親の介護について考える、あるいは話し合うタイミング、難しいですよね。多くのご相談を通じて感じた結論としては、親自身が判断できるうちっていうのがすごく大事かなと思うんですね。
自分の親が年老いて、いつか介護する日が来るかもしれない。親がまだ元気であれば今すぐ介護について考える必要はない気もするが、急に必要に迫られることは十分あり得る。
筆者は現在45歳で、両親は70代の半ば。私は大阪に住んでいて、両親は実家のある東京にいる。二人とも幸い元気ではあるが、当然歳は取る。今のうちから介護について知っておかねばと思い、これまでこの「tayorini」で、主に遠距離介護をテーマにした取材をしてきた。
今回は、私と同じように親の介護が近い将来に迫るのを感じつつ、まだ具体的な行動に移せてはいないという、いぬじんさん、はせおやさいさん、赤祖父さんのお三方にお集まりいただいた。
それぞれが抱える介護への疑問や悩みに答えていただくために、ライフルシニアが運営する老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL 介護」の編集長を務める小菅秀樹さんをお呼びして「親の介護施設入居を考えることになったら、どうする?」というテーマで、お三方との座談会を開催した。小菅さんは、現在の職に就く以前にも、老人ホームや介護施設紹介業の入居相談員を長年務めてきたその道のプロフェッショナルである。
個人的にも、参考になるところが非常に多い充実の座談会となった。近い未来の介護について不安を感じている方にとって、何らかのヒントになれば幸いである。
――今日はよろしくお願いいたします!
一同:よろしくお願いします!
――いぬじんさん、はせおやさいさん、赤祖父さんのお三方とも、親御さんは今はお元気で基本的には自立して生活されている状況だと聞いています。まずは小菅さんに「介護について具体的に考え始めるべきタイミング」についてお伺いしたいと思います。
親の介護について考える、あるいは話し合うタイミング、難しいですよね。多くのご相談を通じて感じた結論としては、親自身が判断できるうちっていうのがすごく大事かなと思うんですね。
――なるほど、親自身が元気なうちにという。
例えば、皆さんが30年、40年後に、自分が入る介護施設を探す段階になった時に「その施設を誰に決めてほしいか」ということです。おそらく、自分で決めたいというのが本音ではないでしょうか。
親御さんご自身が施設に見学に行って、いいと思えるようなところを探すのが一番いいわけです。ただ、これは理想です。入居相談の大半は、親御さんが要介護状態であったり、認知症が進行していたりして、子どもだけで選ぶことになるんです。だからこそ、親がある程度元気なうちに考えておくというのが一番いいかなと思います。
――ただ、親が元気な状態だと「今それを判断する必要はない」と言われてしまいそうにも思います。うまいきっかけの作り方があれば知りたいです。
今、70代前半で元気でも、75歳の後期高齢者になると、要介護状態になる可能性が一気に上がります。なので早いうちが望ましいのですが、例えばお盆に帰省したついでにいきなりそんな話をしても、なかなかうまくいきません(笑)。
日頃の何気ない会話の中に、介護の話題を少しずつ織り交ぜるのも一案かと思います。例えば、芸能人の方が介護施設に入ったというニュースとか、あるいは「自分の同僚の親が急に要介護状態になって困ったらしい」みたいな話をしてみるとか。きっかけは何でもいいので、小出しにして、少しずつ意識してもらうことがいいと思います。
――ちなみに、どんな点を親との間で確認しておくといいんでしょうか。
大事なのは親がどんな生活を望んでいるかですね。それによってどんな介護施設を選ぶかも変わってくると思います。
――みなさんは、将来介護施設を利用することを考えたとき、どういったことが気になりますか?。
いざ施設で過ごすとなったときに、親本人のストレスが気になっています。住み慣れた場所から環境を変えることで、ネガティブな方に転んでしまう場合もあるんじゃないかなと。
そういった心配は当然ありますよね。住み慣れた環境を変えるのは誰しも大きなストレスになると思います。ただ、スタッフの介入の仕方や入居者同士の交流を通じて、時間とともに緩和されていくことも多くあります。
そのストレスを最小限にするためにも、例えは接遇の良いスタッフがいる施設や、親御さんの趣味が継続できる施設など、ご本人に合った環境を選ぶことが大切です。親御さんが「ここなら快適だ」と思える場所であれば、安心して新しい生活に馴染むことができるはずです。
また、最初から長期入居に抵抗があるようでしたら、ショートステイを活用するのも一つの方法です。数日から数週間、施設の雰囲気に少しずつ適応していくことで、入居に前向きになる親御さんもいます。
もちろん、施設入居だけが選択肢ではありません。「自宅で最期まで」を希望される親御さんも多いと思います。その場合は、最寄りの地域包括支援センターへ相談に行きましょう。自宅周辺にどのような介護サービスがあるのか等の情報や、自宅生活をできる限り長く続けられるためのアドバイスをしていただけます。
なるほど、ショートステイっていうのもあるんですね!
