【はじめての方へ】介護保険の居宅介護サービスとは?

介護保険サービスの中の「居宅介護サービス」とは、要介護・要支援状態の方が自宅に住みながら受けるサービスです。

具体的にはヘルパーに自宅へ訪問してもらう訪問サービスや、施設に通う通所サービスなどさまざまなメニューを組み合わせて利用できるものです。

また、有料老人ホームなどの施設に入所すると、その部屋が「自宅」となり、施設で受ける介護保険サービスは、「居宅介護サービス」に含まれることになります。

居宅介護サービスにはさまざまな種類があり、その具体的な内容や、利用限度額について詳しく見ていきましょう。

介護保険サービスの利用限度額

介護保険サービスは、要介護・要支援度に応じて、介護サービスの利用料の限度額が設定されています。

利用者はケアマネジャーと相談の上、通常、限度額の範囲内でサービスを受け、その1割(所得により2割~3割)を自己負担することになります。

限度額を超えてサービスを利用した場合には、超えた分は全額(10割)自己負担しなくてはなりません。

介護度別の利用限度額は以下になります。

介護保険サービスの利用限度額
要介護度 利用限度額(1か月) 自己負担額(1割負担の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

※2021年4月時点。金額は一割負担の方の目安です。地域により変動します。
※自己負担額は利用者の所得に応じて、1割~3割負担となります。

居宅介護サービスの種類

「居宅介護サービス」は、自宅に訪問してもらう「訪問サービス」、施設に通ってサービスを受ける「通所サービス」、短期間のあいだだけ施設に泊まる「短期入所サービス」、「福祉用具」と大きく4つに分かれています。また、それ以外に自宅から移り住んで利用するサービスもあります。

自宅に訪問してもらうサービス(訪問系サービス)

訪問介護(ホームヘルプサービス)

ヘルパーに自宅へ訪問してもらい、日常生活を手助けしてもらうサービスです。介護度の重い方は、毎日、数回にわたり介護サービスを受けることができます。

サービス内容は、「身体介護」(食事、入浴、排せつなどの介助や着替え、シーツ交換など)と「生活援助」(住まいの掃除、洗濯、食事の準備、調理、買い物など)で負担額が変動します。

訪問介護費(要支援1、2の場合)
身体介護 週1回利用 : 1,176円
週2回利用 : 2,349円
生活援助
訪問介護費(要介護1〜5の場合)
身体介護

20分未満 : 167円
20分〜30分未満 : 250円
30分~1時間未満:396円

生活援助 20分~45分未満 : 183円
45分以上 : 225円

※2021年4月時点。一割負担の標準的な目安。地域により費用は変動します。

訪問入浴介護

要介護度が重い方など、自宅の浴槽で入浴が困難な方に対し、専用車両で浴槽を持ち込み、介助を受けながら入浴できるサービスです。

訪問入浴介護費
要介護度 金額
要支援1、2 852円
要介護1〜5 1,260円

※2021年4月時点。一割負担の標準的な目安。地域により費用は変動します。

訪問看護

看護師などに訪問してもらい、医師の指示に基づいて、医療処置や医療機器の管理、床ずれの手当や処置を行ってもらうサービスです。身体の不安などの相談もできます。

訪問看護費
種別 時間 要支援 要介護
看護師による訪問 20分未満 302円 313円
30分未満 450円 470円
30分以上60分未満 792円 821円
60分以上1時間30分未満 1,087円 1,125円
理学療法士
作業療法士等
による訪問
1回 20分 (A) 283円 293円
2回 40分(A×2回) 566円 586円
3回 60分(A×3回)×90%
※要支援は×50%
424円 791円

※2021年4月時点。一割負担の標準的な目安。地域により費用は変動します。

訪問リハビリテーション

理学療法士などに訪問してもらい、自宅でリハビリが受けられるサービスです。

病院に通う必要もないため、移動にかかる体の負担も少なく、時間を有効に使えます。病状にもよりますが、比較的年齢が若い方ほど、リハビリを行うことにより機能回復が見込まれ、自立した生活につながります。

