神奈川県横須賀市にある『サニーステージ野比弐番館』は、神奈川県内で90年以上の歴史をもつ、建築会社の小俣組が手がける介護付き有料老人ホームです。
野比海岸が目の前で、全居室オーシャンビューであることが最大の特長ですが、自慢したいのはそれだけではないとのこと。副支配人で生活相談員の下田さんにお話を伺いました。
入居者の小さな表情の変化も見逃さない
【副支配人として日々入居相談を対応する下田さん】
——まず、下田さんが介護業界に入られたきっかけを教えてください。
下田さん:介護業界に入ったのは13年前のことです。ずっと専業主婦だったんですが、あるとき介護ボランティアを始めようと思い立ち、当時でいうヘルパー3級の資格を取りました。その後、横須賀市から「訪問介護の仕事をしませんか」とお声がかかるようになりました。
介護の仕事は初めてでしたが、もともと人と話すのが好きだったので自分に合っていたのでしょうね。ご利用者さま一人ひとりのご希望やニーズに応えながら接することで、徐々に受け入れていただくことができました。
【サニーステージ野比弐番館について熱い想いを語る副支配人】
——最初は訪問介護をされていたのですね。小俣組にはどんな経緯で入ったのですか?
下田さん:実は夫が小俣組に勤めていまして、介護事業部を設立するときに、「資格を持っているなら手伝ってくれないか」と声をかけられたんです。最初の数年は介護士として働き、それから現在のような相談業務に移りました。
——現在の相談業務について教えてください。
下田さん:入居のご相談やご契約、ご入居後の要望などへの対応、スタッフの取りまとめなどを行っています。ご入居者さまが安心して快適に暮らせるよう、介護士や看護師との間を橋渡しすることが仕事ですね。
【一人ひとりに寄り添った住み心地のよい老人ホーム】
−−入居者と接するとき、心がけていることはありますか?
下田さん:入居されて間もない方には特に話しかけるようにしています。新しく入居された方数人とスタッフとで、ささやかですが食事会を開くこともあるんですよ。おかずは介護食ではなく通常のものを食べ、ごはんは出前のお寿司に変えて。
入居者さまに心を開いてもらうよう、時にはお酒も飲みます。少人数で話すと、お互いにいつもと違った面を知ることができたり、趣味や故郷など共通の話題が見つかったりしますよね。そうすると、普段の生活でも自然と会話が生まれるんです。
また、ご自分の気持ちを言葉にするのが苦手な方もいらっしゃいますので、お顔の表情をよく見るようにしています。「元気がないな、心配ごとがあるのかな」と感じたときは、散歩にお誘いします。
車いすを押して海沿いを歩き、のんびりと海岸線や砂浜を見ながらお話すると、普段は寡黙な方も、意外なほど喋ってくださるんですね。
−−入居者の微妙な表情の変化に気づくのは、それだけ普段からよく見ているということでしょうか。
下田さん:普段から様子を見ていないと気づけません。ですから、スタッフには「ご入居者さまをよく見て、心のキャッチボールをちゃんとしてください」とお願いしています。
心が元気をなくすと、食事が憂鬱になったり、部屋から出なくなったりして、身体も少しずつ元気ではなくなってしまいますからね。
“楽しいリハビリ”で元気を取り戻す
【青い海と空が気持ちいい、明るい機能訓練ルーム】
——「サニーステージ野比弐番館」は絶好のロケーションを売りにされていますが、そのほかにどのような特長がありますか?
下田さん:機能訓練、お散歩、レクリエーションに力を入れています。機能訓練ルームには足漕ぎ車いすを3台置いています。足の筋力はもちろん、腹筋や背筋も鍛えられ、姿勢も良くなります。脳梗塞で片足が麻痺されている方も、一方の足で漕ぐともう一方も動くので、いいリハビリになるんです。
廊下が回廊型になっているので、みなさん楽しそうな表情でぐるぐると周回されています。痛い・キツい・苦しいリハビリではなく、楽しいリハビリなんですね。足漕ぎ車いすは最初は1台だけでしたが、とても好評だったので3台に増やしました。
【足漕ぎ車いすの機能訓練が入居者に大好評!3台に増やすことに】
——楽しみながらリハビリできる、というのはいいですね。
下田さん:毎年夏に納涼祭を開くんですが、普段車いすを使っていた方が「自分の足で立って盆踊りを踊りたい」と言って、毎日歩行訓練を行い、見事目標を達成されたことがありました。やっぱり、目標ができるとリハビリの成果も違いますね。
入居の際に荷造りを頑張りすぎて腰痛を煩い、一時期寝たきりに近い状態になられた方も、リハビリをして元気を取り戻し、いまでは毎日スタッフと一緒にお散歩に行っています。ご家族が「こんなに良くなって」と、とても驚かれていました。
大勢が入居するホームなので、スタッフが一人付き添ってお散歩に行くのは、運営上大変な部分もあります。でも、お散歩は心にも体にも良い影響を与えます。
季節の花を眺め、香りを感じ、砂浜を歩いく。五感を刺激することで認知症予防にもなるし、足腰も鍛えられます。だからこそ、スタッフにもできる限りご入居者さまをお散歩にお連れするように、と伝えています。
入居者に好評なレクリエーションとは
——レクリエーションはどういった内容がありますか?
