【2021年最新】オンライン服薬指導のメリットと利用時の注意点

オンライン服薬指導とは、薬局に足を運ぶことなく、処方薬の服薬指導をうけて自宅などに薬が配送される仕組みです。利用の際はスマホやタブレット端末、パソコンなどビデオ通話機能のあるものを使います。

ここでは、利用するために必要なことや費用、流れ、注意点について薬剤師が解説。ご家族皆さまが、住み慣れた地域で安心して薬をつかうための知識としてお役立てください。

薬の情報提供をオンラインで受けることができる

医療のオンライン化が進み、オンライン診療とオンライン服薬指導を利用することで、医師の受診から薬の受け取りまですべてオンラインで完結することができます。

ここでお伝えするオンライン服薬指導は、対面で薬を受けとるときと同じように、情報提供や服薬指導をオンライン上で受けることができます。ただし、利用するには申し込みのほか、一定の条件があるので注意しましょう。

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オンラインでコスト節約!活用するメリット

最大のメリットは「コストの節約ができる」ということです。ここでいうコストとは時間とお金をさします。

まず病院や薬局への移動時間がなくなります。オンラインは予約制のため、待ち時間もほとんどありません。また公共交通機関の利用も不要となるため交通費も節約できます。

加えて、外出も不要となり感染症の予防にもつながります。また、猛暑や寒波といった気候に影響されることもありません。

さらに、オンラインは残薬の確認にも便利です。自宅などに残っている薬の量を画面越しに見せながら相談できるため、メモや薬そのものを持参する必要はありません。残薬を調整することで処方量もすくなくでき、結果的に医療費の節約へとつながるでしょう。

利用には一定の条件が必要

オンラインと聞くと「難しそうだな」と感じるひともいるでしょう。しかし、複雑な操作はほとんどありません。利用には会員登録が必要で、サービスによっては専用アプリをダウンロードするものもあります。

初めていく薬局や、初めて会う薬剤師との間では利用できません。なぜなら、薬を安全につかうための情報が十分ではないからです。病気のことや治療の経緯など、きちんと共有できていることが前提です。

オンラインが利用できるようであれば、事前にその薬局でタイミングや緊急時の対応などをきめた計画書(※1)をつくってもらいます。

ほかにも利用するための条件について次の表を参考にしてください。

利用するための条件
項目 条件
頻度 ・対面と組み合わせで、患者さんごとに設定
薬局 ・3ヵ月以内に対面で服薬指導を受けていること
・服薬指導に情報通信機器をつかうことを届け出ていること
薬剤師 ・顔なじみで信頼があり、日頃から服薬指導を受ける薬剤師
・基本的には一人の薬剤師、最高3人まで可能
・その薬局でもらったことのある薬(同一成分など後発医薬品を含む)
受け取り ・オンライン服薬指導の後に、薬局から発送
準備

・スマホなど、互いの状態がわかる通信機器を用意する
・安定した通信状態をととのえる
・プライバシーが確保できる環境を用意する
・薬局に申し込み、「服薬指導計画」※をつくってもらう

その他 ・オンライン診療を受けた処方せんがないと利用できない
・患者本人または介護する人が、そのときの状態を伝えられること

(※1)「服薬指導計画」とは、薬の内容や、緊急時の対応、オンライン服薬指導をおこなう頻度や時間、つかう通信機器、場所などをきめる計画書のこと。処方した医師や歯科医師に情報提供するときにもつかわれる。(ただし離島やへき地などをのぞく)

利用までの流れ

まずは、ビデオ通話ができるスマホやタブレット、カメラの付いたパソコンの何れかが必要です。それぞれオンラインの通信環境をととのえましょう。

利用の際は、次の4つのステップを参考にしてください。

ステップ1 かかりつけの薬局へ相談・計画書の作成

  • かかりつけの薬局でオンライン服薬指導を申し込み、計画書をつくってもらいましょう。基本的にいつも同じ薬剤師が対応しますが、不在時にそなえて3名まで指定することができます。ただし3名とも、対面で服薬指導をうけたことがある、ということが条件です。

