高級老人ホームとは?費用や一般的な老人ホームとの違い、独自調査の結果も紹介

高級老人ホームは高齢者がより充実した老後を送るための施設です。さまざまな背景から施設数が増加していますが、具体的にどんな施設なのか曖昧な方も多いのではないでしょうか。これまで300以上の施設を訪問した老人ホームのプロが、費用相場や一般的な老人ホームとの違い、入居要件なども含めて解説します。

高級老人ホームとは?

高級老人ホームとは、高齢者が快適な生活を送るために、立地や施設設備、食事、医療や介護体制、サポート面などがより充実した施設です。さまざまな面で高い品質を誇る分、入居一時金や月額費用も高価格帯になっています。

豪華な設備やサービスを提供しており、プライベートな生活空間や共用施設、医療・介護サービス体制なども整っています。居住者が住みやすい環境で生活できるように、さまざまなアクティビティやプログラムが組まれることもあります。

高級老人ホーム増加の背景

高級老人ホーム増加の背景には、高齢化による介護需要の拡大や、それに伴う介護事業競争の激化が挙げられます。また、経済的に余裕のある高齢者が増えており、高品質なサービスを提供する高級老人ホームの需要が高まっています。

実際に総務省の調査からも、高齢層の貯蓄が増加傾向であることが読み取れます。

出典:総務省「Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」(PDF)

高級老人ホーㇺの費用相場

明確な費用相場はありませんが、一般的には「入居一時金が1,000万円以上の施設」の施設が高級老人ホームと呼ばれています。月額費用も施設によって幅があるものの、数十万円〜数百万円程度のケースが多いです。

もちろん、地域や施設によって大きく異なるため、具体的な費用は直接問い合わせたり、資料を確認したりする必要があります。

高級老人ホームの費用のワケは?一般的な老人ホームとの違い

高級老人ホームの費用面が高額なことには理由があります。一般的な老人ホームとの違いを把握することで、より高級老人ホームの魅力を感じられるでしょう。

有料老人ホームの種類とサービス

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住環境や景観が魅力的な立地

高級老人ホームは交通の利便性が良い都市部やリゾート地、古くからの高級住宅街に集まっています。また、京都や鎌倉など歴史を感じられる土地にも多く所在しており、住環境や景観が大きな魅力です。

都市部の施設では夜景を楽しめたり、海沿いの施設ではオーシャンビューを売りにしていたりと特徴もさまざま。中には、富士山を眺められる高級老人ホームもあります。

広く充実した居室空間

高級老人ホームでは居室面積が広く、居住環境が整っています。一般的な老人ホームの居室が18平米程度なのに対して、高級施設は40平米前後が多く、中には100平米を超える施設もあります。

リビングと寝室を分けたり、必要に応じてベッドの位置を変えたりとレイアウト変更も容易です。居室が広いため、愛着のあるインテリアや使い慣れたものなどを持ち込めたという入居者もいます。施設によっては夫婦での入居も可能です。

高級老人ホームの主な居室内設備

・キッチン
・専用のバスルーム
・ウォークインクローゼット
・車いす対応の昇降式洗面台
・トイレ
・専用バルコニーやテラス
・自然光入る大きな窓
・トランクスペース など

優雅な空間を演出する施設

高級老人ホームは施設の内装や外観など、贅沢さを感じられる空間が広がっています。高級ホテルのような高い天井や幅広の廊下で優雅さを演出。インテリアには有名ブランドのテーブルや椅子を設置しているほか、調度品は百貨店で調達するなど徹底的にこだわっています。

著名画家による本物の絵画を展示するなど、美術館さながらのクオリティを誇る高級施設もあります。

豪華で多彩な共用設備

高級老人ホームは入居者がより充実した生活を送れるよう、豪華で多彩な共用設備が備えられています。具体的には、疲れを癒せる温泉や健康維持が図れるプール、入居者同士が交流を図れるカラオケルームなどです。美しい庭園があり、散策を楽しめる施設もあります。

高級老人ホームの主な設備例

・レストラン
・リハビリ専用ルーム(一般的に食堂兼が多い)
・フィットネスルーム
・理美容室
・マッサージルーム
・足湯
・シアタールーム
・シミュレーションゴルフ
・カフェラウンジ、バーカウンター
・滝が流れる日本庭園
・家族や友人が宿泊できるゲストルーム など

シェフの腕が光る食事

高級老人ホームでは、料亭やホテルなどで腕を磨いた一流シェフによる食事を堪能できます。旬の食材を調達し、その季節ならではのメニューを提供。料理長が毎朝市場で鮮魚を調達する施設もあります。

併設レストランでは、その日の気分に合わせてアラカルトでの注文も可能。ご家族や友人が来ても予約なしで食事を楽しめます。嚥下機能が低下した方にも食べやすく美味しいメニューを考案したり、箸や器にもこだわったりと高級施設ならではのクオリティです。

