※料金表つき※特別養護老人ホーム(特養)の費用相場-払えない場合の減免制度

特養の費用負担を軽くする制度

特別養護老人ホーム(特養)は、介護を必要とする人が、自宅の代わりとして暮らすことのできる公的な施設です。介護保険が適用され、自己負担額が比較的安い老人ホームとなっています。

有料老人ホームのような入居一時金はなく、負担は月々の利用料のみ。さらに施設介護サービス費は介護度と収入によって決定するなど、所得の低い方が利用しやすいように配慮されています。

この記事では、特別養護老人ホームの費用内訳や、介護度別または施設の種類別にどれだけの費用がかかるかを解説します。

特別養護老人ホームの費用の内訳

特別養護老人ホームでは、負担は入居後の月額費用のみであり、入居一時金などの初期費用は必要ありません。月額費用には、次のような項目が含まれます。

  • 施設介護サービス費
  • 介護サービス加算
  • 居住費
  • 食費
  • 日常生活費

これから、それぞれの費用項目について詳しくご紹介いたします。

施設介護サービス費

施設介護サービス費は介護を受けるための費用です。サービス費は要介護度などによって異なり、要介護度が高くなるほど、高額に設定されています。また、居室のタイプによっても異なっています。

それぞれの居室タイプ別に、要介護1~5の方の施設介護サービス費を以下の表にまとめました。

介護度・居室別自己負担額(30日間)
居室タイプ 多床室
/従来型個室
ユニット型個室
/ユニット型準個室
要介護1 17,190円 19,560円
要介護2 19,230円 21,600円
要介護3 21,360円 23,790円
要介護4 23,400円 25,860円
要介護5 25,410円 27,870円

※特養の入居条件は要介護3以上ですが、要介護1、2も特例での入居が認められているため、要介護1より記載しています。
※ユニット型準個室は、ユニット型個室で個室同士が仕切りで分かれており壁になっていないタイプを指します。

※居室タイプについて
多床室・・・複数人で1室を利用するタイプ
従来型個室・・・1室を1名で利用するタイプ
ユニット型個室・・・1名1室のうえ、ユニット(10名前後)単位で共同スペースが設置されているタイプ

※2021年4月更新

特養の居室タイプについて詳しく見る

介護サービス加算

施設の設備や職員の体制、施設で対応する処置やサービスなどに応じて基本料に加算される施設介護サービス費のことです。

施設によって加算徴収内容は異なりますが、加算が多いほど手厚い人員配置やサービスを行っていると考えてもよいでしょう。

主な介護サービス加算
初期加算 入所後30日まで加算
サービス提供体制強化加算 介護福祉士の配置割合や勤続年数に応じて加算
看護体制加算 看護師の人数や体制による加算
介護職員処遇改善加算 介護職員の処遇を改善するための加算
外泊時費用 外泊する場合に加算(1か月に6日を限度)

居住費

いわゆる「家賃」に相当する費用です。有料老人ホームにおいては、ベッドや家具などを自分で用意しなくてはなりませんが、特養はあらかじめ備品として用意されているのが特徴です。

食費

食費は1日3食分が含まれているため、「外出及び外泊によって昼食のみ停止した」などの場合でも1日分とみなし請求されます。

ただし、外泊や入院などにより、数日施設に戻らない場合は食事を止めることができ、欠食分は請求されません。

日常生活費

医療費、理美容、被服費、入場料などが発生するレクリエーション費、嗜好品などは自己負担になります。

ただし、クリーニングを必要としない私物の洗濯や、おむつ代(尿取りパッドなども含む)は施設の負担となります。

特養の月額費用の例

要介護3 ユニット型施設入所の月額費用(例)
施設介護サービス費 23,790円

総額:

139,887円

介護サービス加算 1,567円
居住費 60,180円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円

※日常生活費、サービス加算の金額は一例です。

※2021年4月更新

入居した場合の月々の費用

前項でもお伝えした通り、特別養護老人ホームの費用は、入居者本人とその配偶者・子供(扶養義務を負っている人)の合計所得によって負担限度額が決定します。

合計所得とは、年間収入から公的年金控除や給与所得控除、必要経費を引いた後で、基礎控除や、本人や扶養家族の状況による所得控除をする前の所得金額です。課税所得ではないので注意してください。

以下より、介護度、居室タイプ別に月々に支払う金額の目安をご紹介します。介護サービス加算は施設や入居者の方の状態により変動するため、この表では省略しています。

※特養の入居条件は要介護3以上ですが、要介護1、2も特例での入居が認められているため、要介護1より記載しています。

特別養護老人ホームの月々の費用の目安(利用者負担第4段階(住民税課税世帯)・30日間の場合)

