豊かな自然に恵まれた滋賀県栗東市にある「リヤンド-絆-栗東(旧:シルバーハウス栗東)」。全室個室のサービス付き高齢者向け住宅として、「細かな思いやりを大切にするケア」をモットーに一人ひとりに合った温かいサービスを提供しています。

2023年7月1日から「住宅型ホスピス」という新たな取り組みとして医療依存度の高い方々の入居サービスをはじめました。「病院完結型」から「地域完結型」へという時代の流れを見据えた新規サービスについて所長の寺田さんにお伺いしました。

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時代に求められている「住宅型ホスピス」

――7月から新たにはじまった「住宅型ホスピス」について教えてください。

寺田さん:私たちはこれまでサービス付き高齢者向け住宅やデイサービスなど、多岐にわたるサービスを提供してきました。これまでの経験を生かし、さらに安心をお届けするために、2023年7月から医療依存度が高い方でも安心して住むことができる「住宅型ホスピス」の運営をはじめる事になりました。

住宅型ホスピスというのは、病気などで医療依存度が高い方が自宅のような環境で、医療的ケアと介護支援を受けることができる施設のことです。このサービスをスタートさせるために2023年4月には訪問看護ステーションを立ち上げ、医療機器の導入、ヘルパーや看護師の増員など、必要な環境を整えてきました。

――医療依存度が高い方とは具体的にどういう方ですか?

寺田さん:末期の悪性腫瘍(末期がん)を患う方、神経変性疾患(パーキンソン病・多発性硬化症、重症筋無力症・脊髄小脳変性症や筋萎縮性側索硬化症といった 難病)を患う方、人工呼吸器等での呼吸管理が必要な方などになります。

このような日常的に医療的ケアが必要な方が住み慣れた地域で安心して過ごすことのできる施設が全国的にもまだまだ少ないため、少しでも地域の力になりたいという思いで新しいサービスの取り組みを決意しました。

――医療依存度が高い方を受け入れるということは、専門的なケアが必要になりますね。

寺田さん:そうですね。経験豊富な看護師が24時間365日常駐し、訪問診療医や近隣の医療機関と密に連携して、専門ケア体制を整えることが必要になってきます。

幸いすでに地域の医療機関とは強い信頼関係で結ばれていますし、施設には経験豊富な訪問看護師がいます。新しい取り組みとはいっても、これまで私たちが行ってきたことの延長線上にあるものだと認識しています。

実はこれまで医療依存度の高い方はお断りするケースがあり、どうにかできないかと考えていました。しかし、この取り組みがスタートすることで「難病だから、介護施設に入れないのでは…」と入居を諦めてしまう方への門戸が開くことなり嬉しく思っています。ただ、医療と介護の両立は簡単ではないので気を引き締めていきたいです。

――医療と介護の両立は難しいことなのですか?

寺田さん:基本的に病院は医療が優先で、介護を行うことはありません。一方、介護施設は介護が中心で、末期がんの方や難病の方の受け入れは困難でした。しかし、「生活」と「医療」の両方を両立させたいというご本人やご家族のご要望は年々増えています。国もこれまでの「病院完結型」から「地域完結型」へと舵を切り、病床の削減・平均在院日数の短縮を推進しています。

もちろん、病院が運営するホスピスというのもありますが、介護施設だからこそできるアプローチがあり、私たちが培ってきた「ケアのプロ」としてのスキルをこうした方々にも提供することで、生き生きとした暮らしや笑顔がある豊かな時間を持ってもらえると思っています。

「その人らしい生活」を最期まで

――サービスの部分で大事にしていることはなんでしょうか。

寺田さん:一人ひとりの利用者さんが「その人らしい生活」を送れるということです。どれだけ医療依存度が高くなっても、日々の生活というものがあり、そこに楽しみを見出し、笑顔でいたいと誰しも思うのではないでしょうか。

様々な制約がある中で、その人らしさを尊重し、引き出すためには、周囲の環境やスタッフの力が必要です。私たちも入居者様がその人らしく、生き生きと日々を過ごしてくださることが何よりも大きなやりがいです。


――そのためには入居者様と良い関係を築くことが大事ですね。

寺田さん:はい。お一人おひとりにしっかりと向き合い、「こう生活したい」というお気持ちをきちんと汲み取るケアが必要です。入居者様は人生の大先輩であり、尊敬の念を持っていつもお話ししています。もちろん、入居者様によって、スタッフとの接し方は様々です。家族のようなフレンドリーさを求める方がいれば、ホテルのようなホスピタリティーを求める方もいます。入居者様とうまくコミュニケーションを取ることに関しては、これまでの幅広いサービスの中で培った経験があるので、私たちも自信を持っているところです。

当施設では週に2回、「とくし丸」という移動スーパーが施設に来るのですが、これも「その人らしさ」の追求のひとつと言えるかもしれません。新鮮な魚や野菜、果物といった食料から、衣類などの日用品まで様々なものを購入できます。自分の好きなものを食べたり着たりしたいという気持ちを尊重し、毎日を少しでも楽しく過ごしていただきたいと思っています。こちらはご家族もご利用いただけます。

また、絵を描くことが好きな方にはとことん絵に没頭していただいたり、オカリナが好きな方はボランティアも交えてミニコンサートを開いたり。毎日の生活に彩りが与えられるようなサポートをしています。私たちスタッフも入居者様の生きがいに勇気づけられることもよくありますよ。



地域の課題を解決し、地域に貢献する


――新しい取り組みと地域貢献はどうつながるのでしょうか。

寺田さん:慣れ親しんだ土地で、自分たちの拠点である地元で、親の介護を行いたい。しかし、受け入れ先がない。そう悩んでいるご家族は多いと思います。医療依存度が高い場合は特にそうです。

近くの地域での受け入れ先がないとなると、自宅とは離れた場所になります。また、受け入れ先が決まるまで時間がかかることも多く、半年ほど探してようやく見つかったというケースもあるそうです。

こうした受け入れ先を探すための時間と労力は、ご家族にとって大きなストレスになります。親の介護を担う世代は働き盛りで、自分たちの仕事や暮らしもあります。ご家族が心に余裕を持って、地元で親の介護を任せることができれば、より地域も元気になり、笑顔が増える。こんなに嬉しいことはありません。



――地域における福祉の拠点として、さらにレベルアップするということですね。

寺田さん:これまでもご家族や地域の方と連携してボランティア活動を行ったり、地域のみなさんも参加できるイベントを行ったりするなど、多くの交流の機会を持ってきました。地域の医療関係者、ケアマネジャー、行政の方たちのサポートなくして、私たちの仕事は成り立ちません。より充実したサービスを提供できるようになり、ますます地域の頼れる存在となっていきたいと思っています。

ご入居を検討される方やご家族の方はぜひ一度見学にお越しください。施設の暮らしをもっと体感したいという方には宿泊体験をしていただくことも可能です。「その人らしい生活」に重きを置いた安心の暮らしを実感してください。


(記事中のサービス内容や施設に関する情報は2023年7月時点の情報です)