仙台市青葉区の緑豊かな丘陵に佇む「リヤンド‐絆‐仙台青葉」。この施設の最大の特徴は、「生活」と「医療」を両立させたホスピス型のサービス付き高齢者向け住宅であることです。看護師が24時間365日常駐し、医療依存度の高い方々が安心して暮らせる環境を提供しています。
病院や一般的な有料老人ホームと「リヤンド‐絆‐仙台青葉」は、何が違うのでしょう? その違いやスタッフの想いなどについて、施設長の大澤知広さんにお話しを伺いました。
医療依存度の高い方にこそ、「その人らしく」暮らしていただきたい
──はじめに、大澤さんが介護業界に入られたきっかけやこれまでのキャリアについて教えてください。
大澤さん: 大学を卒業後、東京の企業にSEとして就職しました。両親が祖父母の介護をしていたのをきっかけに介護業界に興味を持ち、約23年前に転職を決意しました。
その後介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得し、デイサービスやショートステイ、特別養護老人ホームなどで管理職として経験を積んだあと、2023年8月に「リヤンド‐絆‐仙台青葉」へ赴任しました。
──「リヤンド‐絆‐仙台青葉」の特徴について教えてください。
大澤さん:ひとことで言うと、「生活」と「医療」を両立させたホスピス型の「サービス付き高齢者向け住宅」です。
当施設には、末期の悪性腫瘍、パーキンソン病、進行性筋ジストロフィー症などの神経難病を患う方や、人工呼吸器や気管カニューレ、留置カテーテルを使用している方など、医療依存度の高い方々が多く入居されています。
当施設の大きな特徴は、経験豊富な看護師が24時間365日常駐している点と、訪問診療や医療機関との密な連携が取れている点です。これにより、医療依存度が高い方々にも安心してご入居いただける環境を提供しています。
──病院や一般的な有料老人ホームとの違いについて教えてください。
大澤さん:病院は医療機関なので、主な目的は治療です。そのため、病院では治療体制が充実していますが、治療を優先するために面会時間や場所、差し入れや食事に関する制限が多くあります。
一方、一般的な有料老人ホームでは、入居者がその人らしい生活を送ることができます。しかし、医療依存度が高い方の入居は難しく、受け入れられたとしても、医療面での不安を感じる方が少なくありません。
私たちは、これらの制限や不安をできる限り取り除き、入居者が望む生活を送りながら、医療面での十分なサポートも提供できる場所を目指しています。「生活」と「医療」の両立というのは、まさにこのバランスを大切にしているという意味です。
──制限が少ないというお話でしたが、具体的な例を教えていただけますか?
大澤さん:「その人らしく暮らしていただきたい」という想いから、制限をできる限り減らし、自由な生活を送ることができるように心がけています。
医師の許可が出ていることが条件となりますが、見学に来られた方が驚き、入居者さまから喜ばれている例をご紹介しましょう。
たとえば、食事の選択肢です。毎日食堂で提供していますが、出前を取って、ご自身の個室でお好きな食事を楽しむこともできます。また、お酒やたばこも可能で、実際に1階には喫煙ルームも完備しています。
面会や外出の制限が少ないことも好評です。特に終末期の方は24時間、いつでも面会が可能です。マスクの着用が難しいお子様も個室で面会できる配慮がなされています。
さらに、外出や外泊も自由にできます。週末に自宅へ帰って私物の整理をするなど、最期の時間を有意義に過ごし、大切な人と過ごせると、ご本人もご家族も大変満足されています。
──手厚い医療面でのサポートがあるというお話もありました。具体例を教えて下さい。
大澤さん:看護師が24時間365日常駐しているとご紹介しましたが、他の高齢者施設で入居が難しい医療的ケアなど、難易度の高い対応ができる点が特徴です。
また、入居者さまには病状に合わせ、医師と往診の契約を個別に結んでいただいております。何かあれば医師や提携する医療機関に、私たちが連絡する体制も整っています。
理容歯科コーナー
毎日の朝礼で情報を共有し、丁寧で心が通ったサービスを提供
──入居者さまと直接関わる、スタッフについて教えて下さい。大澤さんはスタッフの皆さんに、どのような働きかけをしているのですか?