多床室

介護度 要介護1 要介護2
施設介護サービス費 17,190円 19,230円
居住費 25,650円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 97,190円 99,230円
介護度 要介護3 要介護4 要介護5
施設介護サービス費 21,360円 23,400円 25,410円
居住費 25,650円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 101,360円 103,400円 105,410円

従来型個室

介護度 要介護1 要介護2
施設介護サービス費 17,190円 19,230円
居住費 35,130円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 106,670円 108,710円
介護度 要介護3 要介護4 要介護5
施設介護サービス費 21,360円 23,400円 25,410円
居住費 35,130円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 110,840円 112,880円 114,890円

ユニット型個室的多床室

介護度 要介護1 要介護2
施設介護サービス費 19,560円 21,600円
居住費 50,040円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 123,950円 125,990円
介護度 要介護3 要介護4 要介護5
施設介護サービス費 23,790円 25,860円 27,870円
居住費 50,040円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 128,180円 130,250円 132,260円

ユニット型個室

介護度 要介護1 要介護2
施設介護サービス費 19,560円 21,600円
居住費 60,180円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 134,090円 136,130円
介護度 要介護3 要介護4 要介護5
施設介護サービス費 23,790円 25,860円 27,870円
居住費 60,180円
食費 43,350円
日常生活費 11,000円
合計 138,320円 140,390円 142,400円

※日常生活費は目安の金額です。

※2021年4月更新

以上の表は、介護サービスの自己負担が1割だった場合の金額ですが、合計所得金額が160万円以上、単身で年金収入のみの場合です。

年収280万円以上ある場合は、介護サービスの自己負担割合が2割負担に、340万円以上の場合は3割負担となります。

上記の「特養の費用の仕組み・費用負担を軽くする制度」で説明したとおり、本人および世帯全員が生活保護の対象であったり、収入が少なかったりすれば、居住費や食費は低く設定され、介護サービス費についても高額介護サービス費などの補助金が自治体から支給されます。

そのため、実際の自己負担金額については、入居を希望している施設に確認しましょう。

特別養護老人ホームに入居できない時

特別養護老人ホームは数ある介護施設の中でも、料金が安いため人気があります。緩和されてきているとはいえ、特養が入居待ちでいっぱいな時には、民間の有料老人ホームを検討してみるのはいかがでしょうか。

特養の費用の仕組み・費用負担を軽くする制度

特養は、介護保険制度の「介護老人福祉施設」、老人福祉法の「特別養護老人ホーム」の二つの名称が掲げられているとおり、高齢者保護の機能があります。そのため、費用負担を軽減できる下記の2つの制度があります。

社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度(※)

有料老人ホームなどへの入居が困難な低所得者や生活保護受給者でも入居できるよう、利用者の負担が軽くなる。

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

個人の収入や年金に応じて利用負担が軽くなる

※「社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度」を実施していない法人もあります。

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)とは?

所得や資産等が一定以下の方に対して、その方の負担限度額を超えた分の居住費と食費の負担額が介護保険から支給される制度です。

つまり、この認定を受けた方は、限度額を超えた費用を支払う必要はありません。

なお、特定入所者介護サービス費の利用には、事前に市区町村に負担限度額認定を受ける必要があります。お住まいの市区町村窓口に相談してみましょう。

食費・居住費の負担限度額

利用者は、その収入や年金に応じて、「利用者負担段階」が定められます。この段階別に、特別養護老人ホームの負担限度額が決定されます。以下より、利用者負担段階別に1ヶ月(30日)の居住費と食費の負担限度額をまとめました。ご自身、もしくはご家族の状態に当てはまる段階を確認してみましょう。

第1段階
生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
居住費(滞在費)の負担限度額 多床室 0円
従来型個室 9,600円
ユニット型準個室 14,700円
ユニット型個室 24,600円
食費の負担限度額 9,000円
第2段階
本人及び世帯全体が市民税非課税で合計所得金額+課税年金収入額が80万円以下の方
居住費(滞在費)の負担限度額 多床室 11,100円
従来型個室 12,600円
ユニット型準個室 14,700円
ユニット型個室 24,600円
食費の負担限度額 11,700円
第3段階
本人及び世帯全体が市民税非課税で第2段階に該当しない方、市民税課税層における特例減額措置の適用を受けた方
居住費(滞在費)の負担限度額 多床室 11,100円
従来型個室 24,600円
ユニット型準個室 39,300円
ユニット型個室 39,300円
食費の負担限度額 19,500円
第4段階
住民税課税世帯の方
居住費(滞在費)の負担限度額 多床室 25,650円
従来型個室 35,130円
ユニット型準個室 50,040円
ユニット型個室 60,180円
食費の負担限度額 43,350円

※2021年4月更新

特養の費用が減免される「負担限度額認定証(特定入所者介護サービス費)」とは?

イラスト:安里 南美

この記事の制作者

森 裕司

監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

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