【図解】介護療養型医療施設(介護療養病床)の費用
介護療養型医療施設は、入居時費用は0円、月額費用はおよそ9~17万円と、安価でサービスが受けられます。
しかし、老健や介護医療院への転換が決まっており、2024年3月末までに廃止の予定です。
介護療養型医療施設の費用の考え方
介護療養型医療施設(別称:介護療養病床)では、入居一時金などの初期費用は必要ありません。
入居後に月額費用として、介護サービス費と生活費(居住費・食費・その他日常生活費)を自己負担することになります。
下の図は、要介護度3の入所者が負担する費用のイメージです。
例)要介護度3の方の場合
介護サービス費(介護療養型医療施設サービス費)は、要介護度などによって異なり、要介護度が高くなるほど、高額に設定されています。
また、施設の設備や職員の体制、施設で対応する処置やサービスなどに応じて、「褥瘡対策指導管理加算」「感染対策指導管理加算」などの介護サービス加算が発生し、その1割も自己負担となります。
※自己負担割合はその方の収入に応じて1割~3割となります。
生活費に含まれる居住費は、施設や居室のタイプによって決まり、多床室よりも個室の方が高く設定されています。
また施設ごとに、その他生活費として、電話代や理美容代、新聞・雑誌などの項目・料金が設定されており、入所者は実費を負担します。詳細はケアマネジャーや施設に確認してください。
月々の費用(目安)
介護療養型医療施設の費用は負担能力に応じて、入所者本人と主たる扶養義務者(配偶者・子供など)が負担することになります。
以下は、東京の介護療養型医療施設における自己負担額の例です。
介護療養型医療施設の月々の費用
従来型多床室の費用(30日換算、要介護3の場合)の表 | |
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内訳 | 利用料 |
居住費 | ¥11,310 |
食費 | ¥43,350 |
その他費用 | ¥11,000 |
介護療養型医療施設サービス費 | ¥29,460 |
サービス加算 | ¥1,567 |
合計 | ¥96,687 |
ユニット型個室の費用(30日換算、要介護3の場合)の表 | |
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内訳 | 利用料 |
居住費 | ¥60,180 |
食費 | ¥43,350 |
その他費用 | ¥11,000 |
介護療養型医療施設サービス費 | ¥30,060 |
サービス加算 | ¥1,567 |
合計 | ¥146,157 |
- 2021年4月更新
ただし本人および世帯全員が生活保護の対象であったり、年収が少なかったりすれば、居住費や食費は低く設定され、介護サービス費についても高額介護サービス費などの補助金が自治体から支給されます。
そのため、実際の自己負担金額については、施設に直接確認しましょう。
介護保険が適用される
介護療養型医療施設とは、医療法人などによって運営される施設で、医療処置が充実しており、寝たきり状態の高齢者や重度の認知症患者をはじめとして、特別養護老人ホームよりも重度の要介護者を多く受け入れています。
サービスは、痰の吸引、経鼻栄養、酸素吸入といった医学的管理下でのケア・看護・リハビリ・介護などが中心で、レクリエーションなどのサービスはあまり行われていません。
これまでご案内した通り、費用については、介護保険が適用されます。
「医学的管理が必要」という理由で介護施設に入居できない方。そして、「医療保険で入院する医療療養病床では金額が高い」と感じる方にとっては、場合によっては医療保険より安く医学的管理をしてもらえるかもしれません。
一度、介護療養型医療施設を検討してみてはいかがでしょうか?
※その方の所得により異なる、介護保険負担割合(1割、2割、3割)や要介護度、必要な医療の有無によっては、医療保険の医療療養病床の方が安くなる場合があります。
新設された「介護医療院」とはイラスト:安里 南美
この記事の制作者
監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)
株式会社HOPE 代表取締役
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。