コロナ禍に89歳の祖母の老人ホーム入居を経験して気付いた、互いの人生を豊かにするために大切なこと

こんにちは、らくからちゃです。

以前tayoriniで、89歳の祖母のお金を管理した経験をもとに、こんな記事を寄稿させていただきました。

思った以上に多くの人に読んでいただき、コメントもたくさんいただき感謝カンゲキ雨嵐です。特に嬉しかったのが「これからもまだ様々な経験をすると思う。それらも発信してくれると嬉しい」というお言葉。こう言っていただけると、書き手冥利に尽きます。

この記事を書いてから数カ月たちましたが、この間にまた、ドデカイ経験を一つしました。祖母の介護付き有料老人ホームへの入居です。それもコロナ禍真っ只中に。

いやあ、大変でした(笑)。最初はどうなるかと思いましたが、たくさんの人に支えてもらって、無事入居を決めることができました。

コロナ禍ゆえに大変なことも多かったのですが、そうでなくても日頃離れて暮らしている場合など、頻繁に接することのできない状況にあるおじいちゃん・おばあちゃんを見守る上で、多くの人が直面しそうな問題も多々あったと感じました。

というわけでまた、経験のおすそ分けをしようと思い、書かせていただこうと思います。

同居していた妹の転居で、急きょ祖母のホーム入居を検討

前回の記事にも書きましたが、祖母はうちから遠くない場所に、私の妹と一緒に住んでいました。ケンカもしながら何とか二人で暮らしていたのですが、諸般の事情で妹が急きょ転居することに。

そこで困ったのが、祖母をどうするかです。

本人は「一人でも暮らしていくぞ」という心構えでいたようですが、足腰が弱り、自分で食事の準備もできない祖母を一人っきりにさせるわけにはいきませんでした。祖母の要介護度は3(身のまわりのことや家事などを自分一人でできないレベル 参考:要介護3とは?/LIFULL 介護)で、特別養護老人ホームが必要なレベルではないものの、サービス付き高齢者向け住宅では夜間の見守り体制などが十分にないこともあって心もとない。そして、妹の転居までのタイムリミットはなんと1カ月。

これは大変だ……! とケアマネージャーさんに相談したところ、老人ホームの斡旋業者さんを紹介してもらい、条件を詰めていくことになりました。

諸々の条件を整理したところ、以下2つのホームが選択肢に残りました。

山奥のホーム

・場所:家から車で45分ほどの、山奥のインターチェンジ付近
・費用:予算的にはかなり余裕(年金でお釣りがくる)
・特徴:大手グループのホーム。いかにも「老人ホーム」という印象

海辺のホーム

・場所:家から車で25分ほどの、やや都心より
・費用:予算を考えるとそこそこお高め(年金では若干足りない)
・特徴:全体的に豪華。医療法人と提携しており緊急時も安心

何を決め手に「終の棲家」を選ぶ? 見学で気にかけたこと

見学はコロナ禍のため受け入れ制限が厳しく、スケジュール調整が大変でした。当時は私が育児休業中だったためレンタカーを出しやすく助かりましたが、場所柄もあり、足が無いと見学はかなりキツいだろうな、と思いましたね。

なんとかスケジュールを調整し、まずは費用がお安い「山奥のホーム」から見学することに。

祖母は「日当たり」「眺望」にかなりこだわるのですが、どの部屋に入居できるのかは、そのタイミングで空きがあるところになるのだそう。というわけで共用部分を中心に見ていきましたが、ぶっちゃけ「イマイチ」だったんです。

大手グループの安心感はあるものの、山奥のためホームの周囲に何も無い。働いている人たちからは愛想が感じられず、何より悲しかったのが、入居者の方々が元気がなくションボリしているように見えたんですよね。

ここに大事なおばあちゃんを預けるのは……と思っていたところ、ホームの様子に意気消沈した祖母が「もう、ここでええわ……」と言い始め、スケジュールに余裕のない妹もそれに乗りそうな事態になって慌てましたが、「せめてもう一件は見ようよ」と、なんとか次の「海辺のホーム」の見学に連れていきました。

海辺のホームは打って変わって、都心にも近くキレイで豪華な感じのところ。屋上にはテラスもあり、カフェテリアもついている上、筋力の維持のためのマシンまで充実していました。さらには医療法人と提携しているので、万一入院が必要な状況になったとしても、搬送や諸々の手続きなども行ってくれる、安心感のあるホームでした。

しかしその分、ご予算が厳しい(苦笑)。

年金だけでは足りないので、貯金を取り崩す必要が出てきます。祖母は若い頃からしっかり貯めていたため、当面はやっていけるだけの貯金はありました。そこで「足りなければウチから出すよ」と言ってみましたが、「孫に迷惑をかけるわけにはいかん」と本人が認めない。

いずれの候補も厳しいとなったところで、第三の選択肢が浮かびました。

実は海辺のホームに訪問した当日の朝、介護情報サイトで海辺のホームの関連ホームに空きが出たことが分かり、当日ダメ元で見学を申し込んでみたのです。見学を快諾していただき、見てみるとこれがドンピシャ。

予算的にもちょうど良い範囲に収まり、グループということで医療法人との提携などのサービスは同じ。テラスやカフェテリアは無いものの、建物は全体的に明るく、スタッフの方もキビキビと仕事をしてくれ、何より入居者の方たちが元気だった。