訪問リハビリテーション費
要介護度 金額
要支援1、2 1回307円
要介護1〜5

※2021年4月時点。一割負担の標準的な目安。地域により費用は変動します。

居宅療養管理指導

医師(内科医や歯科医師など)や薬剤師に訪問してもらい、服薬や歯磨き、栄養摂取についての指導を受けるサービスです。介護を受ける本人だけでなく、家族も同席し療養上の指導を受けることも大切です。

居宅療養管理指導費
要支援1、2/ 要介護1〜5
医師
(月2回まで)
514円
歯科医師
(月2回まで)
516円
医療機関の薬剤師
(月2回まで)
565円
薬局の薬剤師
(月4回まで)
517円
管理栄養士
 (月2回まで)
544円
歯科衛生士
(月4回まで)
361円

※2021年4月時点。一割負担の標準的な目安。地域により費用は変動します。

施設に通って受けるサービス(通所系サービス)

通所介護(デイサービス)

施設に通い、食事や入浴の介助、レクリエーションなどを受けるサービスです。

自宅から外出し、家族以外の方と接する機会は良い刺激になります。日中、施設で預かってもらえると、介護をする家族の負担軽減にもなりますので、有効に活用しましょう。

通所介護(デイサービス)要支援の場合
程度 対象 金額
週1回 要支援1・2 1,672円
週2回 要支援2 3,428円

通所介護(デイサービス)要介護の場合
介護度 金額
要介護1 666円
要介護2 787円
要介護3 911円
要介護4 1,036円
要介護5 1,162円

※通常規模の施設 8〜9時間未満の利用の場合。
※食費、日常生活費などは別途負担。
※2021年4月時点。一割負担の金額の目安。地域により費用は変動します。

通所リハビリテーション(デイケア)

介護老人保健施設や、病院、診療所などの施設に通い、リハビリを受けるサービスです。

機能回復訓練を積極的にすることは、自立した生活につながります。要支援の方は、介護予防として機能維持を目的に活用できます。

通所リハビリテーション(デイケア)
要介護度 金額
要支援1 2,053円
要支援2 3,999円
要介護1 757円
要介護2 897円
要介護3 1039円
要介護4 1,206円
要介護5 1,369円

※通常規模の施設 7〜8時間未満の利用の場合。
※食費、日常生活費などは別途負担。
※2021年4月時点。1割負担の金額の目安。地域により費用は変動します。

リハビリの専門士
  • 理学療法士(PT):病気やケガにより損なわれた、日常生活に必要な基本動作機能(立つ、座る、歩くなど)の維持や回復、障がいの悪化予防のために、運動療法や物理療法(温熱、電気)などを用いて自立した生活が送れるよう支援する専門士
  • 言語聴覚士(ST):病気やケガにより、音声・言語、聴覚、摂食に障がいのある方に、訓練や検査を行う専門士
  • 作業療法士(OT):食事、排泄、移動などの日常生活に必要な機能を、仕事や遊びといった動作を通じて支援する専門士

短期間だけ施設に入所するサービス(短期入所/ショートステイ)

普段は自宅に住んでいて、一時的に施設に泊まることができるサービスです。介護者の病気や仕事などで介護をすることが困難になった場合、連続して最大30日まで利用できます。

注意しなければならないのは、利用希望者が多いにも関わらず利用できる施設やベッド数が少ない地域もあり、予約を取るのも難しい場合がある点です。

そのため、一時的に家族が介護をできなくなるときは、早めにケアマネジャーに相談し、必要であれば短期入所の手続きを取りましょう。

短期入所生活介護

特別養護老人ホームや、介護老人保健施設、有料老人ホームなどに短期間入所して、食事、入浴などの介護サービスや機能訓練が受けられる

短期入所療養介護

介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期間入所して、食事、入浴などの介護サービスや機能訓練、医療的ケアが受けられる

