有料老人ホーム・未来倶楽部川口新井宿の特長の一つが「看護師24時間常駐」です。実は、看護師が24時間ケアをしてくれる有料老人ホームは全国でもまだ少なく、珍しい取り組みといえます。


そんな未来倶楽部川口新井宿の看護職員は、日々の生活のなかで入居者の方にどのように接しているのでしょうか? オープン当初より看護職員として勤務する稲垣智子さんに聞きしました。


「いつか、おじいちゃん・おばあちゃんのために仕事がしたい」と思っていた


――川口新井宿で働くまでのキャリアについて教えてください。

看護師になって25年になります。最初の勤務先は総合病院の内科病棟で、結婚して子どもが産まれてからは小児科や皮膚科の外来などで看護師を続けてきました。デイサービスでも2年ほど看護師として働いていたことがあります。


――川口新井宿で働くことになったきっかけは?

昨年、他県から埼玉県川口市へ引越してきまして、20代の頃、「いつかおじいちゃん・おばあちゃんのために仕事がしたい」と考えていたことを思い出したとき、ちょうど家から近い場所に未来倶楽部川口新井宿ができ、ここで働いてみようと思いました。


 

メインの仕事は入居者さまの健康管理


――現在はどのようなお仕事を担当されているのでしょうか?

このホームでは、現在は日勤専門の看護職員が2人、夜勤専門が1人、パート1人、その他派遣の方数名で対応しています。

私は日勤専門です。メインの仕事は入居者さまの健康管理で、具体的には胃ろうの経管栄養の対応や気管内の痰等の吸引などを担当しています。また時間があるときには、見守りが必要な方の横でお話しをすることもあります。介護職員から「アザができているので見てください」など声がかかったときには、入居者さまを見に行き、必要があれば処置もします。

ほかにも、入居者さまに受診が必要なときには病院と連絡をとったり、「熱があるのでどうしますか?」など、症状を往診医に伝えて、指示を仰いで対応したりと、入居者さまと医師の間をつなぐ役割もあります。この施設は24時間看護職員常駐対応をしているので、看護師として関わることは多い方だと思います。


――冬期に流行するノロウィルスやインフルエンザなどにはどのように対応されていますか?

まずは職員がもちこまないことが大切なので、職員に積極的に声をかけています。マスクはもちろん、部屋から部屋に移るたびに手洗いをするといったことも行なっています。体調が悪い職員はもちろん、熱っぽい顔をしているときには体温を計り、熱があれば帰ってもらいます。

また、入居者さまにも感染を防ぐために、熱があるときや嘔吐下痢、お腹が痛いときには部屋の外に出ないようにお願いします。特に38度以上の熱がある場合には、インフルエンザによる熱なのか、元々の病気によるものなのかを見極めて、医師と相談して対処しています。


 

大切なことは「自分だったらどうしてほしいのか」


――入居者に接する際に心がけているのはどのようなことですか?

同じ目線に立つようにしています。入居者さまが何を求めているのか、自分だったらどうしてほしいのかなどを考えて対応しています。文句を言われることもありますが(笑)。オープンから約半年が経ち、お互いの距離もだいぶ近づいてきました。敬語で話されていた方も普段の言葉使いへと変わり、良い意味で家族的な距離に近づけていると思います。


――入居者の方と接するなかで、印象的だったエピソードがあれば教えてください。

私のことを「さんちゃん」と呼んで、とても信頼してくださった入居者さまがいらっしゃいました。オープン当初に入所された重い病気を抱えていた方で、今年2月に亡くなられました。ご家族の方によれば「友達にも同僚にも後輩にも嫌われているような父」とのことでしたが、その方から「さんちゃんは、友達なんだよ」と家族の方に紹介されたことがあります。私のことを「自分の人生の最期の友達」だと言ってくださいました。

実は私の名前には「さん」はありません。ご本人も私の名札を見ては「“さんちゃん”ではないのに、返事をしてくれてありがとうね」と(笑)。

――一般的に医療・介護の仕事は「きつい」といわれていますが、どういったときに「きつい」と感じるのでしょうか。

病気が重い方とは日常での関わりも多くなり身体的にきついと感じることの方が多いかもしれません。また、精神的につらいのは、入居者さまが求めていることに応えられない場合があることですね。それで落ち込んでしまうことがあります。

たとえば、点滴を必要な方から「点滴を外してほしい」と言われても外すことはできません。食べる能力が落ちてしまった方には、本人は食べたくても、看護職員の立場としては食べさせることはできません。食べたいのに食べられないのは、本当に見ていてつらいです。



人生の最期に「ここに入って良かった」と思ってもらえるように


――このお仕事のやりがいとは、どのようなことでしょうか?

頼ってくださる方も多く、熱があるときに氷枕をしてあげただけでも「あのときはありがとう」と言ってくださるのは励みになりますね。「あの言葉がうれしかった」「あのとき、手を握っていてくれたのが心強かった」という、入居者さまの言葉で頑張れます。朝、私を見て「今日も来てくれたんだ」「稲垣さんで良かった」と言われるたびに、「今日も頑張ろう!」と思います。


――最後に今後の目標をお聞かせください。

未来倶楽部川口新井宿の入居者である“おじいちゃん・おばあちゃん”が、人生の最期に「ここに入って良かった」と思ってくれたらうれしいです。ご家族の方もそう思ってくれるとうれしいですね。そう思ってもらえるようにしたい、そうなるように働いていきたいです。オープンから半年の間に亡くなられた方のご家族様が「ここに預けて良かった」と言ってくださっていることを、ありがたいと感じています。


(川野ヒロミ+ノオト)