老人ホーム見学4つのチェックポイント、おすすめの時間帯
老人ホームや施設を探す時には、実際に見学をすることで、入居者の様子やスタッフの働きぶり、ホーム全体の雰囲気など、多くの情報を得ることができます。
その際、どんな視点で何を観察すれば良いのか、ポイントをわかりやすくまとめました。後悔しない老人ホーム選びのためにもぜひお読みください。
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なぜ見学が必要なのか
「百聞は一見に如かず」と言う通り、パンフレットを読んだだけの情報に比べて実際の見学で得られる情報はとても多く、入居後に後悔しない老人ホーム選びのためにも見学を外すことはできません。
見学では現在入居している方々やそこで働いているスタッフ達の様子が確認でき、パンフレットではわからないホーム全体から受ける雰囲気を感じることができます。
それは、家族や自分自身にとって良いホームなのかを判断する重要な要素となります。
また、ホーム側も見学なしで入居を勧めることはありません。こんなはずではなかったと解約され入居金を返金することは、ホームにとってもデメリットでしかないからです。
金額や立地など、ある程度の条件が合致するホームを見つけたら、必ず見学に行きましょう。
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見学までの手順は下記のとおりです。
- 見学日時の候補を出す
- 予約する
- 見学でのチェックポイントを確認
- 持ち物の準備
見学に行く際は必ず予約しましょう。急な訪問では、担当者不在や他の見学者対応で十分な説明が聞けないことがあります。お互いの時間を無駄にしない配慮やマナーが大切です。
見学は、なるべく2~3人で行くと良いでしょう。1人では気づかない視点を取り入れることができます。
小さなお子さんは遠慮しましょう。感染症や、走り回って入居者の方を転倒に巻き込むなどの事故も考えられます。
本人は、体調にもよりますが、ある程度施設を絞り込んだ状態で連れて行くと良いでしょう。
事前準備として、見学の際に何をチェックするのかを確認し、質問項目をまとめておきます。
見学チェックリストを活用すると便利です。しっかり目を通して、自分たちにとっての重要事項は何かも確認しておきましょう。
ホームは入居者の方達のプライベートな空間です。見学時はよそのお宅に訪問しているという心構えとマナーで行動しましょう。
- 見学予約時の伝達・確認事項
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- 見学日時
- 訪問人数
- 交通手段(車で行く場合、駐車場の有無)
- 試食申し込みの有無
- 欲しい書類(重要事項説明書、財務諸表など)
- 見学の心構え
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- 必ず予約を取って訪問しましょう。
- 予約時間は守りましょう。到着時間が早すぎたり遅刻したりする場合は、必ず連絡をしましょう。
- 写真を撮る際は、撮っても良いかを確認し、入居者の方の顔が入らないように配慮しましょう。
- 個室で休んでいる方もいるので、大声で話すことはやめましょう。
- 個室に勝手に入ったりするのはやめましょう。
- 入居者の方に勝手に話しかけることはやめましょう。
- 必要な持ち物
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- 歩きやすい靴(周辺環境確認のための散策)
- 筆記用具
- 確認事項をまとめたメモ
- 見学チェックリスト
- カメラ
- メジャー(家具を持ち込むスペースの確認)
見学の回数と時間帯
見学は、必ず複数のホームについて行い、比較検討することが大切です。
しかし、多すぎても、情報整理がしきれず混乱することがあります。
金額や立地条件など、取り寄せたパンフレットやホームページでわかる情報で、まずは3ヶ所くらいに絞り込み見学しましょう。そこで満足できるホームがなければ、さらに見学施設をピックアップします。
訪問する時間帯は、昼食やレクリエーションの時などにすると入居者やスタッフの様子がわかります。
入浴設備などをチェックしたい場合は、使用していない時間帯を確認しましょう。
1度の見学ですべてを確認するのは難しければ、納得できるまで何度でも見学に行きましょう。
その際に時間帯を変えてみることで、また違うホームの表情を見ることができます。
また、食事の試食は、大抵のホームで受け付けていますので、ぜひお試しください。食事の内容もそのホームの考え方や工夫が表れているものです。
見学時にチェックすべき4つのポイント
見学時にチェックするポイントは大きく以下の4点が挙げられます。
1.建物について
毎日暮らす専用スペースと共用スペース、周辺環境など、生活の質に大きくかかわるのがハード面における環境です。気持ち良く暮らせる環境かをしっかり確認しましょう。
2.スタッフについて
スタッフの質がサービスの質と言っても過言ではありません。教育体制や採用状況なども要チェックです。
3.医療連携・リハビリについて
いざという時の体制ができているか、介護予防や自立支援、機能訓練の体制はどうか、しっかりチェックして、安心な暮らしを手に入れましょう。
4.契約内容について
入居後にこんなはずじゃなかったと後悔する原因の1つに、契約内容の確認不足が挙げられます。見学の時から想定できる範囲で確認しておくとよいでしょう。