ステップ2 受診する病院で相談する

  • オンライン服薬指導の前に、まずはオンライン診療(診察)をうけて処方せんを発行してもらう必要があります。受診する病院がオンラインに対応しているか確認しましょう。また、その病院から指定した薬局へ処方せんを送ってもらうので、薬局名を病院へ伝えておきましょう。

ステップ3 診察と服薬指導をうける

  • 自宅などプライバシーが確保できる環境で、病院のオンライン診療をうけます。診療を終えたらアプリや電話などで薬局に連絡し、服薬指導の予約をします。予約した日時にオンラインで服薬指導をうけます。

ステップ4 薬をうけとる

  • 計画書で決められた配送方法で薬が送られてきます。支払いはアプリ経由でクレジットカード決済が一般的。これで診察から薬を受けとるまでの一連の流れを自宅にいながら完結できます。

ただし、前提として患者さんの体調が安定していないと、オンライン服薬指導を利用することができません。

また、本人の認知機能に不安があるような場合は、家族が同席すれば可能になる場合もあります。

オンライン服薬指導の費用

メリットの多いオンライン服薬指導ですが、費用はどのように変わるのかまとめました。内訳は次の4つです。

1.薬局の会計

オンラインであっても、薬そのものの価格は同じです。ただし、一回あたりの会計は、一部の薬や年齢によって若干安くなることもあります。

例えば、喘息などの治療に用いる吸入薬。これは画面越しに使い方を指導することが難しいものです。かといって手元にある薬を、練習用につかうことはできません。患者さんが細部まで理解できているかどうか、確認の手間がかからないために、その分の費用が差し引かれるのです。

一方、一般的な高血圧の薬やアレルギーの薬、ぬり薬などは、ほとんどの場合で窓口負担と変わりません。

2.薬の送料

宅配便などの届いたことを確認できる配送方法をつかい、その送料は患者さんが負担します。これはあらかじめ計画書に記載され、薬局と確認しあって決めるものです。

3.通信費

ビデオ通話をつかうので、スマホやタブレットの料金プランがデータ容量の少ない低額プランの場合は追加で通信費がかかる場合があります。あらかじめ契約内容をよく確認しておくとよいでしょう。

4.アプリ利用料

一部のアプリを除き、ほとんどの服薬指導アプリで利用料はかかりません。また、遠隔で医師の診断が受けられる「オンライン診療」と、薬の受け取りに必要な「オンライン服薬指導」とは、別々のアプリを利用することもあります。

オンライン服薬指導のアプリで利用料がかからなくても、オンライン診療では必要となる場合もあるので、注意しましょう。

服薬指導のオンライン化で薬局の役割はどう変わる?

2020年4月、新型コロナウイルス感染症の拡大予防のため、急遽オンラインでの診察や服薬指導が一気に広まりました。

それまでのオンラインはというと、2014年から始まった市販薬のネット販売のみ。処方薬は対面でないとうけとれませんでした。

しかし、これからは住み慣れた地域で、薬を含めた医療がうけられると期待されています。

さらに、これまでの薬局は”薬を正しく渡す”ということが優先事項でしたが、これからは薬をつかう患者さんをサポートする業務が主となるよう求められています。

このように急速に進むオンライン化ですが、注意したいのはオンラインは対面よりも情報をつかみにくいということです。

また画面越しだと、その操作方法に気をとられることもあるでしょう。少しでも体調に不安があるときは適宜対面に切り替えることも大切です。

生活スタイルや病状にあわせて、上手にオンライン服薬指導を活用していきましょう。

薬剤師の服薬指導で薬の悩みを解消しよう

イラスト:安里 南美

この記事の制作者

曽川 雅子

著者:曽川 雅子(株式会社リテラブースト代表、薬剤師)

東北薬科大学(現・東北医科薬科大学)を卒業後、薬剤師として調剤薬局に勤務。2017年にセルフメディケーションサービスを展開する「株式会社リテラブースト」を設立。処方せん薬に偏ることなく、予防医療やヘルスリテラシーの在り方、そのサポーターと連携の意識を分かち合うため、薬局だけでなく、健康経営を掲げる民間企業へのセミナーも積極的に行っている。

公式株式会社リテラブースト

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