大澤さん:私たちの存在意義である「生活」と「医療」の両立を、いつも意識するようにと話しています。入居者さまは、なぜ「リヤンド-絆-仙台青葉」を選んでくださったのかを自分で考え、あるいは知ることが大切だと考えるからです。
──特に意識して実施していることはありますか?
大澤さん:入居者さまの情報共有です。毎日、朝礼の場で、全職種のスタッフによる情報共有をしています。看護師だけでなく、介護士、ケアマネージャー、事務員も含めてです。
おかげさまで、私たちは入居者さまからお褒めの言葉や感謝の言葉をかけていただくことがよくあります。なぜその言葉をかけていただいたのかを考えると、本質的な私たちの存在意義が理解できるようになります。
入居者さまと直接会話をする機会が多いのは、看護師や介護士です。会話をする中で入居者さまが発したひと言の中に、入居者さまの想いや希望が込められていることがあります。それを自分だけで対応するのではなく、実現できる方法を全員で考えるようにしています。
──先ほども、ご入居者が「ありがとう」とスタッフの方に声をかけていたのを目にしました。
大澤さん:はい。あの言葉は、入居者さまが、別の施設にいるご家族と面会できたことへの感謝の気持ちでした。入居者さまは車椅子のため、自分一人では会いに行けない状況でしたが、どうしても家族に会いたいという思いがありました。
その希望をスタッフが日常会話の中で察知し、全員で実現方法を考えたんです。先方の施設と調整し、ついに先日、面会が実現しました。ご本人も大変喜んでくださり、その後、元気を取り戻しているのを見ると、私たちもとても嬉しく感じています。
──とても心温まるお話ですね。そのようなエピソードはたくさんあるのですか?
大澤さん:はい。それこそ毎日、たくさんあります(笑)。たとえば今日の話ですが、事務員がご家族から御礼の言葉をいただきました。通常、事務員は入居者さまと会話をする機会はあまりありません。しかし、ご家族が面会に来られた際に「本人の様子はどうですか?」と聞かれ、その事務員は朝礼での共有と、自分が見た入居者さまの様子を伝えることができました。事務員がきちんと入居者様の様子を把握していたことが、ご家族にとってとても嬉しかったようです。
──すばらしいエピソードですね。スタッフの方は、みなさんがそのような心構えを持っているのですか?
大澤さん:そうですね。まずは、入居者さまお一人お一人の希望を把握する。次に、それをどうやれば実現できるかを考えるという気持ちでスタッフは行動しています。チームで全員が考えてくれるので、私は最終的な判断と実行をするだけです。本当に、頼もしいスタッフです。
いつも明るく温和な表情のスタッフ
自由な生活と安心の医療体制を、低価格で実現できることを伝えたい
──ご入居者やご家族の評判や感想について教えて下さい。どのような声が多いのでしょう?
大澤さん:ご入居者様の自由な生活と安心できる医療体制について、これまでお話してきましたが、施設の設備に関する評価も非常に高いです。
高台に位置し、全室個室からは美しい緑や市街地が一望できるロケーションです。建物は鉄筋コンクリート造りで防音性に優れ、居室にはクローゼット、引き出し、トイレ、浴室が完備されています。
さらに、これらの充実したサービスを一般的な年金の範囲内でご提供できている点も特徴の一つです。どれだけすばらしいサービスでも、金額が高くてはご利用いただけないので。
評判が良い個室からの眺望
食堂兼リビング
──最後に、今後さらに進めていきたいことを教えて下さい。
大澤さん:ご病気を抱える入居者さまが人生の最期を迎える場面で、ご本人様がやりたかったことやご家族様がしてあげたかったことの実現をお手伝いしたいという想いは変わりません。今後その範囲をさらに広げ、多くの方に私たちの想いを知っていただきたいと考えています。
2024年の冬には、リハビリ対応の範囲をさらに拡充する予定です。「リヤンド‐絆‐仙台青葉に来ると、できることが増えた」と皆さまに感じていただけるよう、日々努力を続けています。