短期間施設に泊まる(短期入所生活介護/ショートステイ)
要介護度 短期入所生活介護 短期入所療養介護
要支援1 555円 621円
要支援2 674円 782円
要介護1 738円 833円
要介護2 806円 879円
要介護3 881円 943円
要介護4 949円 997円
要介護5 1,017円 1,049円

※短期入所生活介護は単独型施設のユニット型個室の場合。
※短期入所療養介護はユニット型介護老人保健施設の場合。
※食費、日常生活費、滞在費などは別途負担。
※2021年4月時点。1割負担の金額の目安。地域により費用は変動します。

自宅の環境整備のためのサービス(福祉用具等・住宅改修)

福祉用具貸与

日常生活の自立を助けるため、または福祉用具のうち介護予防に役立つものについては貸与を受けることができます。

福祉用具貸与の対象
  • 手すり(工事をともなわないもの)
  • スロープ(工事をともなわないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ
  • 車椅子(車椅子付属品含む)
  • 特殊寝台(特殊寝台付属品含む)
  • 床ずれ防止用具
  • 退位変換器
  • 移動用リフト(つり具の部分を除く)
  • 自動排せつ処理装置

※一部の福祉用具は原則として介護度によって対象が制限されます。

サービス費用について
福祉用具の種類や事業者によって異なります(全国平均貸与価格に基づく上限額が設定されています。)

関連記事福祉用具のレンタル

特定福祉用具販売

ポータブルトイレやシャワーチェアなどの感染症予防の観点で貸与に馴染まないものが該当します。

特定福祉用具販売の対象
  • 腰掛便座
  • 入浴補助用具
  • 自動排せつ処理装置の交換可能部品
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部分
  • 排せつ予測支援機器
サービス費用について

一年度につき購入費用10万円を上限に利用者負担分(1〜3割)を除いた額が支給されます。

※事前申請が必要になります。

住宅改修費支給

手すりの取り付けや段差解消などの住宅改修をしたときに費用が支給されます。

介護保険でできる住宅改修の例
  • 廊下や階段、浴室やトイレなどへの「手すりの取付け」
  • 「段差解消」のためのスロープ設置など
  • 滑りの防止などのための「床または通路面の材料の変更」
  • 引き戸などへの「扉の取替え」
  • 様式便器への「便器の取替え」など
サービス費用について

原則として住宅一棟につき改修費用20万円を上限に利用者負担分(1〜3割)を除いた額が支給されます。

※事前申請が必要になります。

関連記事福祉用具貸与・住宅リフォームについて

住み替えて利用するサービス

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどのうち、「特定施設」と指定を受けた施設では、介護保険の「特定施設入居者生活介護」のサービス(日常生活上の介助、機能訓練、療養上の介助や看護など)を利用できます。

施設の介護職員が日常生活の介助、機能訓練などのサービスを行うのが一般的です。

施設内ではなく、外部の事業者が介護サービスを提供する「外部サービス利用型」もあります。

特定施設入居者生活介護」は、入居している施設の居室が自宅とみなされます。

「特定施設」の対象となる施設は以下のとおりです。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(特定施設に該当するもの)
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • 養護老人ホーム
自宅から移り住んで利用する
要介護度 金額
要支援1 182円
要支援2 311円
要介護1 538円
要介護2 604円
要介護3 674円
要介護4 738円
要介護5 807円

※1日あたりの自己負担1割の場合。
※食費、日常生活費、滞在費などは別途負担。
※2021年4月時点。地域により費用は変動します。

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この記事の制作者

中村 真佐子

著者:中村 真佐子(ライフプラン相談研究所)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。

山本 武尊

監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)

地域包括支援センター センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。

公式おかげさま社労士事務所

X(Twitter)@takenokoen0412

Facebooktakeru.yamamoto3

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