【簡単解説】老人ホーム体験入居でチェックしておきたいポイント

ホーム見学の結果、入居したいと思ったら、契約を急がずに数日間ホームに滞在する体験入居をして最終チェックをしましょう。

体験入居のメリット、体験入居までの流れ、スタッフや入居者の雰囲気、設備などのチェックポイントや注意点を解説します。

体験入居でチェックしておきたいポイントについて動画で知る

体験入居とは

体験入居とは、入居金など初期費用を必要とせず、一定期間お試しでホームに入居できるもので、多くの有料老人ホームで実施しています。

体験入居のメリットは、見学ではわからなかった部分が具体的に把握でき、入居についてより確信を持って決断する材料を得られることにあります。

特に入居金を多く支払うホームを検討する際には、本契約をする前に体験入居をしましょう。

体験入居のメリット

入居前に体験入居を行うことは、以下のようなメリットがあります。

ホームの早朝・夜間帯の様子が把握できる

スタッフが十分に足りているかが顕著に表れる早朝・夜間帯の様子が確認できます。

入居者から生の情報を得られる

入居者とコミュニケーションが取れ、生の声を聞くことができます。

設備の使い勝手を確認できる

居室に付いているトイレ、洗面台、緊急通報装置などの使い勝手が確認できます。

音、におい、室温などの環境が確認できる

実際に入居する部屋で体験入居する場合は、隣室からの音も確認できます。

実際のサービスを体験できる

他の入居者と同様のサービス、入居したら受けることになるサービスを実際に体験できます。

体験入居中に受けられるサービス

食事

他の入居者と同じ内容のものが提供されます。

入浴

他の入居者と同様の回数で入浴できます。

生活支援

居室の清掃、洗濯などのサービスが受けられます。

身体介護

必要であれば入浴介助、排泄介助などの身体介護サービスを受けられます。

リハビリテーション

機能訓練指導員よりリハビリテーションを受けられます。

レクリエーション、イベント

他の入居者と一緒にレクリエーションやイベントに参加することができます。

比較検討は見学で、最終確認を体験入居で

体験入居は、何も問題がなければそのまま入居したいと思うホームでするのが理想的です。

あくまでも、比較検討するのは見学であり、体験入居は見学で得たホームに関する情報の最終確認として利用するというスタンスが望ましいでしょう。

何故なら、体験入居は非常に多くの情報を受け取ることになり、さらに迷うことになりかねないからです。

それほど重要ではなかったはずのメリットに引き寄せられ、誤った判断をしてしまうこともあります。それでも複数のホームの体験入居を望む場合は、条件の優先順位を改めて確認しましょう。

また、体験入居をしたが入居すべきか迷った時も、別のホームの体験入居をする前に、どこに引っかかっているのかをきちんと確認しましょう。

そこが重要なポイントでない、あるいは時間の経過で慣れるかもしれないということであれば、クーリングオフ期間(契約後90日以内)を更なる体験入居期間として考え入居契約をすることも一法です。

体験入居までの流れ

1.施設見学
最低でも2~3か所は見学し、希望条件を満たしているか比較しましょう。条件の優先順位付けも重要です。
2.申込書提出
施設によっては申込金が必要な場合があります。また健康診断書、診療情報提供書などの提出が必要です。これらは取得までに1~2週間程度かかりますので、早めに準備しておきましょう。
3.本人面談・入居審査
普段の生活のご様子、介護・看護の状況、施設へのご要望などを確認します。
4.体験入居
実際に生活することで、見学では確認できなかった部分の最終確認を行います。
5.契約・本入居
問題なく体験入居を終えたら帰宅せずにそのまま本契約・本入居となります。

期間と費用

体験入居期間中は介護保険適用外で、滞在した日数による実費を支払います。期間は1泊2日から1週間程度、中には1ヶ月体験できるところもあります。

費用は、1泊2食:3千円~2万円とホームによって差があります。1日3食の食費・おやつ代、生活サービス費、レクリエーション参加費などが内訳となっています。

必要な持ち物

体験入居に必要な持ち物は下記の通りです。特に新しく購入する必要はありません。日頃使用しているものを準備しましょう。

着替え

衣類、下着、パジャマなど。宿泊日数・洗濯頻度によりますが、1週間以上の滞在の場合は4~5日分の着替えを準備しましょう。1~2泊程度の体験入居の場合は浴衣などの用意があるところもありますので、確認しましょう。