下田さん:毎日実施しているのは体操です。そして、映画鑑賞、ちぎり絵、調理、カラオケなどたくさんのレクリエーションを日替わりで行っています。毎週土曜日の英会話は、「若いときは戦時中で英語が習えなかったから」と、嬉しそうに学んでいる方も多いんです。
みなさん心がお若くて、いつまでも学ぶ姿勢を持っていらっしゃるんですね。私たちもそうした姿に刺激を受けています。
【華麗な花々と美しい緑に囲まれる生け花レクリエーション】
——いくつになっても新しいことに挑戦する姿勢を持っていらっしゃる方は素敵ですね。
下田さん:ホーム内のレクリエーションではありませんが、シニア世代のファッションショーを主催している団体から「どなたか出場しませんか」と声をかけられて、ご入居者さまを推薦したことがありました。当日はとっても素敵に変身されていましたよ。
最初は恥ずかしがって「誰にも言わないで」なんておっしゃっていたのに、終わったら「いい思い出になった」って写真をみんなにお見せになっていて。ご家族もとても喜んでいらっしゃいました。
「毎日が幸せ。いいところに入れていただきました」
ここで、入居者の田中好子さんがインタビューに応えてくれることになりました。実際に入居されている方は、日々の暮らしにどんな感想を抱いているのでしょうか。
【入居されている田中さんに日々の暮らしについて伺いました】
——田中さんはいつからこちらに入居されているのですか?
田中さん:2年前からお世話になっています。主人は20年程前に亡くなって、子どもたちも結婚して家を出ていたので、ずっとひとりで暮らしていました。
でも、もう年だから、息子が「ひとりにしておくのは心配だ」と言っていたんです。それで、電車内でここの広告を見て「老人ホームってどんな感じかな」と思って電話してみたの。そうしたら家まで迎えに来てくださってね。
すぐに入居するつもりはなかったけど、綺麗なところだし、ここなら息子も安心だというので、入ることにしました。
——実際に入居されていかがでしたか。
田中さん:いいお友達ができたんですよ。とっても暮らしやすくて幸せです。下田さんもみなさんも優しくしてくださって、いろんなご相談ができて、いいところに入れていただきました。毎日幸せで、とっても喜んでいます。
下田さん:田中さんはとっても努力家なんですよ。ご自分で目標を決めて、毎日足漕ぎ車いすで運動されていらっしゃるんです。
【日々の習い事で活きいきと暮らす田中さん】
田中さん:91歳にもなると、腰がくの字に曲がってくるんですね。息子が「みっともないからしゃんとせえ」なんて言うんです。足漕ぎ車いすを使うと姿勢も良くなるというから、毎日午前中に乗るようにしています。
下田さん:レクリエーションにも積極的に参加されていますよね。
田中さん:何でも習いたいんです。生け花は月2回、お習字は月1回。体操もあるし、英語もあります。上手にはできないけど、参加するだけで楽しいから、全部行くようにしています。今日もこれから生け花なんですよ。
【カメラを向けると自然と笑みがこぼれる田中さんと下田副ホーム長】
——充実した毎日を送っていらっしゃるのですね。
田中さん:みなさんに親切にしていただいているおかげで生きているようなものです。本当にありがたいなと思っています。だから、ここのことを上手に宣伝してくださいね(笑)そのためならいくらでもお話しますから。
下田さん:そんな風におっしゃっていただけて、私たちも嬉しいです。
サニーステージ野比弐番館の取材を終えて
入居者がホームでの暮らしに満足していること。そして、スタッフのみなさんととても良い関係が築けていることが伝わってきました。老人ホーム選びは、立地や建物の良し悪しだけでなく、スタッフのホスピタリティという点もポイントですね。快適な生活のため、日々入居者に向き合う下田さんやスタッフに会いに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
(記事中の内容や施設に関する情報は2016年10月時点の情報です)