予防ができる。腰部脊柱管狭窄症|脊柱管が狭くなり神経が圧迫される

背骨には神経の通り道となるトンネル「脊柱管(せきちゅうかん)」があります。長年の負担が積み重なった影響で脊柱管が狭くなると、中を通る神経が圧迫されてさまざまな症状が現れます。

とくに腰の部分で起きたものを「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」といい、腰から足にかけての痛みやしびれによって長時間歩くことが難しくなります。

また尿が出しにくくなる、尿を出し切れない感じが残るなどの症状によって生活に影響を与えることも。ここでは腰部脊柱管狭窄症の原因、治療法、予防法について解説していきます。
 

腰部脊柱管狭窄症、その原因の多くは加齢にある

脊柱管が狭くなる原因ははっきりとは分かっていませんが、長年に渡って腰に負担がかかる姿勢や動作を繰り返すことで、背骨や、背骨と背骨の間にある椎間板、骨と骨をつなぎ合わせる靭帯(じんたい)が変形して、脊柱管が狭くなってしまうため発症すると考えられています。

背骨がずれる腰椎変性すべり症や椎間板がずれる腰椎椎間板ヘルニアを伴って、腰部脊柱管狭窄症になることもあります。

この脊柱管狭窄症は、介護保険の「16の特定疾病」に定められており、65歳未満の方であっても介護保険の対象となり必要に応じて公的介護サービスを利用することができます。

特定疾病とは|65歳未満も介護保険対象となる16の病気

間欠性跛行(かんけつせいはこう)が特徴的な症状

腰部脊柱管狭窄症の症状は、長時間の立ちっぱなしや歩きっぱなし、腰を反らせたり曲げたりしたときにみられます。またその症状は圧迫されている神経の違いによって、「神経根(しんけいこん)症状」と「馬尾(ばび)症状」の2種類に分かれます。

どちらか一方だけでなく、両方の症状がみられることもあります。

神経根(しんけいこん)症状
足の痛みやしびれ、筋力の低下がみられます。片足のみのこともありますが、両足に症状が現れることもあります。
 
馬尾(ばび)症状
陰部のしびれ、ほてりなどの異常な感覚が出現します。加えて、尿が出しにくくなる、尿を出し切れない感じが残る、便が出しにくいなどの膀胱直腸障害や、異常勃起などの性機能不全がみられます。

また、腰部脊柱管狭窄症では、歩行時に間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる特徴的な症状がみられます。
 
間欠性跛行(かんけつせいはこう)
歩き始めは問題ないのですが、しばらく歩いていると痛みやしびれが現れて、歩くのが難しくなります。しばらく立ち止まったり、座ったりすることで症状が和らぎ、再び歩けるようになります。

検査はレントゲンやMRI

腰部脊柱管狭窄症が疑われる場合、病歴や症状と合わせて、レントゲンやMRIで診断します。手術をする場合は、脊髄造影などさらに詳しい検査を行うこともあります。

治療は保存療法と手術療法

まずは手術以外の保存療法で治療することが一般的です。しかし、足が麻痺して動かない、尿が出せないなど、重い症状がある場合はすぐに手術を行う場合も。

はじめに保存療法を行った人のうち、最終的に手術が必要となるのは20〜40%。保存療法のみで治療を行った人のうち、痛みが軽減する人は50〜70%といわれています。
 

保存療法

薬物療法

痛みを取り除くため、消炎鎮痛剤や神経性疼痛緩和薬、筋弛緩薬、オピオイド鎮痛薬などを使用しますが、いずれも痛みを抑える対症療法です。プロスタグランジンE1製剤は神経の血流を改善することで、足のしびれや間欠性跛行に効果があります。

神経ブロック

局所麻酔剤やステロイド剤を、圧迫されている神経の周囲に注入して痛みを緩和する治療です。痛みを抑える対症療法ですが、何回か繰り返すうちに痛みやしびれが改善することがあります。

物理療法

温熱療法や電気療法などがあり、筋肉の緊張を緩和し血流をよくすることで、痛みを和らげます。

装具療法(コルセット)

コルセットを装着することで、痛みが和らぐ人もいます。

運動療法

腰部脊柱管狭窄症はいろいろなタイプがあり、腰を曲げると痛みやしびれが良くなる人と、腰を反らすと症状が改善する人がいます。腰を曲げると良くなるタイプの人はおじぎをして腰を曲げる体操を行い、腰を反らすと良くなるタイプの人は腰に手をあてて腰を反らせる体操を行います。

手術療法

除圧術

神経を圧迫している骨や靭帯を取り除く手術です。痛みやしびれが残ったり、別の場所に痛みが出てきたりすることもあり、除圧術を行ったからといってスッキリする訳ではないのが、腰部脊柱管狭窄症の手術の難しいところです。

固定術

腰椎変性すべり症を伴った腰部脊柱管狭窄症では、背骨が不安定なので、除圧術と一緒に金属の棒やボルトで背骨を固定する手術が行われることもあります。固定をすると、固定した上下の背骨に負担が集中するので、数年後に別の部分が狭窄症になることがあります。

手術後は傷口が落ち着いたらリハビリを開始し、1〜2週間ほどで退院することができます。
 

一番の予防法は腰に負担をかけないこと

腰部脊柱管の予防には、腰に負担をかける姿勢や動作を避け、背骨を適度に動かすことが大切です。

腰に負担をかける姿勢や動作を避ける

過度な腰への負担は腰部脊柱管狭窄症を招くので避けましょう。

長時間のデスクワークで猫背の姿勢を続けると、椎間板に負担がかかりずれてしまいます。1時間に1回は立ち上がって歩くようにしましょう。

一方で、長時間の立ち仕事で腰を反らした姿勢を続けると、椎間板に負担がかかり猫背のときとは反対方向にずれてしまいます。また荷物を持ち上げるときは腰を曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落としてから持ち上げるようにしましょう。

背骨を適度に動かす

背骨を適度に動かすことで、椎間板のずれや背骨の変形を防ぐことができます。腰のストレッチが効果的で、仰向けの状態で膝を抱えて腰を曲げたり、うつ伏せで腰を反らしたりして、背骨を柔らかい状態に保ちましょう。

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イラスト:坂田優子

この記事の制作者

矢込 香織

著者:矢込 香織(看護師/ライター)

大学卒業後、看護師として大学病院やクリニックに勤務。その後、メディカル系情報配信会社にて執筆・編集に携わる。現在は産婦人科クリニックで看護師として勤務をするかたわら、一般生活者のヘルスリテラシー向上のための情報発信を行っている。

銅冶 英雄

監修者:銅冶 英雄(お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニック院長)

千葉大学大学院卒業。医師、医学博士。2005年、国際腰椎学会学会賞を受賞。著書に「どこでも腰痛体操」(ダイヤモンド社)、「4万人の腰部脊柱管狭窄症を治した!腰の痛みナビ体操」(アチーブメント出版)などがある。

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