質問

遠方に住む父が老人ホームの入居を検討し始めました。父が老人ホームに入居したら、できるだけ父と一緒に過ごす時間をつくろうと思います。
ホームに訪問したとき、家族が宿泊することはできるのでしょうか?

回答
竹内 恵子

面会時に家族が宿泊できる老人ホームもあります。家族の宿泊については、「入居者と同じ居室に泊まれるホーム」、「ゲストルームがあるホーム」、「原則的に認めていないホーム」など、老人ホームにより方針の違いがあるので、老人ホームを選ぶ際よく確認しましょう。もしも、施設に宿泊ができない場合は近隣のホテルも視野にいれて、条件を最初から絞り込まないようにしましょう。

ここでは家族が宿泊できる老人ホームを探すうえで、気を付けたいポイントを幅広くご紹介します。家族が遠方であるなどの理由から、面会の際に宿泊を考えている方の施設探しにお役立てください。 竹内 恵子(福祉サービス第三者評価・評価調査員)

【目次】
  1. 1.ゲストベッド・ゲストルームがある老人ホーム
  2. 2.家族が宿泊することのメリット・デメリットとは
  3. 3.家族が老人ホームに泊まる際の宿泊料金
  4. 4.宿泊可能な老人ホーム選ぶ際の注意点
  5. まとめ

1.ゲストベッド・ゲストルームがある老人ホーム

家族が居室内に泊まれる老人ホームの中には、簡易的なゲストベッドを用意してくれるところもあり、居室内でゆっくりと過ごせます。

また、面会に来た家族のために、老人ホーム内にゲストルームを完備しているところもあります。
これは比較的高級な老人ホームに限られますが、ゲストルームにキッチン、冷蔵庫や食器類、洗面台やシャワー室も完備し、家族が快適に過ごせるように工夫されているところもあります。

しかしながら、ゲストルームのある老人ホームは一般的にはあまり多くないので、これから探す場合はあらかじめ家族の宿泊が可能な施設かを確認し、見学に行かれた方が良いでしょう。

また、原則として家族の宿泊を受け入れていない施設もありますが、特別な事情(看取りが近づいてきた時、遠方からの面会の際に、近隣にホテルが手配できないなど)のあるときには相談に応じてくれるところもあります。こちらも事前に確認しておきましょう。

家族が宿泊できれば、一緒にゆっくりと過ごすことができます。他にどのようなメリットがあるのか、またデメリットについてもみていきましょう。



2.家族が宿泊することのメリット・デメリットとは

入居者がご逝去された後の家族の心境として、

「元気なうちに、もっとゆっくり話をしたかった」
「親がどんな思いで過ごしていたのか聞けなかった」と、

もっと面会に行けば良かったと悔やまれる方も多いようです。

面会時に家族が泊まることで、入居者は安心してゆっくりと昔話をするなど、家族としての思い出を増やす機会になります。時間を気にせず話せるからこそ、理解が深まることもあります。入居者の想いや考えを家族が受け止めることもできますね。

一方で、ゆっくり過ごすがゆえに離れがたくなることもあるようです。
入居者は面会に来た家族に対し
「いつまでもそばにいて欲しい」
「自分も自宅へ帰りたい」
という気持ちが生まれることもあります。

家族が宿泊したことが、かえって入居者の寂しさや不安といったストレスにならないよう配慮しましょう。そして、入居後の家族の宿泊については、入居者の身体状況を把握している老人ホームのケアマネジャーや生活相談員に相談しましょう。

では次に、宿泊する場合の費用がどれくらいかかるのかみていきましょう。




3.家族が老人ホームに泊まる際の宿泊料金

「ゲストベッドを借りて居室に泊まる場合」と「ゲストルームに泊まる場合」どちらにしても一泊2,000円~5,000円程度のようです。
食事は実費となりますが、希望すれば老人ホーム側で用意してくれるところもあります。

比較的安価に泊まれるように思われますが、こういった家族の宿泊サービスなども想定した上で、毎月の家賃や管理費を設定しているホームもあるようです。

では、その他に気を付けたいことをみていきましょう。



4.宿泊可能な老人ホーム選ぶ際の注意点

老人ホームに宿泊できるというのは、利用者の家族に限定した老人ホームごとのサービスです。
老人ホームは一般的な宿泊施設の条件を満たしているわけではないので、ストルームが完備されていても、利用できるのは家族のみに限られる場合がほとんどです。まれに入居者の友人・知人も泊まれる場合もありますので、条件などを老人ホーム側に聞いてみてください。

また、老人ホームを選ぶ際「面会時に家族が泊まれること」にこだわりすぎると、選択できる老人ホームの数が少なくなってしまいます。宿泊という視点であれば、近隣のホテルに泊まるという方法もあるので、最初から条件を絞り込まず広く探すことも必要です。



まとめ

遠方の老人ホームに面会に行く場合、移動時間や体力的負担、そして金銭的な負担もかかることを考えると、家族も宿泊できたら安心ですね。
世の中には宿泊できる老人ホームはありますが、「居室に宿泊できる」、「ゲストルームが利用できる」、「看取りの時期なら許可される」など、各老人ホームごとにその考えは違います。

入居を決める前に、
「宿泊代はいくらかかるのか」
「家族が泊まる場合、家族の食事は提供されるのか。入浴は可能か」
「家族が帰ったあと入居者が寂しく不安にならないか、様子をみるなど配慮してくれるか」といったことを具体的に質問してみましょう。

入居者や家族の要望により添い、可能な限り柔軟に対応してくれるホームこそが、安心できる老人ホームといえるでしょう。

こちらから家族が宿泊できる老人ホームを検索できます。気になる物件の資料を請求し、できれば2~3ヶ所見学し、条件に合うホームを探していきましょう。 

>老人ホームの探し方・選び方|入居までに必要な6つのステップ

このQ&Aに回答した人

竹内 恵子
竹内 恵子(福祉サービス第三者評価・評価調査員)

株式会社ATコンサルティング/AFP
金融商品仲介業、内部管理責任者、宅地建物取引士
資産運用相談、介護事業経営コンサル会社専任アシスタント