私、そもそも介護施設にどんな種類があるのか、施設ごとの違いがよく分かっていなくて。
介護施設の種類というのは大きく分けて10種類ほどあるんです。たくさんの介護施設の中からどうやって選べばいいのかという話なんですが、前提として、私はそれぞれの違いや特徴を、そこまで詳しく知る必要はないと思っているんです。
なぜかというと、約10種類の中でみなさんが選ばれるのは全国的に施設数の多い「特別養護老人ホーム(特養)」「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「グループホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」の5つなんです。
老人ホーム・介護施設の種類、それぞれの特徴
業界最大級の老人ホーム検索サイト | LIFULL介護
とりわけ「有料老人ホーム」は最近すごく増えていて、有力な選択肢になると思います。それぞれ、ざっと説明するとこのようになります。
要介護3以上の人向けの施設。公的な施設で、民間に比べると費用の負担は軽い。
特別養護老人ホーム(特養)とは民間が運営する老人ホームの代表格。物件によっては介護認定のない状態から入れるところも多く、入居のハードルは低め。「特別養護老人ホーム」に入れない場合に、有料老人ホームを選ぶケースが多い。
介護付き有料老人ホームとは 住宅型有料老人ホームとは主に認知症の人を対象とした施設で、施設がある自治体に住民票を持つ人だけが入居できる。
グループホームとは略して「サ高住」とも呼ばれ、簡単に言うと、高齢者の入居を拒否しない賃貸マンション。物件により、自立状態の人から要介護5の人まで幅広く入れる。比較的金額が安く、有料老人ホームに比べると入りやすい価格設定になっているため、近年入居者が増えている。「サービス付き」のサービスとは生活相談(介護や福祉の有資格者が日中は必ず施設内に常駐している)と安否確認(入居者の安否をセンサー等で把握して、何かあったら職員が駆け付ける体制を敷いている、など)の二つを指す。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とはこのような種類の施設がある中で、例えば、認知症の症状はないけれど、要介護2の状態の方であれば介護付きの有料老人ホームか住宅型有料老人ホーム、もしくはサービス付き高齢者向けをおすすめするという感じですね。その方の状態によって選ぶ先が変わってくるイメージです。
ちなみに、公的な施設と民間の施設との違いについてよく聞かれるんですが、基本的には同じでその方に必要な介護サービスを提供します。そして、民間の有料老人ホームはそのサービス内容が幅広いんです。また利用料の幅も広く、庶民的な老人ホームもあれば、高級ホテルのように豪華なところまであって。幅広い選択肢の中から予算に合ったところを探すのが、老人ホーム選びの難しいところですね。
めちゃくちゃパラメータの多いゲームみたいですね(笑)。最初の話に戻りますけど、親が判断できるうちにそれぞれのメリットとデメリットを理解して「じゃあここにするわ」っていうのを選ばせてあげるのが、本人の納得にもつながるんだなと感じました。とはいえ、種類が多いゆえに迷いそうです。
おっしゃる通りです。最終決定は親御さんにしてもらいたいと思うんですが、ある程度はお子さんの方で調べて候補をいくつか用意してその中で選んでもらうようにしないと、混乱して話が進まないと思います。
その際に、施設を選ぶ軸があるとスムーズです。予算や場所だけでなく、「親が施設に入った後にどういう生活がしたいか」というのを聞いておくといいと思います。最近は、レクリエーションやサークル活動が盛んな老人ホームも増えているので、「ここなら趣味が続けられそうだよ」と提案してみるのも一案ですね。
――ちなみに老人ホーム選びで迷った場合はどこに相談するのがいいですか?
