
前述したように、緊急やむを得ない場合は即日入居もできる可能性がありますが、あくまでイレギュラーです。老人ホームのスタッフとしても、「どのような方が入居されるのか」「どのように対応すべきか」「医療行為は必要なのか」など、準備が必要です。
ホテルのように空室があるからといって、すぐに利用できるものではないということを念頭におき、おおよそ一週間は必要と考えてください。
本人との面談
通常、入居前にはご本人と相談員による面談を行います。ご自宅や入院している病院に出向いて行うことが多く、その目的は以下の3つです。
1.老人ホーム側が入居者の状況(心身、嗜好、施設への要望など)を確認する
2.入居者が老人ホームへの要望や質問を行う
3.入居前に顔を合わせることで、お互いに安心感を持つ
老人ホームの入居審査
審査内容は大きく分けて二つあります。
ひとつは「医療行為の確認」です。
老人ホームは病院ではありませんので、入院治療が必要な方は入居できません。また老人ホームの体制によっては、人工透析や胃ろうなど、対応できない医療行為もあります。
入居する方に適切なサービスが提供できるかどうかについて、事前の審査が必要になります。
二つ目は「経済状況の確認」です。
月々の支払いが継続可能なのか、資産状況と連帯保証人(身元引受人)の確保が可能であるかなどを審査します。
連帯保証人(身元引受人)は、入居者が入居費用を払えなくなった場合、支払いの義務を負います。また、認知症などにより入居者自身が判断できない場合には、本人の代理を依頼することがあります。
まとめ.老人ホームによっては比較的早く入居することも可能
入居の際に老人ホーム側が気にするところは、健康面と経済面の二つです。
どのような介護や医療が必要かわからなければ十分なケアができませんし、もし情報不足で入居早々に亡くなるようなことがあれば、訴訟にも発展しかねません。
また費用を払ってもらえなければ経営は成り立ちませんので、経済状況の確認も重要です。つまり、最低限「医療行為の有無」と「経済状況」がクリアできれば、比較的早く入居することは可能です。
老人ホームは空室があるからといってすぐに入居できるものではなく、通常の手続きを行えば相応な時間がかかります。転ばぬ先の杖、高齢の方が身内にいる場合は、日頃より老人ホームや高齢者福祉に関心を持っておくと、いざというときに役に立つはずですよ。