要介護2とは?一人暮らしのリスクと、限度額、受けられるサービスについて解説

要介護2は、要介護認定の中の要支援1、2、要介護1の方より日常生活のサポートを必要とする状態です。周囲のサポートを得たり、介護保険で介護サービスを利用しながら、自宅での一人暮らしを継続している方もいます。

動画でサクッと要介護2を知る

要介護2について、LIFULL介護編集長・小菅が動画でご説明します。

要介護2とは?

一般的な要介護2は、家事や身の回りのこと全般に見守りや介助が必要な状態です。

要介護2の具体的な状態

  • 食事やトイレ、入浴に手助けが必要。
  • 立ち上がるときや歩くときは支えを必要とする。
  • 見だしなみや掃除など、身の回りのこと全般に見守りや手助けが必要。
  • 理解力の低下が見られることがある。
  • 立ち姿勢を保ったり、歩いたりするときに何らかの支えが必要。

一般的な要介護2は、家事や身の回りのこと全般に見守りや介助が必要な状態です。なので、支えがないとずっと立っているのは難しいでしょう。

要介護認定の基準は、5つの介護分野でどのぐらいの時間サポートが必要かで判断されます。要介護2は、サポートが必要な時間が70分以上90分未満に相当する状態が該当します。

「サポートが必要な時間」とは、介護保険法に定める「要介護認定等基準時間」と呼ばれるもので、要介護認定を行うための特殊なものさしによる評価です。
したがって、実際に家庭や施設で行われている介護時間の合計を現すものではありません。

要介護1と要介護3との主な違い

介護度 身体状態
要介護1
  • 食事はほとんど自分でできるが、身の回りのことに部分的に手助けを必要とする。
  • 立ち上がるときは支えを必要とする。
  • 歩くときは不安定になるので支えを必要とする。
  • 理解力の低下が見られる。
  • トイレや入浴に一部手助けが必要。
要介護2
  • 食事やトイレ、入浴に手助けが必要。
  • 立ち上がるときや歩くときは支えを必要とする。
  • 身だしなみや掃除など、身の回りのこと全般に見守りや手助けが必要。
  • 理解力の低下が見られることがある。
  • 立ち姿勢を保ったり、歩いたりするときに何らかの支えが必要。
要介護3
  • トイレや入浴、服の着替えなどに介助が必要。
  • 身のまわりのことや家事が自分ひとりでできない。
  • 自力で立ち上がったり歩いたりすることができない。
  • 立ち姿勢を保ったり、片足で立ったりすることが自分ひとりでできない。
  • 全般的な理解の低下がみられることがある。
参考:厚生労働省資料

要介護2は要介護1に比べると足腰が弱ってきているため、立ち上がったり歩いたりするのにより支えを必要とします。

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要介護2の身体状態の具体的事例

LIFULL介護にご相談いただいたお客様で、要介護2の認定を受けていらっしゃる方は、以下のような身体状態が多いです。

(2022年4月1日~8月26日LIFULL介護お客様情報の集計より)

歩行

一番多かったのが、まだご自身で歩ける方でした。しかし、その代わり医療行為が必要だったり、認知症の症状が強く出ていたりなどと他要因で要介護2の認定がおりているようでした。

次に多かったのが車いすと杖歩行の方でした。歩行が難しくなると、サポートが必要な時間が多くなるので要介護2の認定がおりたのでしょう。

入浴

入浴は転倒リスクがあるため、日常生活の中でサポートが早い段階で必要になってくるケースが多いです。そのため、LIFULL介護にご相談いただいている要介護2のお客様も多くの方が入浴の介助を受けていました。

食事

食事に関しては、ご自身で召し上がることが可能な方がほとんどでした。調理を含む食事の用意は介護サービスでお願いし、食べるのはご自身でできるという方も多そうです。

排せつ

歩行機能が自立または杖を利用している方が多いので、お手洗いもご自身で行ける方が約半数でした。歩行機能が低下しお手洗いへ行くのに間に合わない方や、認知症の方は念の為リハビリパンツや尿取りパットを利用する人もいます。