介護全般の相談を受けている「地域包括支援センター」や、市役所、区役所の介護保険課といった行政の窓口でも相談はできます。しかし、そういった場所では、地域の介護施設のリストを渡されて「詳しいことはご自身で調べてください」となる場合も多いんです。
そこで施設探しに関しては、老人ホーム紹介センター(「老人ホームを探す人」と「入居者を募集する施設」のマッチングを促進する事業者)や、それこそ「LIFULL 介護」のようなポータルサイトで探していただくのが効率的かなと思います。
老人ホーム紹介センターとは
業界最大級の老人ホーム検索サイト | LIFULL介護
「LIFULL 介護」には「入居相談室」というサービスがあって、専属の相談員が電話で介護施設入居に関する相談を受け付けています。「どんな条件で探すのが適切か」とか「この予算感で果たして施設があるのか」とか、初めて施設を探す方とも一緒に考えていきましょう、というスタンスです。
実際に介護施設を選ぶ際には、見学という重要な工程があります。その際の注意点とか、アフターフォローも含めて、相談員が一貫して対応しています。
介護施設を探す際のコツはありますか?見学に行く前にも、施設の様子などが知れるといいなと思います。
施設公式サイトやLIFULL介護の中でも、日々の生活の様子をブログ等で発信している施設が増えています。最近はSNSを積極的に活用している施設も増えてきていて、入居者がイベントで楽しんでいる様子が発信されていることもあります。こういう雰囲気ならうちの親も打ち解けられそうとか、イメージがわいてくると思います。
あと、仕事があるので、時間的な負担に対する不安もあります。例えば、会社の同僚で、働きながら親がデイサービスへ行く際の送り迎えをしている人がいます。そうでなくても、老人ホーム入居後も面会に行く機会はあると思うんです。特に自分が働いている場合、親の施設での介護に関して、どの程度の負担があるのか気になります。
面会に関しては、お仕事がお休みの日に行かれるのが一般的です。頻度は本当に人それぞれで、施設の方のお話では、だいたい月に一回ぐらいという方が多いですね。自宅が近くて毎日来るという方もいれば、年に一回という方もいます。
親が入院することになった際など、緊急時に呼び出されるケースもまれにありますが、その頻度はやはり人それぞれです。
事情がない限りそんなに頻繁に呼び出されることはありませんし、ご自身のペースで行けばいいかなと私は思います。
自分の家から施設が遠い場合、会いにいくのが大変かなと思うのですが、実家と離れて暮らしている場合、施設のエリア選びや通うペースって、みなさんどうしているんでしょうか。
エリア選びに関しては、面会頻度が一番多い人の近くを選ぶというケースが多いですね。ただ、難しいのが、地方から親を呼び寄せるっていうケースなんです。
例えば、地方に両親二人が住んでいるとします。お父さんが要介護状態で、お母さんが介護疲れで大変なので施設を検討しようという時に、実家のそばがいいのか、それとも子どもが住むエリアに近い方がいいのかで、意見が結構割れるんです。
もちろん最終判断はご家族にお任せしていますが、正直、先々のことを考えると、子どものいるエリアに近い方がいいんじゃないかなというケースもあります。実家から近ければ、お母さんは頻繁に面会に行けるかもしれません。しかし、子どもたちからは距離が遠いため、次第に足が遠のいてしまうこともあります。また、お母さん自身も高齢になるにつれて、いつまでも健康でいられる保証はありません。遠方だと子どもたちがそこに通うのも大変で、半年とか一年に一回しか行けないというようなケースも実際にあります。
なるほど、たしかに。せっかく実家の近くにいても僕みたいにあまり行かない人もいるし、物理的な距離の話じゃなくて、心の距離の話ですね。
そうですね。例えば子どもが三人いたとして、三人ともが通いやすい中間地点がいいとか、そういった要望が寄せられることがあるんです。でも実際はだんだん通う人が偏ってくるんですよ。
想像がつきます、絶対、偏ってくるんでしょうね。
