【図解】サービス付き高齢者向け住宅の費用のめやす

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が暮らしやすいように建物やサービスが設備された賃貸住宅のことです。

有料老人ホームと比較すると低額で入居できる施設が多いのですが、住まいと見守りサービスなどを提供する「一般型」と常駐スタッフから直接介護サービスが受けられる「介護型」では費用相場も異なります。

具体的にどのように違うのか、どのような費用がかかるのかを解説いたします。

サービス付き高齢者向け住宅の費用相場

初期費用 月額費用
19.8万円 16.8万円

※2022年8月31日時点LIFULL介護サービス付き高齢者向け住宅掲載データより集計

老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の料金相場

サービス付き高齢者向け住宅は、入居するタイミングで支払う初期費用と入居後に月々支払っていく月額費用の2つに分けられます。

初期費用の相場はサービス付き高齢者向け住宅の種類によっても異なります。

サービス付き高齢者向け住宅の種類は「一般型」と「介護型」に分けられます。

「一般型」のサービス付き高齢者向け住宅は一般の賃貸住宅と似た施設です。安否確認や生活相談サービスの提供が義務付けられており、施設内はバリアフリーとなっています。

一般の賃貸住宅と同様に敷金として家賃数ヶ月分の支払いを求められることが多いです。

サービス付き高齢者向け住宅のほとんどが一般型です。

「介護型」のサービス付き高齢者向け住宅は、一般型で提供される安否確認と生活相談サービスの他に、施設の職員から直接介護を受けることができます。「特定施設」という都道府県の指定を受けており、介護付き有料老人ホームと同等の介護サービスを提供しています。

そのため、有料老人ホームと同様に、入居時に数十万から数千万の入居一時金の支払いを求められることがあります。

初期費用の相場についてご説明しましたが、初期費用がかからないサービス付き高齢者向け住宅もあります。

また、「一般型」だからといって介護サービスを受けられない、というわけではありません。

介護が必要になったら、外部の事業者と契約をしてサービス付き高齢者向け住宅に住みながら介護サービスを受けることができます。

多くのサービス付き高齢者向け住宅で介護事業所を併設しているので、要介護になっても住み続けることは可能です。

実際に2022年現在、サ高住入居者の8割は要支援・要介護認定があります。

↓サービス付き高齢者向け住宅の費用について動画で見る

サービス付き高齢者向け住宅の大まかな費用構成

サービス付き高齢者向け住宅に入居する際は初期費用と月額費用がかかりますが、「一般型」と特定施設の認定を受けている「介護型」ではその金額が変わってきます。

一般型

  • 契約形態:賃貸借契約
  • 初期費用:敷金として数十万円程度が相場。礼金、更新料は不要です。
  • 月額費用:家賃と管理費で約5万円~25万円くらい。家賃については周辺の賃貸マンション・アパートの相場に準じています
  • 介護サービス:外部事業者と契約して介護サービスを受けます。介護サービスを利用した分だけ請求されるので、月々の介護サービス費は変動します。

【一般型】の費用例(要介護2、介護保険1割負担の場合)

サービス付き高齢者向け住宅の一般型の費用負担モデル図

介護型

  • 契約形態:利用権契約が多い
  • 初期費用:入居一時金として数十万円~数千万円
  • 月額費用:家賃、管理費、食費として15万円~40万円程度かかります
  • 介護サービス:施設から直接介護サービスを提供されます。利用料は毎月定額です。

【介護型】の費用例(要介護2、介護保険1割負担の場合)

