質問

わずかな年金で生活する一人暮らしの母親に、毎月6万円の仕送りをしています。その母が脳卒中で倒れ入院することになりました。
退院後は介護サービスを使う可能性が高く、仕送りの金額も上げるべきか悩んでいます。一定金額を超えたら贈与税の対象になるのでしょうか?

回答
中村 真佐子

質問者さんの仕送りしているお金が贈与にあたるかは、どのような使途のものかで決まります。お母さまの生活に必要なお金であれば贈与にあたりません。
今後、介護サービスを利用することになった場合でも、介護サービスを受けるために必要なお金ならば、増額しても贈与にはあたりません。
このページでは、仕送りと贈与の違い、仕送りによる節税方法などついて解説します。 中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

【目次】
  1. 仕送りと贈与の違い
  2. 年間110万円以内の贈与なら非課税で申告も不要
  3. 別々に暮らす親も扶養することで節税に
  4. まとめ

仕送りと贈与の違い


「仕送り」
とは、一般的に別居する家族に生活や教育に必要なお金を送金することす。贈与とは、民法上では「財産をあげる人ともらう人が当事者となり、ある一方の当事者が財産を無償で与える意思を示し、もらう側も受け取りを承諾すること」を言います。
このように財産の移転が行われる際に、税金が発生贈与税が課されるのです。

質問者さんのように、親への仕送りも子の財産が親に移転されることとなります。
しかし、相続税法では「財産の移転がされても贈与税がかからない場合」として、以下のように定義しています。

「夫婦や親子、兄弟姉妹など、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるもの」(国税庁HPより引用)

ここでいう生活費とは、質問者さまのお母さまに必要な日常生活の費用を指します。

これは一つの例ですが、仮にお母さまが要介護状態となり介護施設で暮らすことになった場合、施設の入居金などのまとまった資金も生活に必要な費用であるため、贈与にはあたりません

贈与となるものは、預金目的であったり、株式や不動産などを購入したりする資金に充てられているものです。たとえ名目上は「生活費」として送金しても、実態が違えば贈与税の対象となります。


年間110万円以内の贈与なら非課税で申告も不要

贈与税には基礎控除があります。基礎控除額は110万円となっており、年間の贈与額に対して控除され、残った金額に対して贈与税が課されます。つまり、年間110万円以内の贈与に関しては、その使い道に関係なく非課税となり、申告も不要です。

生活費としての仕送りは贈与税の対象外

前述したように、生活費として必要な仕送り贈与税はかからないため、基礎控除の110万円は関係ありません。

また、生活費として認められている金額に上限はありません国税庁では、生活費として認められるのは、仕送りを受ける親にかかる生活費と仕送りをする子供の収入や資産、その他のすべての事情を併せ持って、常識的に認められる範囲の金額と定義しています。

これらが認められているのは、扶養義務者からの仕送りとなっており、相続税法では、「三親等内の親族で生計を一にする者」とされています。そのため、離れて暮らしている親でも定期的に仕送りをしていれば生計を一にしているとみなされます。生活費としての仕送りであれば非課税なので、贈与税の確定申告も不要となります。


別々に暮らす親も扶養することで節税に

親を扶養家族にすることで所得控除が増え課税対象となる所得が減ることで節税に繋がります。
質問者さんのお母さんは、病院に入院したとのことですが、親の医療費を子供が支払ったとき、仕送りをしているなど生計を一にしている場合は、子供の医療費控除にできます。

また、仮に親が介護を受けている場合、病院にかからなくても医療費控除の対象になるものがあります。例えば、特別養護老人ホーム(特養)に入居した場合は、施設の利用料(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額が医療費控除の対象となります。
このように、施設利用料を子供が負担している場合は、子供の医療費控除の適用となるので覚えておきましょう。


扶養親族となる4つの要件

税法上、扶養親族になる要件は、以下の4つをすべて満たしている必要があります。

 1.配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)

 2.納税者と生計を一にしていること

 3.年間の合計所得金額が38万円以下であること

 4.青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けて
  いないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと


扶養により受けられる控除額

老人扶養親族(※)の場合に控除が受けられ、控除額は以下の通りとなります。

 ・同居老親等以外のもの…48万円

 ・同居老親等…58万円


※老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。(国税庁HPより引用)


子供が行う手続き

親を扶養にするために必要な子供の手続きは、まず会社へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。そのほかに、親の収入を証明するものや、仕送りを証明するものなどの添付書類が必要となります。会社によって揃えなければならない書類が異なり、取得するのに時間がかかる場合があるので早めに確認しておきましょう。
税金は、1月1日~12月31日が基準となるため、年末調整に間に合えば、その1年間扶養家族として認められます。期日に注意して早めに手続きをしましょう。



まとめ

親への仕送りは、子供の家計にも負担になります。その分、税金の負担は軽くなるような仕組みになっているのです。しかし、家計全体の収支を見ると税金が減っても仕送りの分支出は増えているので、仕送り額によっては子供の家計にも負担となるでしょう。

別々に暮らしていると同居と比べて費用はかかります。親の生活資金の問題は、質問者さんだけの負担にならないよう、他の親族とも話し合うことで、無理のない体制をつくりましょう。また、離れて暮らしているのですから、地域の介護サービスを最大限活用し、ケアマネジャーとともに、親を支える体制を作りましょう。

このQ&Aに回答した人

中村 真佐子
中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。