脳梗塞の症状とは?原因や予防法まで解説

【図解】脳梗塞の症状

脳梗塞には、運動障害や言語障害などの特徴的な症状があります。脳梗塞の症状や原因を知っておくと異常の早期発見にもつながり、後遺症を減らせるかもしれません。

ここでは、脳梗塞の種類や原因、症状・予防法・治療法・後遺症について紹介します。

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脳梗塞とは

脳梗塞は、血栓といわれる血液の塊が脳の血管に詰まったり、脳の血管が細くなり血流が途絶えたりすることで運動機能や感覚機能などに障害をもたらす病気です。脳梗塞にはいくつかの分類があり、それぞれに特徴的な症状があります。原因や症状を知り、脳梗塞のリスクを減らしていきましょう。

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脳梗塞の症状

運動障害
感覚障害
視覚障害
言語障害

脳梗塞の症状は、大きく分けると4つ挙げられます。うまく動けなくなったり、感覚がなくなったりするといった症状のほか、視覚障害や言語障害としても表れる場合がありますので、下記のような症状が表れたら脳梗塞を疑ってみる必要があります。

運動障害

運動障害で最も多いのは、片側の手足が動かなったり、力が入らなくなったりする症状です。その他には、食事中に箸や茶碗を落とす、ふらつく、傾いてまっすぐ歩けない、つまずく、足を引きずって歩くなどが挙げられます。

感覚障害

感覚障害では、左右どちらかの片側の手足が突然しびれる、感覚が鈍くなるといった感覚の異常が起きます。多くの脳梗塞患者にみられる症状です。

視覚障害

脳梗塞の症状としては、視覚障害も挙げられます。視覚障害は、視野が狭くなる、ものが二重に見える、視野が半分欠ける(同名半盲)、ものが一瞬見えなくなるといった症状があります。

言語障害

言語障害は大きく分けると運動性失語、感覚性失語、構音障害の3つに分類されます。

運動性失語 言いたい言葉が出てこない
感覚性失語 話している意味、書いてある意味が理解できない
構音障害 うまく発語できない

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脳梗塞の原因

脳梗塞の大きな原因は高血圧です。高血圧とは血圧が140/90mmHg以上になることを指します。高血圧が続くと全身の血管の負担が大きくなり、脳梗塞のみでなく心筋梗塞や動脈硬化も引き起こす可能性が高まります。

高血圧の原因となりうる生活習慣

  • 塩分の摂りすぎ
  • 肥満
  • 運動不足
  • 喫煙
  • ストレス
  • 睡眠不足
高血圧性脳症

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脳梗塞発生のメカニズム

脳血栓
脳塞栓
血行力学性

脳梗塞が発生するメカニズムは1つではなく、上記3つの分類が挙げられます。どのような違いがあるのかを理解しておきましょう。

脳血栓

脳血栓は、脳の血管に血栓が詰まっている状態です。動脈硬化が進行し血管が狭くなり、血液がスムーズに流れず血栓が詰まると、血流が途絶えて脳梗塞が起きます。脳血栓が起きた先の脳の組織には血液や酸素が流れなくなり、脳梗塞の症状が出現します。

脳塞栓

脳塞栓は、大動脈や頸動脈で作られた血栓が血液の流れに乗って脳動脈にいき、突然脳の血管が詰まる状態です。不整脈により心臓の中で出来た血栓が脳に運ばれて脳塞栓を起こすことを、心原性脳塞栓症といいます。

血行力学性

血行力学性は、ショック状態による血圧の急激な低下や心拍出量の減少により、脳の血流が低下して起きる脳梗塞です。上記2つの脳梗塞のように血管が狭くなる、血栓が詰まるといった原因がなくても起きます。心停止時に起きる脳梗塞は血行力学性によるものです。

脳梗塞の種類

アテローム血栓症脳梗塞
ラクナ梗塞
心原性脳塞栓症

脳梗塞の種類も1つではなく、上記3つが挙げられます。それぞれで発生理由や症状が異なるため、違いを説明します。

アテローム血栓症脳梗塞

アテローム血栓症脳梗塞は、動脈硬化により血流が悪化した結果起こる脳梗塞です。力が入りにくい、身体のどちらか片側が動かせないなどの脳梗塞の症状が出ながらも、症状が出たり治ったりを繰り返す一過性脳虚血発作(TIA)のために、脳梗塞の発症に気が付かない場合もあります。