現実的な話ですが、兄弟姉妹間で親の老人ホームに通う頻度というのは、どうしても偏りが出るものです。仕事や生活スタイルによって時間的余裕のある人や、親との関係が深い子どもがよく通うのは傾向としてあると思います。また、兄弟姉妹で中間地点を選んだことで、全員が中途半端に遠い距離になり、誰も頻繁に通えなかったケースもありました。
そのため、私は「中間地点を選ぶことが必ずしも最適とは限らない」とお伝えしています。もちろん特定の子どもに負担が集中するのは好ましくありません。そのため、日ごろ面会に行けないのであれば、頻繁に行く人の交通費を負担するなど、現実的にできる分担をしっかり考えることが重要だと思います。
頻度のことでいえば、先日父が入院して、次は入れ替わりみたいに母も入院したことがあったんですね。二人とも長期で入院することになって。
うちはきょうだいが一人いて、僕たち二人とも家から病院までの距離はそんなに近くなかったんですよ。でも結局、僕の方が普段実家によく行っている流れで、病院にもよく行くことになりました。
一方、うちの母は子どもたちがお見舞いに来る、気にかけてくれている、というのを周りに自慢したいみたいな気持ちがあって。
分かりますよ。私はこんなに人気者なんだー!みたいな。
そうそう、そのためにめっちゃ電話がかかってくるんですよ! やっぱり入院中って、周りの人に「あそこの家はよく家族が来てるね」っていうのは見せたいんですよね。
――あと、やはり気になるのは「費用」の部分だと思います。
そこは気になりますね。実際、親の収入や年金でまかなえるのか、子ども世代が負担しなきゃいけないのか、というところについて聞きたいです。
お子さんが金銭援助をするかどうかに関しては親御さんの資産や収入にもよります。一概には言えないですが、月に1万円から3万円程度という感じですね。正直、私はそれ以上の援助はなるべく避けた方がいいと思っています。
子どもには子どもの人生がありますから、やはり「親の介護は親のお金でやりくりする」というのを基本にしておいた方がいいかと思います。
みなさんもそうですが、お子さんもいらっしゃって、これからどんどん教育費もかかっていくし、住宅ローンも抱えているという世代だと思います。親にどれだけしてあげたいかという感情の部分もあると思いますが、そこは個人個人で、あまり周りと比べなくてもいいのかなと思っています。
ありがとうございます。自分が一人で背負うとしたらどうしようとか思ってしまっていたんですけど、私は兄弟もいますし、そのへんはなんとかなるかなと、割と現実的なラインが見えてきた気がします。
ちなみに、施設への費用の支払いサイクルってどういう形でしょうか?
入居金は、300万円とか1000万円とか金額は幅がありますが、基本的に一括払いです。あとは月々の支払いを銀行引き落としでしていくのが一般的ですね。
なんとなく、大きなお金が必要になるなら介護積み立てをした方がいいのかなとか思いつつ、でも子どもの学資保険もあったりして、どんな費用をいくらくらい覚悟しておいた方がよいのか、葛藤がありました。でも今お話を聞いて、月にかかる額も仕送りぐらいの心づもりでいればいいというのが理解でき、安心しました。要するに、ハード面はいかようにでもできるというイメージがついて、あとは親との関係のソフト面が大事なんだなと。
うちの親は「自分たちで費用をなんとかする」と言っているんですが、本当になんとかなるのか不安なんですよね。
「老後のことは自分たちで考えているから大丈夫だ」って親は言うんですよ。でも親の言う「大丈夫」ほどあてにならないものもないんです!
ですよね! そこはまったく信用してないです(笑)。だって親自身も介護されるのは初めてですから。
そうなんですよ。今の親世代で真剣に考えているのは自分の親を介護したことがある経験者が多いと思います。そうでない人は、どこか介護を他人ごとに考えてしまっている、80歳なのに「介護施設なんて自分とは関係ない」とか。もちろん、親としては子どもに心配をかけたくない気持ちでそう言っているのもあると思います。だからこそ、経済的な面も元気なうちに話しておけるといいんですよね。
――みなさん実際、親御さんとそういうコミュニケーションはできそうですか?