下記では各チェックポイントについて詳しく解説します。
ポイント1:建物
ホームまでのアクセス、周辺環境
家族の自宅や最寄駅からの距離、車でのアクセスは「家族が通いやすいか」という視点でチェックしましょう。家族が頻繁にホームを訪ねることができるのは、本人にも家族にもホーム側にとっても大きなメリットがあります。
自由に行動できる自立した方であれば、安全に散策できる場所があるか、買い物に便利かという視点も重要でしょう。
専用居室
トイレ・洗面台・収納・緊急通報装置など付帯設備の使い勝手、家具を入れるスペースを確認しましょう。
日当たりや眺望も良いに越したことはありませんが、ホームでの生活は意外に居室以外のスペースで過ごすことが多いものです。
あまりそれに執着すると入居するタイミングを逸してしまうことがありますので注意しましょう。
共有スペース
意外に多くの時間を過ごすリビングなどの共有スペースは、居心地・使い心地をチェックします。居心地が良ければ、自然と人が集まり、入居者同士の交流が持てる場所となっていることでしょう。
入浴設備・機能訓練室
寝たきりなど介護度が重くなった場合の対応(機械浴の有無など)、機能訓練の方法など、設備の充実度とそれを補完する工夫なども聞き出しましょう。
清掃・メンテナンス状況
清掃が行き届いているかという視点はとても大切です。手入れの状況は5年10年と月日が経ったときに差が出てきます。
スタッフが足りているか(人手不足の場合は掃除がおろそかになる)、衛生管理はどうかを見極めるポイントでもあります。においの有無も確認しましょう。
築年数が古い建物でもメンテナンスができているところは、施設運営全体がうまく回っているとも言えます。
ポイント2:スタッフ
人員体制、採用・離職状況
介護スタッフや看護師などの人員配置、有資格者の割合などは重要事項説明書で確認できます。
採用・離職状況は、介護スタッフの対応に余裕が見えるかが1つの判断材料となります。しっかり観察しましょう。
接遇・教育
見学については入居相談員が対応することが多いです。その入居相談員の接遇ができているかは基本中の基本です。説明や質問に対する受け答えなど、しっかり確認しましょう。
介護スタッフについては、すれ違った時に挨拶ができているか、入居者への対応はゆったりとしたペースで行っているか、笑顔があるなどを見極めましょう。
ホーム長
ホーム長は施設運営の舵取り役であり、スタッフの上司という立場でもあります。施設運営やスタッフ教育についての考え方などを、直接ホーム長から聞く機会を持ちましょう。
また、施設の一番の特徴は何かを聞いておくと、最終的にホームを決める際の判断材料の1つになります。
ポイント3:医療連携とリハビリ
協力医療機関
病院名、診療科目、場所、協力内容を確認します。救急搬送する場合の近隣の病院との協力関係ができているかも確認しましょう。
健康管理体制
訪問診療の頻度、定期健康診断の頻度を確認しましょう。また、看護師の常駐時間、夜間に看護師がいない場合の緊急時の対応(オンコール体制など)も確認が必要です。
自立支援や介護予防、リハビリの取り組み
介護度が進行しないためにも、自立支援や介護予防のプログラムは重要です。機能訓練指導員の有無、リハビリ設備の有無、実施状況などを確認しましょう。
ポイント4:契約内容
入居条件、退去用件、受入態勢
見学の際には入居予定者の身体状態や病状を伝え、入居の可否を確認しましょう。
看護師や介護スタッフ体制によって、認知症症状や医療依存度などで受入ができないと入居を断られるケースがあります。最終的には、診断書等を提出した上での決定となります。
料金プラン・費用
ホームによっては状況に応じたさまざまな料金プランを用意しています。
パンフレットには記載しきれてないこともありますので、詳しく説明してもらいましょう。また、パンフレットに記載されている金額以外にかかる別途費用がありますので、内訳も含めて確認しましょう。
個別対応
本人や家族が希望する医療行為やリハビリの対応、食事形態や医療食、嫌いな食材への対応など、個別に相談に応じてくれるかを確認しましょう。
契約に関する書類
契約に際しては、入居契約書・重要事項説明書・管理規定などの書類が必要となります。入居したいと思えたら見学の際に入手し、内容を確認しておくとよいでしょう。
重要事項説明書にはホーム概要やサービス内容・料金、スタッフ体制などが記載されています。月額利用料内のサービス範囲やオプションサービスについても確認しましょう。
まとめ
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見学は回数を重ねるほど、ホームを見る眼が養われていくものです。
しかし、見れば見るほどそれぞれのホームに一長一短があることがわかり、決められないという方も少なくありません。また、すべての条件に叶うホームを追い求め過ぎて、入居のタイミングを外してしまう方もいらっしゃいます。
そんな時には原点に立ち返り、ご本人や家族にとって何が大事か、何を大切にしたいかを改めて考えましょう。条件の優先順位付けをしっかり行うことが重要です。
【新型コロナウイルス】感染防止策中も見学できる!介護施設一覧はこちらこの記事の制作者
著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)
学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。