要介護2で一人暮らしは可能なのか

要介護2の方も、身体状態や周囲のサポート・環境によっては、自宅での一人暮らしができる可能性があります。

厚生労働省発表の「要介護者等のいる世帯の世帯構造別にみた現在の要介護度の構成割合(2022年 国民生活基礎調査の概況)」によると、1人暮らしをしている要介護者のうち、16.5%が要介護2であることがわかっています。

日々の生活において介護が必要な場面がありながらも、一人暮らしができている方もいます。

自治体の高齢者向けサービスを活用しよう

要介護2の方の場合、家事だけでなく、排せつや入浴、食事などでも介助が必要になる場合もあります。このため一人暮らしをするのにやや困難を伴うこともありますが、ご自身でできないことは、介護保険サービスや自治体の高齢者向けサービスを上手に利用することで、ある程度補うことができます。

見守りサービスを活用しよう

昨今では、自宅で一人暮らしをする高齢者を対象に、食事の宅配サービスや緊急時駆け付けサービスなど、いろいろな見守りサービスが用意されています。必要に応じて上手に活用しましょう。

どのサービスを利用したらいいか悩んだときは、お住まいの自治体の窓口や、ケアマネジャーなどに相談してみましょう。

主な見守りサービスの内容
・配食等サービス
・緊急時駆け付けサービス
・自宅見守りサービス
・外出先の見守りサービス

要介護2 介護保険サービスの給付金の限度額

介護保険では介護度ごとに、1ヶ月で利用できる介護サービスの総量に限度が設けられています。これを「区分支給限度基準額」と言います。基本的には、ケアマネジャーと相談して、この限度額の範囲内でサービスを受けます。

また、利用者(※家族が含まれることもあります)の所得に応じて、利用したサービス料の1割~3割が自己負担となります。もし、限度額を超えてサービスを利用した場合には、超えた分は全額(10割)自己負担しなくてはなりません。

要介護2の方が利用できる施設

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは民間企業によって運営されており、24時間介護スタッフが常駐し、掃除や洗濯など身の回りの世話や、食事、入浴、排せつなどの介助サービスを行っている介護施設です。

「介護付き」という名称は一定の設備、人員、運営基準を満たして都道府県の認可を受けている施設のみ使用できます。入居要件や入居にかかる費用は施設により異なり、介護度が軽い方から重い方、寝たきりの方、認知症の症状がある方など幅広く受け入れています。

看取りまで対応しているところが多いため、終の棲みかの選択肢の一つにもなっています。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、主に民間企業が運営しており、要介護認定を受けていない自立状態の方から要支援・要介護の方まで、様々な状態の高齢者を幅広く受け入れている施設です。

掃除や洗濯などの日常生活の援助やレクリエーションなどのサービスが受けられるほか、緊急時の対応を請け負ってくれます。

介護サービスが必要なときには、訪問介護や通所介護などのサービスを外部事業者と契約して利用します。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、安否確認や様々な生活支援サービスを受けられるバリアフリー対応の賃貸住宅のことで、サ高住、サ付きとも呼ばれています。

自宅で暮らすことが難しくなってきたときの選択肢となることが多く、各居室に台所やトイレ・浴室が付いている建物もあり、自由度の高い暮らしができます。最近は入居者の約8割が要介護1〜5の方で、有料老人ホームと同じように利用しています。

グループホーム

グループホームとは、要支援2以上の認知症高齢者を対象にした、地域密着型の小規模介護施設です。最大9名で構成される"ユニット"と呼ばれる生活空間に分かれ、家事などを可能な範囲で役割分担しながら共同生活を行います。

認知症介護の知識と技術を持ったスタッフが担当制で介護を行ううえ、いつも同じメンバーで生活できるユニット型の生活環境は認知症ケアに適しており、地域の認知症ケアの拠点として注目を集めています。

高齢者専用賃貸住宅

一般的な賃貸住宅と同じく、 「賃貸借契約」 を結ぶ高齢者向け賃貸住宅です。主に民間事業者などによって設置・運営され、都道府県単位で認可・登録されています。

主に自立(要介護認定なし)あるいは軽度の要介護状態の高齢者を受け入れており、入居者を高齢者に限定し、都道府県単位で情報を登録していること、高齢者向けに居室や設備の条件が定められていることなどが特徴です。