うちは以前、親が自分でお墓を選ぶ機会があったんですよ。それも結構大変で、毎回一緒に見に行ってくれと言われて、僕が一緒に見に行って意味があるのかとかと思いながら(笑)。でも、その時は親とやり取りして一応結論は出せたんですね。
そのことも思い出して、介護についても面倒だけど、今のうちに話しておかないとなと。後でもっと面倒になるわけですから、早速この週末にでも話しておこうと思いました。
うちは幸い親との関係は悪くなく、兄弟との関係も恵まれていると思います。先日、兄弟3人がそろう機会があったので「親になんかあったらどうする?」と話したんですよ。実家に比較的近いいちばん下の弟が「まあ俺がやることになるんだろうね」と言ってくれたのですが、私と真ん中の弟はその分、金銭面で負担が出たらサポートするとか、建設的な話ができたんです。先送りにしないで、介護はもちろんその後にある死のことについても、話しておこうと思いました。
素晴らしいと思います。プロの介護職員でもみんな言うんですが、自分の親の介護ってできないんですよ。自分の親って、関係性が特別ですよね。距離感がめちゃくちゃ近いじゃないですか。そこに感情も入ってきますし。そんな中で一定のパフォーマンスを出し続けるのが難しいんです。
介護をプロに任せることに罪悪感があるとか、老人ホームに入れるのは親不孝だという考えの人もまだ世の中にはいらっしゃると思います。けれど私は、「子どもは極力直接的な介護をしない」という方針を立てた方がいいと思っているんです。
そのかわり、子どもがやるべきことは介護全体のマネージメントです。介護認定の申請手続きをしたり、介護サービスの契約をしたり、どういうペースで親に会いに行くかのプランニングとかですね。
親にとって何が一番幸せかというと、子どもが幸せに生きることではないかと思うんです。そのためにも、介護のプロのサービスを受ける、在宅が難しければ介護施設を選んで住み替えるとか、そういうスタンスで向き合っていくのが、これからのスタンダードになってほしいと思います。
――親だけでなく、一緒に介護に関わる可能性のある兄弟やパートナーと事前にすり合わせておくべきポイントはありますか?
まず、介護はプロに任せるというのを家族の共通認識にするのがいいかなと思います。誰かに負担が偏り過ぎないように整えるのが大事です。
そして、介護においては完璧主義をやめるということですね。多少家が散らかっていたってしょうがないし、手を抜けるところは抜いていきましょうっていうのはお伝えしたいです。
そして最後に「縁起でもない話をしよう」ということですね。先ほど「介護の最後には死がある」という話もありました。いざという時に延命をするかしないとか、相続の問題、お葬式やお墓をどうするのとか、そういう縁起でもない話って、だいたい親に言うと嫌がられるんです。でも、何かあった時に決めるのはこっちでしょ?という話で。
「縁起でもない話をしよう」というのがすごく刺さりました。私自身、親の介護や将来のことを、今まで見ないようにしていたんですよね。親という大きな存在がいなくなるかもしれないということを考えるのが、すごく怖かったんです。でも、自分が親に何をしてあげたいのか、親が何をしてほしいのか、それは自分自身にできることなのか、そういう問題にちゃんと向き合わなきゃいけないなと。お話を伺っていて発見だったのは、介護自体はプロに任せてしまう方がいいし、私自身が親との折り合いが悪くても、兄弟やパートナーなど身近な人と連携してチームでやっていくのが大事なんだなと感じました。
今回、介護施設の検討が保育園選びに似ているなと思いました。今まで家を買うとか、子どもの塾を選ぶとか、もっと早く調べておけばよかったということが今までの人生にたくさんあったので、今回お話を聞いて、親の介護について先手を打てるかなという気がしています。
人生の中でこれはちょっとまだ考えたくないことってあるじゃないですか。人はいつか死ぬしとか、入院したらこうなるしとか。でも、そういうことにも思い切って向き合ってみたら、大変ではあるけれど、意外とそこにも面白い世界があったりする。今まさに両親と向き合う中で、感じているところです。
――みなさんと状況の近い私としても、すごく勉強になりました。本日はありがとうございました。
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お三方と小菅さんの対談の中に、具体的な疑問とそれに対しての明確なアドバイスがたくさん出てきて、あらためて介護に対しての理解が深まった気がした。対談の冒頭の方で小菅さんが「自分が年老いて介護される側になった時に介護施設を誰に決めてもらいたいかと考えれば、自分で決めたいと思うはずですよね」という主旨のことをおっしゃっていて、本当にその通りだなと思った。
自分が歳を取った時のことを想像してそう思うからこそ、親が元気なうちに「縁起でもない話」をしやすい環境を作っておきたいと心から思った。
「具体的にどんな施設があるのだろう」と思ったときに「LIFULL介護」では全国の介護施設を検索できる。
そして親の介護施設の入居を考える中で悩むことや分からないことがあるとき、プロに相談できる「LIFULL 介護 入居相談室」という窓口もあるそうだ。こういったサービスも活用して、親にとっても家族にとっても、納得のいく選択をしてほしい。
編集:はてな編集部
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