外履き、室内履きが必要です。履き慣れたものを準備しましょう。スリッパは足に固定されず転倒の恐れがあり危険です。踵があるものを用意しましょう。

口腔ケア用品

歯ブラシ、コップ、入れ歯ケースなど、必要に応じて準備しましょう。

入浴用品

シャンプー・リンス、せっけんなど、お気に入りのものがあればご用意ください。ホームにある場合もあります。

消耗品

ティッシュやオムツなど、滞在日数分が必要です。

薬、医療器具

普段服用している薬を滞在日数分用意します。医療器具なども必要に応じて準備してください。

チェックすべきポイント

体験入居は、入居するかどうかを決める最終確認です。長期間住むことになることを想定して、心地よく快適に暮らせるかどうかをしっかりチェックしましょう。体験入居期間中はご家族の方も足を運び、様子を見ておきましょう。

雰囲気・居心地

  • 既に入居されている方とうまくやれそうか
  • お友達になれそうな方はいるか
  • 活気がなく寂しい思いをしてないか
  • 活気がありすぎて取り残された感じを受けていないか

スタッフ

  • スタッフの対応や言葉遣いは適切か、不快な思いをしていないか
  • 他の入居者との間に入るなど、馴染めるための配慮はあるか
  • 希望するケアやリハビリに応じてくれるか
  • 体調急変した場合の対応はどうか
  • 余裕のある対応をしているか(人手不足かどうか)

食事内容

  • 味付けは合うか
  • 嫌いな食材などに対応してくれるか
  • 食事形態の変更は可能か
  • 医療食の対応は可能か

設備

  • 清掃は行き届いているか
  • 音、温度調節、臭いなど、快適な環境か
  • 共有スペースを他の入居者が利用しているか
  • 共有スペースが少なく部屋に閉じこもりがちにならないか

周辺環境(特に自立している方が入居する場合)

  • 外出しやすいか(最寄駅までの距離、交通手段、駅までの送迎サービスの有無)
  • 安全に散歩できるところはあるか
  • 地域コミュニティーがあるか、地域とのつながりを持てるか

体験入居中に注意したいこと

体験入居は、実際に入居した場合を想定するためにあり、入居前の最終確認になります。家族はそのことを念頭に置いて行動しましょう。

また、ホームは入居者の方にとって実際に生活をしている「自宅」です。体験入居は言わば家に泊まらせてもらっていることと同じです。共同生活を乱す行いに注意し、きちんとマナーを守りましょう。

家族の訪問は入居後と同じ頻度、滞在時間で行なう

入居後にも毎日訪問できるなら良いですが、それができない場合は「家族とは毎日会えるわけではない」という経験もしてもらう必要があります。

気になることがあればホーム側に確認し、不安要素をなるべく残さない

気になることは入居後に問題として勃発することが多いです。あの時にしっかり確認しておけばと後悔しないようにしましょう。

家族が訪問する際は決められた訪問時間を守り、大声で話さないなど周囲に気を配る

特に昼寝の時間帯や夜間帯はお休みになっている方もいるので、居室以外の場所で話すなど気を配りましょう。

食事の時間帯や入浴の順番などのルールを守る

自宅にいた時のように好きな時に食事したり入浴したりはできません。ルールを守ってみんなが気持ちよく生活できるように心配りをしましょう。

他の入居者のプライバシーを侵害するようなことはしない

他の入居者の居室を覗いたり、無断で侵入することは厳禁です。

体験入居では、それぞれのチェック項目を確認することはもちろん重要ですが、本人や家族に合う・合わないは「感覚」が教えてくれていることが多いです。

論理的に説明できず軽視しがちですが、後々問題になってくることがあります。本人や家族が受けた印象や感覚も大事にしましょう。

また、家族も積極的にホームとコミュニケーションを取ることが大切です。

本人の苦情や要望があれば伝えてみましょう。それに対する対処方法でホーム側の姿勢を見ることができるでしょう。

この記事の制作者

武谷 美奈子

著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。

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