サービス付き高齢者向け住宅の要介護2の場合の費用負担モデル図

サービス付き高齢者向け住宅の初期費用の内訳

・入居一時金
・敷金
・保証金
のいずれかがかかります

入居一時金

介護型は有料老人ホームのように入居一時金を求められるケースが多いです。

相場は数十万円~数百万円と施設によって差があります。

入居一時金とは、一定期間の家賃を前払いする意味合いのもので、月々の支払いから前払い家賃分が割り引かれます。

割り引きは退去まで適用されるので、月額費用を低く抑えることができます。

運営事業者は家賃分を預かる形になり、それに対して保全措置を取ることが義務付けられています。最高500万円までの保証となっています。

また、入居一時金には返還金制度が設けられています。

納めた家賃分の期間を償却期間とし、それを満たす前に退去となった場合は未償却分を返還するという内容です。

敷金

大半を占める一般型では、通常の賃貸借契約と同様に敷金として数十万円かかるところが多いです。0円のところもあります。

礼金、更新料は不要です。

保証金

敷金と同じ意味合いのところが多く、退去時に居室の修繕や原状回復に充当され、残りは返還されます。

その他にかかる費用

その他、別途費用としては、本人の身体状況やライフスタイルに合わせて下記のものが挙げられます。

月額費用は、本人がどんな暮らしにしたいかを想像して、別途費用まで含めた金額を想定しておくことが大切です。

1.医療費、薬代
診察費、薬代、通院にかかった交通費など
2.消耗品
生活に必要な日用品や衛生用品(オムツ)など
3.オプションサービス
清掃や洗濯などの家事代行、外出時の送迎など
4.介護サービスを利用した場合の費用
介護保険サービス費の1割、または収入に応じて2割~3割の自己負担
5.サークル活動やアクティビティーへの参加費
材料費や講師料などの実費、参加費用

サービス付き高齢者向け住宅と老人ホームの費用の違い

サービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム
初期費用 0~数十万円 0~数千万円
月額費用 10~30万円 15~40万円
その他費用 3~10万円 3~10万円
1年間総費用 150~500万円 220~1200万円

サービス付き高齢者向け住宅(一般型)は、有料老人ホームと比較すると初期費用を低く抑えられるのが特徴です。

月額費用も手厚いサービスの提供が少ない分低くなっています。

有料老人ホームはサービスが充実している分、初期費用・月額費用ともに割高になります。

実際はホームによる金額の差が大きいので、その内訳や根拠を確認して比較・検討する必要があるでしょう。

まとめ

一般型のサービス付き高齢者向け住宅は、初期費用が少なく、住み替えが必要になった場合の金銭的リスクが少ないので、急いで入居を希望する方でも選択肢として考えやすいです。

しかし、将来の備えとして考えた場合、一般型では不安要素が大きい施設もあるでしょう。

その場合は、介護付き有料老人ホームなどへの住み替えを前提として資金を準備しておきましょう。

介護型のサービス付き高齢者向け住宅を選べば住み替えの必要も少なくなりますが、その分費用もかかります。

どちらが良いかは経済的な条件も絡み一概には言えませんが、介護型は全体のわずか8.9%(※)しか存在しません。そもそも選択肢がないため介護型を狙って入居するのは困難といえます。

そのため、基本的には一般型が選択肢になるのですが、実は要介護者も多数入居しています。

施設探しの際は、介護度がより重くなったときや認知症の症状が進行した場合などを想定し、今入居している人で最も重い身体状態の方はどんな状態なのか、「退去要件」はどうなっているのかをよく確認しておきましょう。

介護の必要があまりなく、自分で食事を作るなど自宅に近い生活を希望していて、寝たきりになった時は、住み替えを考えるという方は一般型が良いのではないでしょうか。

一人暮らしが不安に感じている方や、少しの介護があれば、自分で生活できる方にとっては、サービス付き高齢者向け住宅を選択することは、希望される生活と合うかもしれません。

まずは一度、しっかりと見学をし、どんな生活を送れるのか話を聞いたうえで、自分にあった施設を選んでみましょう。

サービス付き高齢者向け住宅について詳しくはこちら 【はじめての方へ】リバースモーゲージ|自宅を活用して入居資金を準備しよう 【PR】憩いとやすらぎの老人ホーム、介護事業40年の創生会グループ

この記事の制作者

武谷 美奈子

著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

介護施設の入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護の情報発信を行う。

プロフィール詳細LIFULL senior

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