こんにちは、らくからちゃです。
2023年1月に公開した記事で、祖母が老人ホームに入居するまでの話を書きました。
コロナ禍に89歳の祖母の老人ホーム入居を経験して気付いた、互いの人生を豊かにするために大切なこと
早いもので、祖母が老人ホームに入居してから2年が経過しました。その間、コロナウイルスとの戦いは一進一退を続けながらも徐々に落ち着いてきたり、個人的にも2人目の子どもが生まれたり、妻がガンで入院したりと、いろいろなことが起こりました。
最近、『葬送のフリーレン』という「勇者が魔王を倒したその後の話」が人気になっていますが、今回私からも「老人ホーム入居のその後の話」を書かせていただければなあと思う次第です。
祖母とも十分相談しながら決めた入居ではありましたが、入居後にあらためて気付いたこと、対応を考えなければいけなかったことなどもいくつかありました。
家庭や入居先の事情によって異なる点もあると思いますが、どこかで誰かのご参考になれば幸いです。
前回記事に書いた通り、祖母が入居したのは、雰囲気が明るく医療法人との提携などもあり、見学した中で最も安心感のあった介護付き有料老人ホーム。
「介護付き有料老人ホーム」のサービス内容について、詳しくは下記記事もご覧ください。
【はじめての方へ】介護付き有料老人ホームとは下記記事では、介護付き有料老人ホームをはじめ、9種類の主な老人ホーム・介護施設の違いについても解説しています。
老人ホーム種類一覧|主な9施設の費用や違い、おすすめ診断ホームでは一つ屋根の下で見知らぬ人との共同生活になるわけですが、幸い祖母はコミュ力に関しては人一倍に高かったからか、すぐに打ち解けることができたようです。
ただ食事に関しては「ご飯がまずい!」と大変ご立腹でした。入居前は、同居している妹や、定期的に来てもらっていたヘルパーさんに、自分の好みに合ったものを作ってもらっていました。老人ホームでは健康のことも考えたお料理が出ているみたいですが、どうやらグルメな祖母の舌には合わない様子。
毎日のことですし、老人ホームを選ぶときには、食事の好みが合うのかもチェックのポイントですね。また、それぞれの好みにピッタリ合わせることはなかなか難しいので、割り切りも必要だということは覚悟してもらうべきでしょう。
本当は、定期的に外食に連れて行ってご機嫌を取れれば良かったのですが、何せ世の中はコロナ禍真っ最中。外食なんてもってのほかです。
コロナ禍での面会については、細かな時系列は覚えていないのですが、
と徐々に緩和されていったものの、当初は刑務所の面会か? と思うくらいの厳しさでした。
ガラス越しではろくに会話もできませんので、専用の電話のようなものが置かれましたが、これがなかなか、祖母が使うのは難しい。
もう歳なので、もともと聴力が衰えていることに加えて「目の前にいる相手と通話する」という状況が飲み込めない。「お元気ですか?」の一言を伝えるだけでも大変難儀いたしました。
歳を取ると、これまでの自分の生活習慣になかったものを取り入れることは大変です。
以前の記事で紹介したAmazonの「Echo Show」に関しても、結局祖母がビデオ通話を使いこなすことはかなわず、「ひ孫の写真立て」となってしまいました。もし活用したいのであれば、ホームに入る前に十分に練習してからの方が良かったんでしょうね。
訪問の頻度としては、自分の場合は1カ月から3カ月に1回ほど行っていましたが、そこは人によってまちまちみたいです。頻繁に行ったところで、話すことがあるわけではないのですが、ひ孫の元気な顔を見せに行くのが目的といったところでしょうか。
話すだけなら電話でも事足りますし、無理に会話をしようとするとお互いにストレスが溜まることになりかねないので、個人的には、差し入れと子どもの笑顔を届けにいくつもりで行けばよいかなあなんて思う次第です。
さて、私たち家族が老人ホームに訪問するのは、もちろん祖母と会うことが一番の目的ですが、あわせて「祖母宛に届いた書類を回収する」という重大なミッションもあります。
「書類なんて家に送ってもらえば良いんじゃないの?」と思っていましたが、行政や金融関係の書類は代理人の家を宛先にすることができず、郵便局で転送しようにも、本人が住んでいない場所にはちょっと……といった感じでした。
リアルタイムで受け取れてないわけですから、家族が確認したタイミングでは、郵送されてから既に数カ月が経過しているようなケースもあるわけです。実際、要返信の給付金の書類の確認がギリギリになったこともありました。
また、祖母は生きている限り受け取ることができる個人年金に加入しており、こちらは単に返信するだけでなく、生存確認も兼ねて住民票の写しの返送が必須だったのですが、それがまた一苦労でした。
「住民票なんてマイナンバーカードがあればコンビニで一発やろ」と思ったものの、本人以外の人間がマイナンバーカードを使うのはアウトです(どちらにせよ電子署名は切れていたらしいし)。結局、本人を連れ出すわけにもいかないので、震える手で委任状を書いてもらって、平日の開庁時間に祖母の住んでいる街の役所まで持っていって、なんとか入手しました(郵送請求もできたかもしれませんが)。
また老人ホーム側からも毎月1回、ホーム及び各医療機関の請求書・領収書などが送られてきます。
サイズが小さいものならば、その封筒の中に、祖母宛の書類も入れて送ってもらえます。あとは、ホームでの祖母の様子や写真なんかも入れてくれていることがあるのですが、まあ何せ書類の分量が多い(涙)。そこそこ大きめのクリアファイルがすぐにパンパンになってしまいました……。
書類の量がかさんでしまうのは、祖母ももう歳ですのでいろんな医療機関にお世話になっており、各医療機関での領収書や診療明細・処方明細など、一切合切が含まれているからです。
