高級老人ホームの費用相場は?なぜ高い?内訳やシミュレーション
高級老人ホームとは一般的に入居時費用が1,000万円以上かかり、通常の老人ホームよりも提供されるサービスが手厚く、共用設備や居室のグレードが高い老人ホームを指しています。高級老人ホームの費用相場や、高額になるその理由を解説します。
高級老人ホームの費用相場
入居時費用 | 月額費用 | |
---|---|---|
高級老人ホーム | 2136.4万円 | 31万円 |
有料老人ホーム全体 | 660万円 | 25万円 |
- ※2024年7月31日時点の中央値
LIFULL 介護に掲載されている有料老人ホームの中で、入居時費用1000万円以上の高級老人ホームの費用中央値は入居時費用2136.4万円・月額費用31万円です。有料老人ホーム全体と比較すると、入居時費用は3倍程度、月額費用は1.2倍程度の高価格です。
エリア別高級老人ホームの費用相場
都道府県名 | 入居時費用 | 月額費用 |
---|---|---|
東京都 | 2450万円 (3654万円) |
33.7万円 (35.3万円) |
神奈川県 | 1880万円 | 31.2万円 |
愛知県 | 2376.4万円 | 34.9万円 |
大阪府 | 1840万円 | 27.7万円 |
京都府 | 3206.5万円 | 30.2万円 |
兵庫県 | 2120万円 | 27.8万円 |
福岡県 | 2280万円 | 27.5万円 |
- ※2024年7月31日時点の中央値
- ※()内は入居時費用2000万円以上の中央値
高級老人ホームは主に都市圏に建てられており、地価の影響を受けています。そこで、LIFULL 介護に掲載されている主要な入居時費用1000万円以上の高級老人ホームの都道府県別費用中央値をまとめました。
なお、東京都は他エリアと比較しても地価が非常に高く、入居時費用1000万円以上では高級老人ホームに該当しないこともあります。そのため、入居時費用2000万円以上の中央値を参考にされるのもおすすめです。
高級老人ホームの費用が高価格の理由は?
高級老人ホームの入居にかかる費用が高額なのは、安心かつ充実した暮らしを実現する、「他にはない強みやサービス」を提供しているためです。具体的には、たとえば次のようなポイントが挙げられます。
立地条件がよい
立地条件のよさは、老人ホームの入居費用に大きく影響します。
たとえば交通の便がよく家族や親族が訪れやすかったり、景観のよい人気の場所に建っていたりする施設は、土地そのものの価値が高いため、他施設よりも入居費が高額になりやすいでしょう。
日々の暮らしの快適さ・満足度に直結するため、予算を上げてでもこだわる人が多いポイントです。
居住スペースが広い
有料老人ホームの居住スペースには、個室や二人部屋(夫婦部屋)、多床室などさまざまなタイプがあります。
プライベートを守る個室が完備され、さらにそのスペースが広い施設の場合、その分入居にかかる家賃は高額になるのが一般的です。
特に夫婦2人で入居する場合などは、必要に応じて物理的な距離が取れる広めの居室を選ぶと、共同生活のストレスを軽減できるかもしれません。
設備が充実している
占有スペースだけでなく、共有スペースの広さや設備の充実度も、老人ホームの入居費用に影響するポイントのひとつです。
たとえばプールやフィットネス設備、温泉、シアタールームなどが備わっている老人ホームは、施設内での暮らしが充実する分、入居価格は高くなる傾向にあります。
また、建物自体が新築なのか、もともとあった施設を改装したものなのかによっても費用が変わってきます。
サポート体制が手厚い
介護スタッフや看護師などの人員が基準よりも多く配置され、より手厚いサポートが受けられる施設も、上乗せ介護費(法令基準(3:1)以上の人員配置をしたときに人件費として算出する費用)によって、その分の入居費用が高額になります。
高級老人ホームでは、24時間体制のゆとりをもった介護・看護が受けられたり、清掃専門のスタッフがいて施設内が常に清潔に保たれていたりといった点で、金額に見合った安心と快適性が期待できるでしょう。
関連記事上乗せ介護費とは
オプションサービスが豊富
高級老人ホームには、通院時の付き添いや買い物等外出への同行、美容師によるヘアカット、カラー、シェービング等の理美容サービスなど、介護保険の適用外となるオプションサービスも多く用意されている傾向があります。
中には、ホテルのようなコンシェルジュサービスが受けられる施設も。実費となるため費用はかさむものの、より快適で充実した生活を送れることから、重視する人も多いポイントです。
高級老人ホームで利用できる有料オプション例
- レストランのアラカルトメニュー
- 買い物代行
- 入退院時のお見舞い(洗濯・買い物)
- 役所手続き代行
- マッサージ
- 理美容サービス(ヘアカット、カラー、シェービング等)
- ネイル
食事にこだわりがある
日々の食事へのこだわりが、入居費用の高さにつながっている施設も少なくありません。例えば、その季節ならではの旬の食材や、その日仕入れた新鮮な魚介類などを使った料理が高齢者にも食べやすい形で提供されています。おいしさと安全性を兼ね備えたメニューが毎日楽しめるように工夫されているのです。
1月はおせち料理、12月にはクリスマスメニューなど、季節の行事に合わせたイベント食が充実していることも多く、生活に彩りが生まれるでしょう。
入居者以外も利用できるレストランが併設されている施設では、家族や友人が訪ねてきたとき、おいしい食事を一緒に楽しむこともできます。
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高級老人ホームに入居した場合の費用をシミュレーション
