見知らぬ土地の老人ホームで新しい生活を始める。それは想像以上に大変な経験かもしれません。

有料老人ホーム『グッドタイム リビング 千葉みなと/海岸通』に入居する海老谷康子さんは、環境の変化に心が追いつかず、入居後2年ほどうつ気味の状態が続きました。
ご自身を救ったのは、近隣の海岸から見る美しい夕陽と趣味の写真撮影。ホームで見つけた新しい生活の楽しみを教えていただきました。


 

はじめて見る夕日の美しさに希望を見つけた

 
入居後うつ状態が続いてましたが、今ではすっかり元気な入居者の海老谷さん

【入居後うつ状態が続いてましたが、今ではすっかり元気な入居者の海老谷さん】


――今、体調はいかがですか?

海老谷さん:元気です。周りからも「ものすごく元気になったね」って言われます。


――入居当時はどんな様子だったのですか?

海老谷さん:とにかく毎日ふさぎ込んでいました。知り合いは誰ひとりいないし、人と話す機会もなかったものですから。息子がここを選んでくれたんですけど、50年間ずっと住み続けた場所を離れて急にここへ来たので気持ちが弱ってしまって。スタッフに言われるがままの生活を送る日々でした。

――そんな海老谷さんに変化が生まれたのはいつ頃でしょうか。

海老谷さん:入居して2年半ほど経った頃でしょうか。それまでほとんど外出したことがなくて、ホームの周辺に何があるのかも知りませんでした。それがある日、近くの海岸まで散歩に出てみたんです。砂浜から見た夕陽が本当にきれいで、心を揺さぶられました。私は山育ちで海をぜんぜん知らなくて、ああいう美しい夕陽を見たことがなかったんですよ。

 取材時にホームから見た夕暮れの海。左に見えるのは千葉ポートタワー

【取材時にホームから見た夕暮れの海】

――周りに目を向けてみたら、そこに新しい発見があったのですね。

海老谷さん:はい。それから毎日海岸へ通うようになりました。もう、日が沈み切るまでは絶対にその場を離れられないんです。そうやって毎日、夕陽が見せる表情の移り変わりをずっと感じ続けていたら、自然と前を向こうという気持ちになりました。


――夕日が海老谷さんの心を癒したのかもしれませんね。

海老谷さん:そうです。もう後ろを向かずに前進しようと思いました。

 

美しい風景を撮る喜びが生きる活力に

  大好きな写真のことになると話が止まらない、と笑う海老谷さん

【大好きな写真のことになると話が止まらない、と笑う海老谷さん】


――ちょうどその時期に、趣味のカメラも再開されたんですよね。

海老谷さん:きれいな夕日を写真に残したくなって。実は、老人ホームに来たら写真はもうできないと思っていましたので、一眼レフは処分してしまったんです。だから最初は小さなデジカメで撮りました。今は息子に買ってもらったカメラを使っています。


――カメラを始めたきっかけはなんですか?

海老谷さん:60歳のときに主人が亡くなって、ひとりぼーっと過ごしていた時期に息子から勧められました。一眼レフを渡されて、「お母さん、このボタンを押せば撮れるから、今日1日ぶらっと出かけてきなよ」って。カメラを触ってみて、あら私でも撮れるじゃないって思って。

 

【海老名さん撮影。散策中にふと出会う小さな感動が、シャッターチャンスなのだとか】


――どんな写真を撮るのが好きですか?

海老谷さん:きれいだなとか、ああすごいなと感じたものをすぱっと撮ります。楽しいですよ。夕陽は秋に出会って、次の春に桜に出会ったの。私の部屋の壁に桜の写真がたくさん貼ってあります。この場所で出会った夕日と桜のおかげで元気になれました。


――千葉港から見えるダイヤモンド富士も撮影されたんですよね。

海老谷さん:そうなんです!すごく運がよかったの。その日偶然、カメラを持って千葉のポートタワーに行ったんですよ。そこに三脚を立ててカメラを構えた人が沢山いて、「今日はダイヤモンド富士が見られる日だよ」って。ここに引っ越してこなかったら、こんなきれいな風景に出会わなかったですよねぇ。

 富士山頂に太陽が重なる風景をダイヤモンド富士と呼ぶそうです

【富士山頂に太陽が重なる風景をダイヤモンド富士と呼ぶそうです】

「夢」を叶えた先に見つけた息子からの愛

そんな海老谷さんは、2016年の3月にホームで「夕日と自然の写真展」を開催したそう。そのときのエピソードがとても感動的でした。ぜひみなさんにもお伝えしたいなと思います。

毎日夕日を見に出かけていく海老谷さんを、スタッフはいつも見守っていました。上手に撮れたときは嬉しそうに写真を見せてくれたそうです。写真はどれも日常のなかにある何気ない風景を切り取っていましたが、その繊細な美しさにすごく驚いたといいます。

そして「この写真をもっと多くの人に見てもらいたい」との思いで写真展を企画したところ、「すぐにやろう」と実現する運びになったのだとか。

 写真展では夕日をはじめ、近隣を散策して出会った美しい風景を展示しました

【写真展では夕日をはじめ、近隣を散策して出会った美しい風景を展示しました】


海老谷さん:夢みたいでした。まさか入居した老人ホームで写真展を開けるなんて…!2週間ほど、たくさんの写真を飾っていただいて。自分でもびっくりしています。ただ息子は「あっそう」って感じで、あんまり褒めてくれませんでしたけどね。

取材時にそう語った海老谷さんの話を聞いて、そばにいたスタッフの方はこんなふうに答えました。

スタッフ:息子さんね、写真展やりますよって伝えたとき、「行きます!」って言って、すごく嬉しそうでしたよ。

海老谷さん:えっ……。そうなんですか?

スタッフ:はい。たぶんお母さんには面と向かっては言えないんですよ。私も男だからその気持ちよく分かります。口には出さないけど、息子さんは海老谷さんのことすごく大好きなんだと思います。

自分の選んだ老人ホームの環境にうまく馴染めず、元気を失くしていく母親の様子を、息子さんは誰よりも心配していたのではないでしょうか。それが今では住環境を楽しみ、充実した毎日を送れるまでになったのです。きっと陰ながら喜んでいることでしょう。


入居者インタビューを終えて

写真の話になったとたんに、生き生きとした表情を見せてくれた海老谷さん。息子さんの愛情はもちろんですが、『グッドタイム リビング 千葉みなと/海岸通』の美しいロケーションや、スタッフの温かな配慮があったからこそ、新たに生きる希望を見つけ夢を叶えられたのだと思います。

海に沈む夕日は本当に格別でした。ホームの見学がてら、ぜひその美しい眺めを味わってみてほしいです。