当初は、後述するおむつ助成金の申請などに必要な書類もあったので、深く考えずに全て保存していました。しかし、あまりに量が多いので、廃棄するもの、原本はいらないのでスキャンだけするものなどに分けて管理するようにしました。
こうした書類の管理のルールは、早めに決めておいた方が良いかもしれませんね。
祖母が入居している介護付き有料老人ホームは、医療機関のグループが経営母体で、医療との連携についてはかなり力を入れています。送迎は施設側でやってもらえて、追加の費用なども発生しません。
週に1回お医者さんが往診に来てくれるほか、定期的に歯医者さんにも連れていってもらったり、他にも肌がかゆいだの腰が痛いだのでお医者さんにかかったりと、割りと至れり尽くせりみたいです。
逆にいうと、そうでない老人ホームの場合、「通院はご家族さまで」「施設職員が送迎する場合は追加費用」といったケースもあるようです。特に自分の家から遠い施設に入居する場合は、そのあたりがどうなるか、事前にしっかり確認しておいた方が良いでしょう。
有料老人ホームには介護付・住宅型・健康型の違いがあり、「介護付き有料老人ホーム」では協力医との連携が義務付けられています。詳細は下記記事もご覧ください。
有料老人ホームとは?介護付・住宅型・健康型の違いや定義、料金、人員基準など老人ホームの医療連携について、詳しくは下記記事もご覧ください。
【専門家が回答】老人ホームは医療法人経営やクリニック併設の方がいいの?幸い、祖母の場合は大きな健康上のトラブルもなく過ごしてきましたが、一度だけ入院することがありました。コロナではなかったのですが軽い肺炎のような症状で熱も高く、老人ホームでは急変時には対応できないので、念のため入院することとなりました。
さまざまな書類を山のように書くことになりましたが、準備や送迎については施設側にて対応してもらえて、そこはかなり助かりました。
ちなみに、事の大小にかかわらず、医療機関を受診する場合は老人ホーム側から念のための確認の電話が入ります。ありがたいのですが、一方で老人ホームからの着信履歴がある都度「何かあったのかな」と、かなりビクビクするようにはなりました。
祖母の老人ホームでの生活は、今のところ概ね大きな問題は起きておらず、だいたい入居前の想定の範囲の中に収まっています。しかし一つ誤算だったのが、自治体のおむつ助成です。
祖母ももう90歳を超えているので、介護用パンツを使用しています。
その費用は、毎月の老人ホームからの請求書に乗っかってくる形となります。多くの施設で、おむつの代金は処分費用も込みとなっており、持ち込みは禁止が原則。「安い日を狙ってまとめ買いして持っていけば安く済ませられる」わけではないのです。
そのため、人によっては結構な金額になりますが、多くの自治体では助成をしてくれます(赤ちゃん用にはしてくれないのに!)。
主な方法としては、
の3パターンがあります。自宅で介護を受けている人の場合は現物で届けてもらうかチケットで購入し、老人ホームにいる人の場合は領収証から現金で助成をしてもらうようなイメージですね。
詳細については、私のブログですが下記もあわせてご参照いただければ幸いです。
オムツ代の地域格差問題 - ゆとりずむ当初「現金支給でざっくり毎月数千円くらいは費用が浮くかな」と思っていましたが、祖母の住んでいる自治体のおむつ助成制度から、突然「現金支給」がなくなってしまいました。
まずホームに「現物支給(割引購入)だけになってしまったので、市の宅配サービスを使ってくれないか」と聞いたものの、そういう対応はやっていないとの回答。役所に聞いてみても「他のホームは宅配サービスを使ってもらっているので、使うように言ってくれ」と板挟み状態。
結局のところ現時点では、打開策が見つからないまま、助成を受けることができなくなりました。こうした制度の細かな点は、入居後に変わってしまうこともあります。そのリスクをしっかり考えておくことも必要かもしれませんね。
最後は、今後のお金の話について。幸いおむつ助成がなくなっても祖母の支出は概ね年金の範囲内に収まっており、個人年金や各種給付金等で資産はむしろプラスになっているような状況です。ただ、これらを今後どうマネジメントしていくのかは、なかなかの考えものです。
近年の物価高を受けて、祖母の入居しているホームでも利用料金の値上げがありました。そうなると、長期の入院をすることになった場合の費用なども考えなければなりません。
補足すると、医療費自体は健康保険でカバーされたとしても、食事代などは別途かかる上、ホームの費用も解約しない限りは発生するため、二重で費用が発生する状況になります。
そこを考えると資金のバッファは多いに越したことはないですし、自分のことだけ考えるならば、いずれ相続するお金はなるべく残しておいた方が良いでしょう。
とはいえこれはあくまで祖母のお金です。
孫の立場としては、できる限り本人のためになる使い方ができるようにしてあげたい。規制も緩和されつつあるわけなので、なるべく本人の「おいしいものを食べたい」という希望に応えられるように、外へ連れ出してあげたいなあと思う、今日このごろです。
代表的な老人ホームの種類ごとの費用の違い、月額費用の内訳などについて詳しくは、下記記事もご覧ください。
代表的な老人ホームの種類ごとの費用の違い、月額費用の内訳などについて詳しくは、下記記事もご覧ください。
老人ホームの費用相場は?施設種類別平均や金額を抑える方法イラスト:caco
編集:はてな編集部
都内IT企業で働くごく普通の会社員。数字を見ると興奮する性癖があり、仕事だけでは飽き足らず、せこせこグラフを作っては夜な夜なブログを書いていたが、今は主に2歳半と1歳半の年子のお世話係担当。
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