大阪市生野区の介護付き有料老人ホーム「ケア・キューブいくの」は、大阪府内で7つの施設を運営する株式会社メディプランが手掛ける介護施設です。その特長は、「DLC業務支援」や「ナーシング・ライフプライム」、さらに「アメニティ無料」という他にはない独自のサービスですが、初めて聞くとちょっと内容が分かりづらいですよね。

そこで今回、私LIFULL 介護 編集長の小菅が「ケア・キューブいくの」を訪れ、社長にインタビューを行いました。ご入居者やご家族から高い評価を受ける、オリジナリティあふれるサービスが誕生した経緯、そして介護事業にかける思いについてたっぷり伺いました。

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高齢期の暮らしに密着している調剤薬局だからこそ、できる介護サービスがある

小菅:まず、介護事業を始められた経緯からお聞かせください。


藤田さん:株式会社メディプランは昭和63年に調剤薬局からスタートしました。その後、社会の高齢化が進み、薬局に薬を取りに行くのが大変な方がたくさんいるという現実を目の当たりにしました。そこで、薬を取りに来てもらうのではなく、こちらから届けるという「在宅調剤」の事業を始めました。

実際にお住まいにお伺いすると、薬だけでなく、日々の生活に苦労されていることも実感しました。ある日、警察から電話があり、亡くなられた高齢者の方が最後に接したのが薬剤師だったので、状況を聞きたいと言われたことがあります。そこで、私たちは高齢者の方々に一番身近に接している仕事なんだと痛感しました。そして、「薬だけじゃなく、その人を丸ごとサポートしよう」と決意したのです。

小菅:そこから「薬局」が大きな役割を果たす独自の介護プログラムが生まれたのですね。

藤田さん:はい。「薬局」「介護・ケアプラン」「看護」「DLC(生活サポートサービス)」「リハビリ」などを一体的かつ高品質に届けるサービスで、「ナーシング・ライフプライム」と呼んでいます。多くの施設が調剤事業を外部に頼るなか、自社で薬局や訪問看護を運営しているため、入居者様の心身の状態や薬に関する情報の伝達スピードと正確性を持つことが強みです。

小菅:ご入居者の健康状態が変われば、薬もすぐに変える必要がありますから、とても大切なことですね。


藤田さん:その通りです。在宅調剤の経験を通じて、服薬管理や副作用、体調変化と薬の関係を日常的に見てきた背景があり、医療との距離感が近いのが大きな特徴です。介護・看護・薬局が一体となって動いているので、判断や対応が分断されにくく、互いに連携をとりながら、常に入居者様にとっての最適な状況を作り出せる体制になっています。

また、薬を含めて生活全体を見る視点が組織の文化としてしっかりと根づいています。それが入居者様の安心感、そしてケアする側のスタッフに取っては「最適なサービスを届けている」という自信につながっていると思います。

小菅:ご高齢の方にとって薬は毎日の生活に欠かせないものなので、これほど安心できる環境はないと思います。調剤薬局からスタートした御社ならではの強みがよくわかりました。

入居者様をひとりにさせない、妥協のない見守り体制

小菅:御社独自のもうひとつのサービス、DLC(生活サポートサービス)について詳しくお聞かせください。

藤田さん:「DLC」は、「ドライバー(Driver)」「ランドリー(Laundry)」「クリーン(Clean)」の頭文字を取った生活サポートサービスのことです。弊社ではこれらの業務を介護スタッフではなく、自社の専門スタッフが請け負っています。そのため、介護スタッフは洗濯や清掃などの作業をする必要がなく、入居者様と向き合うケアに100%専念できます。

洗濯や清掃、送迎といった業務は現場スタッフにとっても時間も労力もかかる作業です。これらを切り離すことで、スタッフの余裕にもつながり、入居者様との関係性の質そのものも向上していると思います。実際、弊社に転職してきたスタッフから「以前の施設より入居者様のお話をゆっくり聞く時間があり、より良い関係性が築けるようになった」と聞いています。最近、お掃除ロボットも導入しました。スタッフの負担を減らせることは積極的に取り入れるようにしています。