手厚く安心な医療・介護体制

高級老人ホームは医療体制や介護体制も整備されており、入居者は安心して暮らせます。通常「3:1」程度の入居者とスタッフの割合を、「2:1」や「1.5:1」で人員を配置。ゆとりをもってサービスを提供しています。看護師が24時間常駐している施設も多く、入居者はもちろん、ご家族も安心です。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの有資格者を配置し、機能訓練にも注力。名のある総合病院や地域で有名なリハビリ病院など、複数の病院と協力関係を締結している施設も多いです。協力医療機関への通院時は基本的に無料で送迎しています。

ホテルのようなコンシェルジュサービス

高級老人ホームでは、入居者が豊かな生活を送れるようにコンシェルジュが生活のあらゆるお困りごとに対応。イベント情報の提供や各種予約、交通手段や旅行に係る手配をはじめ、さまざまな内容をコンシェルジュが代行します。

電球の交換やおつかいなど、ちょっとした要望やご家族や介護スタッフに言いづらい内容の悩み相談も可能です。介護や医療面だけでなく生活面でのサポートも受けられるほか、送迎バスや巡回バスで移動をサポートしてくれる施設も多いです。

豊富なレクリエーションやイベント、サークル活動

高級老人ホームでは入居者に合わせたアクティビティがあり、充実した生活を送れます。その道のプロフェッショナルが講師を担う事も多く、入居をきっかけに趣味を見つける方も少なくありません。

内容は施設ごとにさまざまで、ピアノやお琴、英会話など個別レッスンがある高級老人ホームもあります。もちろん参加は任意ですが、活動を通してより活動的に過ごされる方も多いです。

高級老人ホームで行われる主なアクティビティ
絵画・彫刻・陶芸・書道・楽器・合唱・敷地内農園・ガーデニング・ゴルフ・料理教室・フィットネス・ヨガ・ピラティス・囲碁将棋チェス など

自宅のような生活自由度の高さ

高級老人ホームは生活の自由度が高く、自宅同様の暮らしを送れます。特に自立型の高級老人ホームでは、外出や外泊も自由で窮屈な思いをする事がほとんどありません。食事の時間やアクティビティなどを通じて他の入居者と交流する機会も多く、孤独を感じることも少ないです。

自立した方向けの高級施設では、ペットと同居できる施設もあります。ペットシッターサービスがあるなどバックアップも充実。ご自身の生活スタイルはそのままに施設入居が可能です。

高級老人ホームは誰でも入れる?気になる入居条件

高級老人ホームは一般的な老人ホーム同様、所定の入居条件を満たせば入居できます。詳細な入居要件は施設ごとに異なるため、問い合わせたり、ホームページなどを確認したりするのがおすすめです。

高級老人ホームの入居条件目安

お体の状態

施設ごとに定められた要介護度(要支援・要介護のレベル)

入居時自立が求められる施設も

ご年齢 65歳以上を対象としていることが多い
必要な医療行為 施設で提供できる医療行為とそうでないものがある
保証人・身元引受人 支払いや緊急時の対応やケアの方針の承諾などを任せられる人

関連記事老人ホーム、介護施設の入居条件は?おさえたい5つのポイント

高級老人ホームが多いエリアランキング

1位 東京都世田谷区 8位 東京都渋谷区
2位 東京都杉並区 8位 東京都品川区
3位 東京都港区 8位 東京都練馬区
3位 東京都目黒区 12位 兵庫県神戸市垂水区
5位 東京都新宿区 12位 兵庫県神戸市中央区
5位 東京都大田区 12位 兵庫県神戸市東灘区
5位 東京都文京区 12位 兵庫県西宮市
8位 神奈川県横浜市青葉区
出典:LIFULL 介護「【2023年版】高級な老人ホームの多い市区町村ランキング」

老人ホームの費用は施設の充実度に加えて、家賃相場によっても大きく異なるため、高級老人ホームは高級住宅街に集中する傾向にあります。それを裏付けるように、実際の調査からも、都心や近郊に高級老人ホームが集中していることが読み取れます。

また、新幹線が延伸したり、再開発が進んだりする予定のある地方都市にも、今後高級老人ホームが増加していくと見込まれています。

まとめ

高齢者がより充実した老後を送るために、高品質な住環境や生活サービスを提供する高級老人ホーム。入居者同士の交流機会も多く、豊かな社会生活を送れます。老後に施設入居をご検討中の方は、高級老人ホームも選択肢に入れてはいかがでしょうか。

「LIFULL 介護」では、さまざまな高級老人ホームを紹介しています。記事内で紹介した要素を兼ね備えた一流の高級施設のみを厳選して掲載。快適な老後を送れる高級老人ホームをぜひチェックしてください。

この記事の制作者

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、介護コンテンツの制作、寄稿、登壇。YouTubeやTwitterでも介護の情報発信を行う。

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