ラクナ梗塞

ラクナ梗塞は、脳の奥にある細い血管が詰まって起きる小さな脳梗塞です。梗塞が発生する部位によって言語障害や歩行障害、嚥下障害(食事の飲みこみにくさ)が起こりますが、細い血管の梗塞であるため症状が出ないこともあります。ラクナ梗塞を繰り返すと脳血管性認知症になる可能性があります。

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心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は心臓の中でできた血栓が脳へ運ばれ、脳の血管が閉塞する脳梗塞です。不整脈を持った方に起こりやすく、脳の大きな血管が血栓で詰まるため、命にかかわる危険な状態になる可能性が高くなります。突然発症し、意識障害や麻痺が起きるという特徴があります。

脳梗塞の予防法

不整脈の治療
高血圧、脂質異常症、糖尿病の治療
こまめな水分補給

脳梗塞の代表的な予防法は生活習慣の改善ですが、その他にも意識的に対応することで予防に繋がるものがあります。

不整脈の治療

心房細動と呼ばれる不整脈は、脳塞栓症の最大原因です。

高齢の方、糖尿病や高血圧を合併されている方は、抗凝固薬の内服で脳塞栓症を予防することができます。

高血圧、脂質異常症、糖尿病の治療

減塩を意識した食事、適度な運動、禁煙や禁酒を心掛ける、医師の診察を受けるなど、生活習慣病の改善は予防において最も重要です。

こまめな水分補給

身体に必要な水分が不足したときに脱水は起こります。脱水により血液が流れにくくなっており、血栓ができやすくなります。こまめに水分を摂る習慣をつけましょう。

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脳梗塞の治療法

経静脈血栓溶解療法(t-PA治療)
局所線溶治療(ウロキナーゼ動注) 
血管内治療(メルシーリトリーバー、ペナンブラシステム)
抗血栓療法

脳梗塞の治療は時間との戦いにもなります。脳梗塞が疑われた場合にすぐ対応できるよう、あらかじめご確認ください。

経静脈血栓融解療法(t-PA治療)

経静脈血栓融解療法は、点滴治療のひとつです。発症4時間半以内に、点滴によって血栓を溶かす薬を投与します。投与された薬が血栓の成分を変化させて溶かすことで詰まっていた血管に血液が再び流れるようになり、症状が回復する可能性があります。

局所線溶療法(ウロキナーゼ動注)

局所線溶療法は、発症4時間半を超えたり、t-PA治療が難しかったりする場合に行う治療法です。カテーテルを挿入し、発症した部位に対して血栓を溶かす薬を投与します。中大脳動脈という部位に脳梗塞が起きた、発症6時間以内の患者さんに行う治療法です。

血管内治療(Merciリトリーバー、Penumbraシステム)

血管内治療は、カテーテルを血管の中に通して詰まりを解消する治療法です。そのうちの、Merciリトリーバーは発症した部位までカテーテルを挿入し、血栓を回収する方法です。ただし、細い血管の場合は、血管を傷つける可能性もあります。Penumbraシステムは、Merciリトリーバーでは対応しにくい細い血管でも血栓を回収できる方法です。

抗血栓療法

抗血栓療法は薬を投与し、血栓ができるのを防ぐ目的の治療です。脳梗塞患者のおよそ3人に1人が心臓の血栓が脳に移動し脳血管を塞ぐとされており、その発症に備えて行う1次予防と、一度でも脳梗塞を発症した後に再発防止の2次予防があります。

脳梗塞の後遺症

一度壊された脳細胞は再生することがなく、脳梗塞では後遺症が残る可能性が高くなっています。早めのリハビリ開始で予後は良くなりますが、脳梗塞の発症前よりは動ける範囲が少なくなる場合もあります。発症後は後遺症と付き合いながらの生活も考えておかなくてはいけません。

万一介護が必要になった場合などに備えて早めのリハビリと同時進行で、利用できる施設を探しておくと安心です。

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脳梗塞は早急な対処が不可欠

脳梗塞の症状はほとんどの場合で突然現れ、一過性の症状の場合は発症を見逃すケースもあります。

特徴的な症状が出現したときは、早めの病院受診が大切です。早期発見であれば、治療法の選択肢も広がります。脳梗塞について知り脳梗塞の予防に努め、万一発症した場合にもあせらず対処できるようにしておきましょう。

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イラスト:坂田優子

この記事の制作者

伊藤たえ

監修者:伊藤たえ(医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドック 院長)

脳神経外科、脳卒中専門医として、都内クリニックにて脳ドック、頭痛、認知症、頭部外傷、脳卒中などの診療に励む。仕事も育児もがんばるママさん女医。

公式サイト赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドック

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