シニア向け分譲マンション4つのデメリット。おすすめできない人や代わりの施設

シニア向け分譲マンションは民間事業者が運営しているバリアフリーの住宅で、主に高齢の入居者を対象に、見守り・生活支援・緊急時対応を行う住まいです。

自由度が高く魅力的な住宅ですが、一般的な分譲マンションと異なる点が多く、あらかじめ把握しておきたい懸念点もあります。

購入後に後悔しないために抑えておきたいデメリットやおすすめできない人の特徴、代わりとなる施設をご紹介します。

そもそもシニア向け分譲マンションとは?

シニア向け分譲マンションとは、高齢者が生活しやすいバリアフリー構造で、安否確認や見守り、緊急時対応を行ってくれる分譲タイプの住宅です。

介護施設とは異なり基本的に看護や介護サービスは付帯していませんが、近隣もしくは同じ建物内に医療機関や介護事業所が併設されている物件もあり、必要に応じてサービスを利用することもできます。

これまで通りの自由な生活を送りたいものの、何かあったときに備えたいという方にぴったりな施設のため、当事者である高齢者やその他ご家族も安心を得られる住まいです。

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シニア向け分譲マンションのデメリット

・費用が高額

・医療ケアがない

・売却を前提とした住み替えが容易ではない

・物件数が限られている

自由度が高く、見守りや緊急対応もあるためメリットが多いように感じるシニア向け分譲マンション。一方でご高齢の方の今後の生活を考えた際に、気になるデメリットもあります。

費用が高額

シニア向け分譲マンションという名の通り所有権方式の住宅であり、かつバリアフリー設備が充実しているため比較的費用が高額になります。具体的には購入費用として1,500万円〜数億円程度、月額費用として10〜30万円程度の金額がかかります。

スタッフ常駐型であること、健康促進やコミュニティ作りのための施設(ジム・プール・休憩室・カラオケルームのようなスペース)が用意され、通常の分譲マンションよりも高額になるのです。

その他、物件によっても異なりますが、コンシェルジュサービス、生活全般(家事代行・レストランでの食事提供など)のサービス、医療介護サービス、生活援助や健康相談などを提供している物件もあります。

毎月の費用の主な内訳は管理費と修繕積立金です。ほか、レストランを利用する場合は喫食分のみ支払うことが一般的です。買い物代行や病院の送迎など豊富なオプションサービスを用意しているので、どこまでを無料対応してもらえるのかよく確認しましょう。

医療ケアがない

介護施設ではなく、高齢者向けのサービスがついている分譲住宅であるため、医療的ケアや健康管理などは物件購入費用に含まれていません。そのため、ある程度お元気な高齢者が対象となります。常時介助が必要な状態になると住み替えが必要になる点には注意しましょう。

物件によっては看護師が常駐というところもありますが、医療的な対応をするわけではなく健康管理が主な業務内容です。シニア向け分譲マンションは、あくまで「自立した生活を送り、緊急時は対応してもらいたい」という高齢者に向いています。もしも医療的ケアが必要な場合は、別途契約し訪問看護などのサービスを利用するのが一般的です。

売却を前提とした住み替えが容易ではない

シニア向けの分譲マンションは購入層が限定的であるため、売却を前提とした住み替えは容易ではありません。健康状態が良く、自立していて高額な費用を支払えるシニアが対象となる住まいだからです。

仮に売却がうまく進まない状態で、介護施設へ住み替えるとなった場合は、売却が完了するまでの間ダブルで費用が発生するため、費用負担が大きくなる点も注意が必要です。契約前に、売却や賃貸に出す場合のサポートをどこまでしてくれるのか不動産会社や運営に確認しましょう。

物件数が限られている

シニア向け分譲マンションは一般的な分譲マンションに比べると物件数が限られており、全国で約100棟程度しかありません。供給が少ない理由は、この住まい形態自体がほとんど知られておらず、認知不足が大きな障壁となっているからです。 さらに、高額な価格設定により購入層が限られ、多くのシニア層にとって手の届かないものとなっています。

