
ユタリト船橋は、株式会社かいごデザインが2002年に開設した「ハッピーニューライフ東船橋」の移転・新設により誕生した、住宅型有料老人ホームです。“楽しく生ききる”という創業当初からの理念はそのままに、2025年2月、より快適で充実した住環境を備えた新たな施設として生まれ変わりました。
ここでの取り組みは、高齢者介護の専門家からも注目され、2025年の大阪・関西万博で開催された「高齢化とメンタルヘルスに関するカンファレンス」では、画一的ではなく家庭的な環境を実現した先進事例として紹介されました。
今回は、「ハッピーニューライフ東船橋」時代からご入居されている臼井高男さんと、ご長男の勝彦さんに、ご入居までの経緯や現在の暮らしについてお話を伺いました。また、株式会社かいごデザイン代表の中川さんには、ユタリト船橋の特徴や取り組みについてお話をいただきました。
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設備ではなく「人」で選んだ。家族のような関係で、豊かな毎日を過ごせる環境

――臼井さんは、「ハッピーニューライフ東船橋」時代にご入居されたと伺っています。それ以前はどのような暮らしをされていたのですか?
高男さん:以前はここからほど近い船橋市二宮に、妻と息子夫婦と共に住んでいました。
勝彦さん:母が心臓を患っていて自宅での介護が必要な状況で、父も要支援となり、自宅で両親の介護を担う厳しい状況が続いていました。特に妻には大きな負担をかけていたと思います。そんな中、ケアマネジャーさんに相談し、一時的に父はケアハウスへ入居することに。しかし、次第に父が自立して暮らすことが難しくなり、新たな住まいを検討することになりました。その際に紹介されたのが、「ハッピーニューライフ東船橋」でした。

――「ハッピーニューライフ東船橋」にご入居を決断された決め手は何だったのですか?
勝彦さん:ひとことで言えば、「理念に共感した」ということです。他の施設の資料も取り寄せて、いくつか検討しました。確かに設備は立派で、パンフレットに書かれている内容もよさそうに見えましたが、「本当に父を安心して預けられるのだろうか?」という疑問が拭えず、「ここにお願いしたい」と思える施設にはなかなか出会えませんでした。

そんな中で出会ったのが、ハッピーニューライフ東船橋です。ここは、ただ安全に暮らすだけの場所ではなく、介護職とご入居者がまるで家族のような関係を築きながら、日々を豊かに過ごすことを大切にしていました。理念として掲げているのは、「楽しく生ききる」という言葉です。
代表の中川さんからは、「ウチは、建物は古いですが、スタッフには自信があります。基準より多く職員を配置していますし、『楽しく生ききる』という理念に共感したスタッフたちが、一緒にその実現をお手伝いします」と言われ、その言葉がとても印象に残っています。

――ホーム長の白井さんにも、その時にお会いしたと聞いています
勝彦さん:そうですね。白井さんからは、「ウチだけでなく、ぜひ他の施設もご覧になってください。いろいろ見比べて、ご家族が納得されたところに決めるのが一番です」と言っていただきました。「ぜひウチに!」と強く勧めるのではなく、本当に私たち家族の納得感を大切にしてくださっているんだなと感じ、好印象でした。
その後、一週間の体験入所をすることになりました。普段は何かと口うるさい父が、まったく不満を言わず、食事も気に入った様子だったのが意外で、とても安心しました。市川の施設とも迷いましたが、最後は妻の「家から近いほうが通いやすいんじゃない?」というひと言が決め手となり、東船橋への入居を決断しました。
食事にもエンタメ性を!「喜んでもらえること」が大好きなスタッフ

――実際にご入居されてからの生活はいかがでしたか?
高男さん:いつも良くしていただいて、とてもありがたく思っています。
勝彦さん:父には、最後の時間をいきいきと過ごしてもらいたいと思っていました。ここでの生活はとても満足している様子で安心しています。スタッフの方々もすぐに声をかけていただいたり。温かい人たちに囲まれて生活をしているようです。