小菅:ご入居者のことを考えると、スタッフとのつながりが深まる方がより豊かな暮らしができますね。

藤田さん:これらのサービスを始めた根幹には「入居者様をひとりにさせない」 という私たちの強い信念があります。ご家族様もきっと「入居中の親はひとりで寂しくしていないだろうか」と思うこともあるでしょう。私たちはできる限りその不安を払拭したいと思っています。

例えば、スタッフ自ら入居者様の好きなことや趣味をヒアリングして、午前・午後のアクティビティを考案し、実施しています。将棋やゲーム、フラワーアレンジメントなど人気のアクティビティのほか、大衆演劇やフットマッサージなど、この1年でも新しいレクリエーションがどんどん生まれています。先日は7階の見晴らしの良いところで夜景を見ながらバータイムを実施しました。もちろん、お酒は提供しませんが、ジュースをカクテルに見立てて、みなさんとても楽しまれました。こうした自由な発想は、スタッフに時間的なゆとりがあり、「入居者様と楽しい時間を共有したい」というポジティブな姿勢があるから可能になると思います。

小菅:バータイムは斬新ですね。スタッフさんたちの新しいことに取り組む姿勢が施設の雰囲気にも直結しているように感じます。

藤田さん:そうですね。「入居者様をひとりにさせない」ための体制づくりがスタッフ一人ひとりの当事者意識の高さにつながり、日々のケアの質が高まる。そして、入居者様の豊かな暮らしが生まれ、ご家族様も喜ばれるといった好循環を生み出していると思います。

また、私たちの施設では介護スタッフ、看護スタッフ、薬剤師、医師など、ケアに関わるスタッフはみな対等という考え方です。だから、職種による上下関係はありません。お互いに率直に意見を出し、「入居者様のために何ができるか」を対等に議論できることは大きな強みです。

小菅:職種の異なるスタッフさん同士で意見を言い合える環境はすばらしいと思います。

ご家族に気軽に遊びに来てほしい願いを込めた「アメニティ無料サービス」

小菅:「ケア・キューブいくの」では、シャンプーやおむつなどの消耗品が費用に含まれているそうですね。

藤田さん:はい。施設での生活において、消耗品の補充は必ず発生するものです。それらをご家族にお願いしている施設も多いかと思いますが、それだとどうしても面会に行く理由が「足りない物を届けるため」になりがちです。でも、私たちはご家族に「純粋に顔を見て話すため」に来て欲しい。「行きたいな」と思ったときに気軽に来ていただきたい。そのためにはどうすればいいかと考え、「アメニティ無料サービス」を導入することにしました。

小菅:会いたいと思ったときに手ぶらで行けるなら面会の数も増えそうです。

藤田さん:そうですね。ぜひ、たくさん面会に来ていただいて、入居者様が生き生きと暮らしている様子をご覧になって、安心していただきたいと思います。また、遠方に住む家族にとっても、無理なく関わり続けられる環境づくりにつながっていると思います。入居者様とご家族の絆をつなぐこともこれからの施設にとっては、とても大切なことだと考えます。ご家族に喜ばれることは、スタッフの励みにもなります。

小菅:最後にこれからの展望をお聞かせください。

藤田さん:「介護施設だから無理」といった先入観を持たずに、入居者様のためになることにはどんどんチャレンジしたいと考えています。これからも社会はどんどん変化し続け、入居者様のニーズもご家族の要望も変わっていくと思います。それらに応えるにはどうすればいいか、スタッフ全員で取り組んでいこうと思います。幸いどのスタッフも責任感が強く前向きで、これまで培ってきたチーム力もあります。スムーズな情報共有と確かな連携、本当に気持ちの入ったサービスで、みんなが幸せになれるような場所を作りたいです。


小菅:人と人との時間や安心をきちんと提供すること。そのためにさまざまな取り組みに積極的に向き合い続ける姿勢こそが、メディプランの強さだと感じました。「ここなら任せられる」と思えるお話を、たくさんお聞きできて、とても頼もしく感じました。本日はどうもありがとうございました。