また、高齢者に特化した物件であるため、一般のマンションと比べて資産価値の評価が難しく、投資価値を見出しにくい点も供給を抑制する要因です。中古市場もまだ確立されておらず、取り扱う不動産屋やニーズも少ないため、流動性が低い状況です。一般分譲の方が売りやすく開発が進むため、シニア向けの物件開発が後回しにされがちです。

シニア向け分譲マンションがおすすめできない人

・常に介助や見守りが必要な人

・経済的にあまり余裕がない人

新たなコミュニティに加わり、自立していて自由度の高い生活が送れるシニア向け分譲マンションですが、前述の通り気になるデメリットもあり、おすすめできない人も存在します。ここでは他の住宅や施設の検討をすすめたい人について解説します。

常に介助や見守りが必要な人

日常生活において常に介助や見守りが必要な人に、シニア向け分譲マンションは不向きです。入居条件の要介護度は物件によって異なる可能性があるものの、一般的には「自立、要支援1、要支援2、要介護1」程度で、それ以上に要介護度が進んでいる場合は入居できません。

経済的にあまり余裕がない人

シニア向け分譲マンションはコンシェルジュの常駐やレストラン、クリーンスタッフなど多数の職員を雇用しているため、一般のマンションよりも管理費が高額な場合があります。また、購入層も限定されるため、売りたい時期に売れない、介護施設への住み替えの場合ダブルで費用がかかるなど、コストがかさむ可能性も十分あります。

経済的な余裕がないなかでシニア向け分譲マンションの購入決断をすると、ご自身の資産を大きく減らすことになる可能性もあるため、慎重に検討しましょう。

シニア向け分譲マンションの代わりになる施設

・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

・有料老人ホーム

さまざまな条件から、シニア向け分譲マンションが選択肢ではないと感じた場合、上記2種類の施設がおすすめです。当初シニア向け分譲マンションを検討されていた方にも、ぜひおすすめしたいポイントをご紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー構造で一定の居住面積と設備があり、安否確認と生活相談のサービスが受けられる賃貸住宅です。開設するには都道府県・政令市・中核市へ登録を行う必要があり、必要に応じて行政が事業者を指導・監督します。そのため、運営の問題にも対処できうる安心感があります。

専用部分が25㎡(基準を満たせば18㎡)あるため、自宅のように自由に過ごせる空間もありつつ、すぐに生活相談や見守りのサービスを受けることも可能であるため、本人も家族も安心して過ごせる点がメリットです。

賃貸借契約でシニア向け分譲マンションよりも費用を抑えられますし、自由度についてもキッチン・洗面・トイレがついた専有部分があるため、自宅と変わりなく過ごせ、外出も自由にできます。

月額費用はシニア向け分譲マンションとあまり変わらず10〜30万円ですが、購入費用が賃貸借契約のため、初期費用は家賃の2〜5ヶ月分の敷金です。

多くのサ高住で食事の提供もおこないます。また、介護や医療サービスが必要な場合は、併設事業所や近隣の介護サービスを利用することができます。

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有料老人ホーム

有料老人ホームは「食事」「介護」「洗濯/掃除などの家事の提供」「健康管理」のいずれかのサービスを提供する高齢者向けの施設であり、シニア向け分譲マンションよりも介護サポートが充実しています。

有料老人ホームでは上記4つのサービスのうちいずれかを提供すると定められていますが、ほとんどの施設では4つ全てのサービスを提供しています。将来的に、生活援助や介護サービスを中心に利用したいのであれば、要介護5まで対応している有料老人ホームの方が安心感が高いといえます。

有料老人ホームの種類とサービス

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まとめ

シニア向け分譲マンションは、近い将来介護が必要になった場合を想定することが大切です。退去要件などをよく確認しないとミスマッチになる可能性があります。

また、市場が確立されておらず購入者もある程度限定されるので、思うように売却できないこともあるかもしれません。可能であれば内覧のとき入居者に住み心地を確認するなど、実際の生活の様子を確認されることをおすすめします。

その他に紹介したサ高住や有料老人ホームなどとしっかり比較し、自分またはご家族の住まいを具体的に検討してみてはいかがでしょうか。「LIFULL 介護」ではさまざまな形態の住まいや介護施設、その選び方なども紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事の制作者

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

介護施設の入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護の情報発信を行う。

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