高級老人ホームへ入居すると実際いくらかかるのか、「自立状態で入居し、後に介護が必要になったケース」を想定し、具体的にシミュレーションしてみましょう。
入居時にかかる費用
入居一時金 | 5,000万円 |
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引越し費用 | 20万円 |
生活用品 | 20万円 |
30〜60㎡の広めの個室が用意される高級老人ホームへ、80歳未満で入居した場合の入居一時金の相場は3,000万円〜6,000万円程度です。
引越し費用は大型の家具・家電を持ち込むかどうか、移動距離はどの程度か、引越し時期の繁忙期に重なっているか、等の条件によっても差がつくでしょう。
生活用品代は家具や寝具・衣類、オムツや歯ブラシなどを用意するために必要で、新たに購入する物品が多いほど費用がかさみます。
なお、家賃相当額を一時金とせず、すべて月額で支払うプランの場合、入居時にかかる費用は敷金のみの100万〜200万円程度になるのが一般的です。
入居後にかかる月額費用(自立期)
月額費用 | 25万円 |
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諸費用 └通院付き添い代 └サークル活動参加費用 └医療費 など |
3万円 |
家賃相当額の全額を入居一時金として支払っている場合、入居後にかかる月額費用の相場は約25万円です。
これは管理費と食費を足した金額のため、主に共用部分の設備や食事の内容によって前後します。
合わせて、サークル活動の参加費や医療費なども別途支払わなければなりません。
仮に10年間自立状態での入居が続いた場合、「月総額28万円×12か月×10年」で、合計3,360万円が必要になる計算です。
入居後にかかる月額費用(要介護期)
月額費用 | 25万円 |
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介護保険サービス費 | 10万円 (上乗せ介護費を含む) |
諸費用 └通院付き添い代 └サークル活動参加費用 └医療費 など |
3万円 |
お体の状態が変化し介護が必要になると、管理費・食費に加えて介護サービスの利用料がかかるため、月々の費用がアップします。
仮に住宅型有料老人ホームにお住まいの方が、要介護3の認定を受けた場合、月の負担限度額は1割負担で約2万7,000円、2割負担で約5万4,000円、3割負担で約8万1,000円が目安です。
また、介護・看護に関わるスタッフが基準以上に配置されている施設では、その分の上乗せ介護費も別途求められることがあります。
要介護状態での入居が5年間続くと想定した場合、「月総額38万円×12か月×5年」で、合計2,280万円程度が必要になるでしょう。
高級老人ホームは夫婦で入ると安くなる?
一般的な老人ホームであれば、1人ずつ個室を利用するよりも、2人部屋へ揃って入居するほうが、入居時費用および月額費用を抑えられる傾向があります。しかし、これは2人部屋としては最小クラスの居室面積などの場合に限られます。
高級老人ホームのような、居室面積や設備が充実した施設の2人部屋の場合は、純粋に1人部屋の2倍の費用がかかるのが一般的です。
2人部屋のある高級老人ホームを探す高級老人ホームの資金計画の立て方
高級老人ホームは、一般的な有料老人ホームと比較しても、入居時および入居後にかかる費用が高額になりがちです。年金だけでは賄えないケースがほとんどのため、「平均寿命よりも長めに入居する」、そして「将来的に介護費用もかかる」ことを前提に、入居時の預貯金を考慮した余裕のある資金計画を立てましょう。
高級老人ホームの料金プランはどれを選ぶべき?
一時金方式 | 家賃に相当する額を全額入居時費用として支払い、入居後は管理費や食費、介護サービス費等のみを毎月支払う |
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一部前払い方式 | 家賃の一部を入居時費用として支払いつつ、残りは月々の諸費用と合わせて支払う |
月払い方式 | 入居時費用として敷金のみを支払い、入居後に毎月の家賃と管理費、食費などを支払う |
資金計画を立てるにあたっては、どの料金プランを選ぶかという点も試算に大きく影響します。老人ホームの料金プランは、大きく分けて上記の3つがあり、これらの違いは“家賃相当額をどのタイミングで支払うか”という点にあります。
「どれを選ぶのが得」とは一概に言えませんが、仮に預貯金が十分あり、かつ毎月の収入は年金のみで終身利用を検討している場合は、入居後の負担が少ない一時金方式を選ぶと、経済的な見通しが立てやすく安心感があるでしょう。
一方、高級老人ホーム入居時のご年齢が90歳以上であった場合など、想定入居年数を下回る可能性を加味し、初期費用を抑えられる一部前払い方式や月払い方式を選択される方もいます。
関連記事老人ホームの費用はいくらかかる?介護施設ごとの相場や料金を抑える方法
まとめ
高級老人ホームは、入居時費用のみで1,000万円以上、そして管理費や食費、介護費などに毎月20万〜40万円前後の費用がかかります。
高額な料金を支払う分、立地や設備、過ごしやすさ、食事などの面で、他にはないメリットを感じることができるでしょう。
LIFULL介護では、豊富な施設情報から、理想の条件やご予算に合った住まい探しをお手伝いします。老後の暮らしをより快適なものにするために、まずはどんな施設があるのか、ぜひ一度ご覧になってみてください。
【無料】プロのスタッフに入居相談を行うこの記事の制作者
監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)
介護施設の入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護の情報発信を行う。