――お食事も美味しく召し上がられていますか?
高男さん:はい、美味しいですよ。
勝彦さん:普段、父は食事のことをほとんど口にしないのですが、不満も言ってこないので、きっと気に入っているんだろうなとは思っていました。でも実は、美味しいと思ってくれていたことを最近初めて知って、ちょっと驚きました(笑)。
以前、調理担当の方から「お誕生日には好物を出したいので、何が好きか教えてください」と聞かれたことがあります。父は湯豆腐が好きなのですが、なんと我が家のレシピまで詳しく尋ねてくださったのです。ただ好物を出すだけでなく、“我が家の味”を再現しようとしてくださるその姿勢に、本当に驚きましたし、ありがたいなと感じました。
中川さん:食事については、ただ提供するだけでなく、「楽しさ」や「エンターテインメント性」も大切にしています。たとえば、隔週でおこなわれるパンバイキングや、不定期でおこなわれる中華バイキング。夏にはお祭りの雰囲気を演出し、かき氷や焼きそばなどの露店風メニューをお出しすることもあります。さらに、ブリの解体ショーや、寿司をその場で握って提供するイベントなども行っています。こうした特別な日には、皆さんいつも以上に食が進み、たくさん召し上がってくださるんです。
――食事以外にも様々なイベントを行っていらっしゃるとか
中川さん:毎月、花見やスイカ割り、花火、ボジョレーヌーボー、クリスマスといった季節の行事に合わせた何かしらのイベントを開催しています。先日は、私が借りてきたオープンカーに乗ってドライブにも行きました。そのままマクドナルドのドライブスルーに立ち寄り、アイスコーヒーを片手に一息。高男さんも助手席で、とても楽しそうにされていました。

勝彦さん:毎月送られてくる書類と一緒に、イベントの写真が入っていて、楽しんでいる様子が伝わってきます。わざわざ手書きのお手紙で様子を伝えてくださり、温かい心遣いに感謝でいっぱいです。
中川さん:料理もイベントも日頃のお世話もそうなのですが、当社のスタッフは皆「喜んでくれることをしたい」と思って入社してきている人ばかりです。だから、いろんなアイデアが湧き出て、それを実行しています。それが良いサイクルになっているのではないかと思っています。
移転・新設で新生「ユタリト船橋」へ。変わらず「楽しく生ききる」理念を追求
――ハッピーニューライフ東船橋から移転・新設され「ユタリト船橋」になりましたね。
高男さん:新しい環境でとても快適に過ごせています。
勝彦さん:偶然にも、自宅から近い場所への移転となったことは、うれしい誤算でした。妻も、「あのときの選択は間違っていなかった」と感じてくれていると思います。移転に先立って行われた説明会では、驚いたことに、どのご家族からも不平、不満の類の意見は一切出ませんでした。私と同じように、他のご家族の皆さんも不安を抱くことなく、施設への信頼を寄せているのだと実感しました。
実際に移転後は建物が新しくなり、より快適な環境になりましたが、中川さんをはじめ、スタッフの皆さんの姿勢や温かさは何ひとつ変わっていません。その変わらなさが、私たち家族にとっては何よりの安心材料です。

中川さん:私は建築士でもあるので、「ユタリト船橋」は自ら設計しました。設計にあたって最も重視したのは、入居者だけでなく、スタッフにとっても快適で働きやすい空間であることです。
動線の効率性といった経営者としての視点と、デザイン性へのこだわりという建築家としての視点、その両方をバランスよく反映できたと感じています。たとえば入居者さんが座る椅子も、座面は食べこぼしがあるので防水仕様。一方で背はファブリックを使って上質感を出すといった工夫をしています。
――現在は、どのような一日を過ごされていますか?また生活の楽しみとは?
中川さん:高男さんは毎朝、ベランダの花に水やりをして過ごされているようです。
朝食後は、大好きなコーヒーを楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごされ、午後には体操や歌のレクリエーションに参加されることもあります。また、スタッフと一緒に近所を散歩したり、買い物に出かけたりすることもあるそうです。
以前、絵を描くのが好きだったと伺ったスタッフが、ある日アジサイの花を持ってきてくれました。その気持ちに応えるように、高男さんは久しぶりに筆をとり、絵を描いてくださったそうです。

勝彦さん:私も1、2週間に一度ほどのペースで訪れており、近くにある母と妻の墓参りに一緒に出かけたり、正月には自宅で家族そろって過ごしたりしています。
高男さん:次男・三男家族のところにいる犬に会うことも楽しみの1つです。

――ユタリト船橋での生活にご満足されているようですね。
勝彦さん:本当に、そう感じています。もともとお風呂があまり好きではなかった父が、こちらでは気乗りがしないときは文句を言いながらも定期的に入浴していると聞いて驚きました。私ひとりでは到底できなかったことです。
スタッフの皆さんも、決まりきった対応ではなく、心から楽しませようとしてくれているのが伝わってきます。きっと父のわがままも受け止めながら、うまく気持ちを汲んで導いてくださっているのだと思います。
中川さんも白井さんも、変わらず「楽しく生ききる」という理念をまっすぐに追い続けていらっしゃる。その姿勢に心から感謝し、頭が下がる思いです。
私自身、妻を亡くして今は独り身になりました。「いずれは私もここでお世話になりたいと思っている」と白井さんに話したところ、「そんなこと言わずに、いつまでもご自身で自立した生活を送れるのが一番ですよ」と笑いながら言ってくれて――
まるで家族のように接していただけることに、あらためて温かさを感じました。
(記事中のサービス内容や施設に関する情報は2025年7月時点の情報です)