一部の施設では、外部の事業者による見守り、食事・掃除・洗濯の世話、緊急時の対応、入浴・食事・排せつの介護などのサービスが提供されています。

基本的には身の回りの世話を自分でできる人向けとなっており、重度の介護状態になった場合は住み続けることができません。

特養(特別養護老人ホーム)は利用できない?特例ケースについて

特養は原則要介護3以上の高齢者でないと入居ができません。ただし、要介護1、2の方でも、在宅での介護が非常に困難な状態と判断された場合は特例として認められるケースがあります。

下記のような症状、状況が見られる場合は、お近くの行政窓口、もしくは地域包括支援センターまでお問合せください。

特例

  • 認知症で、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
  • 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
  • 家族等の深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
  • 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等の支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること
特養について詳しく見る

要介護2の方が利用できる主な在宅介護サービス

訪問介護

ヘルパーに自宅へ訪問してもらい、日常生活をサポートしてもらうサービスです。サポートしてもらえることは、「身体介護」(食事、入浴、排せつ、着替えなどの介助、シーツ交換など)と「生活援助」(掃除、洗濯、食事の準備、調理、買い物など)で負担額が変動します。

夜間対応型訪問介護

夜間帯にヘルパーに自宅へ訪問してもらい、サポートしてもらうサービスです。「定期巡回」と「随時対応」の2種類のサービスがあります。

訪問看護

看護師に訪問してもらい、医師の指示に基づいて、医療処置を行ってもらいます。また、医療機器の管理や床ずれの手当や処置なども対応してもらえます。

訪問入浴介護

専用車両で浴槽を持ち込み、介助を受けながら入浴するサービスです。

訪問リハビリテーション

理学療法士などリハビリの有資格者に訪問してもらい、自宅でリハビリが受けられるサービスです。

居宅療養管理指導

医師、歯科医師、管理栄養士や薬剤師などに訪問してもらい、服薬や歯磨き、栄養管理などについての指導を受けられるサービスです。

在宅介護に欠かせない!居宅介護サービスの種類

介護保険外サービスという選択肢もある

介護保険の範囲外のサポートを希望する場合、全額自費負担で「介護保険外サービス」を受けられます。介護保険で受けられるような身体介助から、趣味活動やお墓参りの付き添い、ガーデニングの手伝いなど、広範囲にサポートを受けることができます。

介護保険サービスにおける訪問介護では、本人の生活や健康管理に密接した、所定の支援以外は行えないルールになっています。上記のような余暇活動等の支援は、現在の介護保険では認められていません。また、制度上認められている支援についても、家族がいる場合などは原則として利用が出来ません。

介護保険外サービスの例を見る

要介護2で施設に入居するのは早い?

LIFULL seniorが独自に行ったアンケート結果をもとにしたグラフです。施設ごとに入居者の平均要介護度や平均年齢を見てみると、比較的要介護度が低い方も施設に入居していることがわかります。

要介護2の方が入居できる介護施設特集を見てみる

まとめ

費用が低額で人気のある特別養護老人ホーム(特養)は、原則要介護3以上の方しか入居できませんが、サービス付き高齢者向け住宅や介護付き有料老人ホームなど要介護2の方でも入居できる施設は多くあります。

まずはお住まいの地域にどんな施設があるかを見てみてはいかがでしょうか。

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この記事の制作者

小菅 秀樹

著者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、介護コンテンツの制作、寄稿、登壇。YouTubeやTwitterでも介護の情報発信を行う。

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高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

特別養護老人ホーム職員、通所介護事業所の相談員などを経て、現在は居宅介護支援事業所の管理者。業界13年目。現役のケアマネジャーとして業務するかたわら、フリーランスとしても開業。WEBライティング、介護事業所向けコンサルティング、Youtube生配信、広告デザイン(ブランディング)などの事業を受注。各種SNSでは介護業界を明るくするための発信活動を続けている

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