【はじめての方へ】クモ膜下出血|突然激しい頭痛に襲われる脳の病気

くも膜下出血の症状

突然激しい頭痛に襲われ、発症すると約50%の人が死亡するといわれるクモ膜下出血。

治療が遅れると再出血や後遺症が残るリスクもあります。

まずはクモ膜下出血のメカニズムを知り、できるだけ発症しないよう予防法を実践していきましょう。

原因は脳動脈瘤の破裂によるものが多い

クモ膜下出血とは脳のクモ膜下腔という場所が出血した病態の総称です。

クモ膜下出血が起きる原因には、脳動脈瘤破裂、脳動静脈奇形からの出血や頭部外傷があげられます。

特に多いのが脳動脈瘤破裂で全体の80%を占めています。脳動脈瘤とは、脳内の血管が分岐する部分にかたまりができ膨らんだもの。

脳動脈瘤の壁は引き伸ばされて薄くなり、血流や血圧の上昇によって破裂・出血します。これを脳動脈瘤破裂といいます。

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特徴的な症状は痛みや嘔吐、意識の消失など

クモ膜下出血発症時は、それまでに経験したことのないような激しい頭痛が現れます。

よく例えられるのが「突然バットで殴られたような痛み」という表現の仕方です。ほかにも嘔吐、意識消失、硬直などが見られます。

代表的な外科的治療は大きく二種類

脳動脈の出血を止め、脳動脈瘤が再破裂しないための手術が行われます。

この手術の時期は、初回発作後できるだけ早く行うことが望ましいといわれ、その治療法として代表的なものが二つあります。

脳動脈瘤破裂を止めるための外科的治療

手術には大きく分けて二つ。開頭して動脈瘤をクリップする治療と、足の付け根から動脈にカテーテルを挿入し、動脈瘤内に金属の細い針金(コイル)を詰める方法です。

どちらを選択するかは、脳動脈瘤の部位、形、大きさなどによりますが、まずは体への負担が比較的少ないカテーテル挿入を選択することが多くなっています。

クモ膜下出血の徴候と予防法

クモ膜下出血で見られる徴候と予防法を紹介していきます。

【徴候】

徴候としては、血圧の乱高下、目の異常(ものがかすんで見える、二重に見える、痛いなど)、めまい、吐き気、頭がモヤモヤする、ぼーっとするなどの違和感が現れます。

【予防法】

食事など生活習慣を整えることで血圧をコントロールすること、そしてタバコを吸っている人はすぐに禁煙外来などの専門機関に相談しましょう。また、上で紹介した徴候が見られたときはすぐに専門医の診察をうけるようにしましょう。

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くも膜下出血にならないための具体的な予防法

MRI検査
MRI検査で未破裂動脈瘤を発見し、クモ膜下出血になる前に治療することができます。
脳ドックの普及により症状がない方でも未破裂動脈瘤を発見する機会が増えています。
大きさ、形により破裂しやすい動脈瘤と判断された場合、上記の治療を行いクモ膜下出血を予防することができます。
高血圧の治療
当然ながら、日頃の食生活では減塩を意識し、適度な運動や禁煙をこころがけるといった生活習慣病の改善は予防において重要です。
放置せずに医師の指導のもとしっかりした治療を行いましょう。
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イラスト:坂田優子

この記事の制作者

橋本 優子

著者:橋本 優子(看護師編集者)

大学卒業後、出版社にてビジネス誌の編集に携わる、その後、出産をきっかけに看護師資格を取得。病院勤務後、「看護」「医療」の知識を活かした情報発信をするため、現在は健康に関する記事の企画、取材、執筆、編集までを行う。

伊東 大介

監修者:伊東 大介(慶應義塾大学医学部神経内科・准教授)

1967年生まれ。1992年、慶應義塾大学医学部卒業。
2006年より、慶應義塾大学医学部(内科学)専任講師。総合内科専門医、日本神経学会専門医、日本認知症学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本医師会認定産業医。
2012年、日本認知症学会学会賞受賞。

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