老人ホームはいつから考える？元気なうちに考えるメリット・デメリット

これまで介護施設や老人ホームは、ご本人がひとりで生活できなくなったときに、ご家族が検討して入居するものと考えられていました。

しかし、「何かあったときに安心」「子供に迷惑をかけたくない」など、さまざまな理由から、お元気なうちにご自身で終の棲家となる老人ホームを探される方もいらっしゃいます。

元気なうちから老人ホームを考える人は増えている？気になるその理由

「肌感覚で言えば、数年前よりは1割程度増えていると思います」（入居相談員A）

自立して生活できる状態で、自分の老人ホームを探している人の相談は、LIFULL 介護入居相談室でも増加傾向にあるようです。

では、実際にどのような理由で探している方が多いのでしょうか。

代表的なケースは以下の4つでした。

シニアライフを満喫するため
独居が不安になってきたから
家のメンテナンスや売却のタイミングに今後の生活を考えて
今すぐではなく、将来のための情報収集

いつから老人ホームを考えるべき？

お元気なうちに入りたい場合、具体的には何歳から老人ホームを考えるべきなのでしょうか？入居相談員に聞きました。

「介護が必要になる一歩手前、目安としては後期高齢者になる75歳が一つの目安でしょう」（入居相談員B）

「施設の種類ごとに言えば、サービス付き高齢者向け住宅なら70代前半、有料老人ホームなら80代前半ぐらいが施設を検討しだすのにおすすめのタイミングです」（入居相談員A）

なぜこのタイミングなのでしょうか。それは、施設の入居している方の平均年齢がこの位なのだそう。今までの生活と入居後のギャップが少なくなるタイミングが、検討どきということですね。

お元気なうちから老人ホームを考えるメリット・デメリット

お元気なうちから検討することには、もちろんメリットもデメリットもあります。

LIFULL 介護の相談員が考えるメリット・デメリットをみていきましょう。

メリット

自分の納得のいく施設を選択できる
選んだ施設によっては身体状態が変化してもそこに住み続けることができる
いちはやく入居を決めることで介護予防ができ、老後の健康寿命を伸ばせる
入居後、元気なうちに人間関係を築き、友人ができる

デメリット

金銭的な負担が大きい
見学をしても入居まで時間があいてしまう場合、いざという時には情報が古くなっている可能性がある
施設によっては、理想の生活とのギャップに悩んでしまうかもしれない

金銭的な負担を乗り越えることができれば、早いうちの老人ホームへの入居は、穏やかなシニアライフを実現できる手段と言えそうです。ただし、自身の状態が悪くなってから入居する老人ホームを探している場合は、早すぎる見学がいざと言うときに役立たないこともあり得そうです。

老人ホーム選びのポイント

お元気なうちに老人ホームを探す場合に、気を付けたいポイントは？LIFULL 介護入居相談員に聞いたポイントは以下の通りです。

生活の自由度

老人ホームに入した後、いかに今までと近い自由な生活ができるかが大切です。
例えば「介護付き有料老人ホーム」は、介護サービスが手厚く最後まで見てくれるから安心と思うかもしれませんが、お風呂の回数が限られているなど生活の自由度はどうしても下がってしまいます。身の回りのことができるお元気な方はサービス付き高齢者向け住宅がおすすめですね。（入居相談員A）

今後の住み替えの有無

お元気な方向けの老人ホームは、介護度が進み、寝たきりになったり医療依存度が高くなったりすると住み替えが必要な場合があります。住み替えの可能性を受け入れた方が施設選択の幅は広がるので、どこまで重視するかを決めておくのがいいでしょう。
施設によっては同じ敷地内に介護度別に棟が分かれているところもあるのでそういったところを探すことで住み替えの心理的ハードルを下げられるかもしれません。（入居相談員B）

入居者の平均的な介護度

介護サービスが手厚い有料老人ホームの場合、認知症の方が多く入居されていることがあります。そこに他の入居者との交流を期待してお元気な方が入居すると、意思疎通ができないため入居を後悔する、というケースも。入居している方の介護度は入居前に把握するのがいいでしょう。見学時に食堂に行く、またはレクリエーションに参加することがおすすめです。（入居相談員A）