本当はもっと早く準備できていれば良かったと思いますが、1カ月という期限の中、途中で諦めずにこだわりぬいて祖母の意思も尊重し、一番納得感のあるホームに出会えたのは本当に良かったですね。

面会が制限される中「祖母を一人ぼっちにさせない」ために用意したもの

さて、入居先が決まったら、お引っ越しの準備。ホームへの持ち物をそろえました。

部屋の面積は8畳くらいのワンルーム。トイレはありますが、風呂・キッチンはありません。

広さ的に、それほど多くのものは置けません。持ち込んだ大型家具は以下のようなものです。

・二人がけソファ
・一人用コタツ
・タンス(3段)
・テレビ
・鏡面台
(※ベッドは備え付け)

あとは、このスペースに入るだけの衣類と若干の小物くらいです。

そして、引っ越しに必要なものをそろえる中で考える必要があったのが、これから先どう祖母とコミュニケーションを取っていくか、そのために必要なツールは何か、ということ。入居にあたって、一番苦労した点でもあります。

まず、部屋に電話回線を引くことはできません。ということは、固定電話は置けない。じゃあ高齢者用の携帯電話を持たせればいいかというと、これがまた、祖母の場合はなかなか難しいんですよね。

以前も「お年寄り向けのケータイ」と銘打った携帯電話を持たせてあげたこともありましたが、携帯電話に触れたことのない祖母が使うのは正直難しかったです。まず充電の仕方を覚えることができず、しょっちゅうバッテリー切れの状態に。そして電話がかかってきたときに着信ボタンを押すのも、電話をかけたいときに発信ボタンを押すのも、一人では難しい。そうして操作を覚えられないまま、使わなくなってしまいました。

結局、

- かかってきたら受話器を上げる
- かけるときは受話器を上げてボタンを押す
- 終わるときは受話器を戻す

といういわゆる「家電話」のスタイルじゃないと使えないんですよね。そこで試してみたのが「ホムテル3G」という電話機です。

まんま「家電話でござる」という面構えの電話ですが、携帯電話と同じようにSIMカードを差すと、3G回線を使って電話がかけられます。固定回線を使わないので、設置工事は不要です。

また、一人でホームに入居する祖母が少しでも寂しくないようにと導入したのが、Amazonの「Echo Show 8」です。「アレクサ、明日の天気を教えて」でおなじみのアレですね。

お年寄り向けケータイも難しい祖母は、音声コントロールでの操作が困難です。じゃあ何で持ち込んだのかというと、ビデオ通話のためでした。

ビデオ通話ができるデバイスは複数ありますが、Echo Showのメリットは、着信がきた際の操作が必要なく、こちらがかけるだけでつながる点です。着信のための細かな操作を祖母が覚えなくてもよかったのは、大きなメリットでした。

また、見慣れないデバイスの存在を祖母に受け入れてもらうために、ひ孫の写真をスライドショーとして定期的に表示させることで、「写真の出る黒いヤツ」と認知してもらえたのも利点でした。

Echo Showをインターネットに接続するには、ネット回線が必要です。そこで通信手段として、契約期間の縛りがないプリペイド式の「おてがるWi-Fi」を導入してみました。

利用したのは、100GBの容量を12カ月分利用できるプラン。ビデオ通話とアルバムのダウンロードだけなら、一カ月で10GBも使わないのでこれで十分でした。

ここまで準備をして入居に望んだのも、コロナ禍ということもあり、下記のように面会が厳しく制限されていたからなんですね。

- 面会は2週間に一度まで
- 面会は事前予約が必要で、当日はその場で抗原検査がある
- 面会場所はロビーで、時間は30分まで

外出・外泊はもちろんNG。入居後、初めて会いに行った時に「もう一生会えないかと思った」と泣かれてしまい、残り少ない人生なのに、産まれたばかりのひ孫にも会えず、ずいぶんつらい思いをさせてしまっていることに胸が痛くなりました。

とはいえ、悲しんでばかりではいられません。そのほかにも、まだまだ片付けるべき問題は山積していたのです。

入居費用の手続きや、家に残った荷物の処分に苦労

最初に直面したのが、入居費用をどうやって振り込むのかという問題です。

ホームによっては、入居一時金として、入居時点である程度まとまったお金を支払う必要があります。最初、そのお金は祖母の銀行口座から振り込む予定でしたが、金額が大きいため、ネット経由での振り込みができなかったんですよね。

本人をその場に連れていければ話が早いのですが、残念ながら外に連れ出すことはできません。そこでホームの職員さんにも協力してもらって委任状を作成し、郵送で対応できましたが、そこまでが一苦労でした。

また、私が入居後の祖母のお金の管理全般を担当することになったのですが、

- 銀行口座
- 生命保険
- 生協
- 個人年金

などなど、さまざまな住所変更手続きが必要でした。その度に、電話や窓口で「ご本人様と代わっていただけますか?」と言われるのですが、残念なことにご本人様は隣にいないのです。状況を説明したところ、幸いにも「では直接ご本人様に連絡して確認しますね」と対応していただけたので何とかなりましたが、高齢者の住所変更って本当に大変なので、マイナンバーか何かを利用して、一括で切り替えられるようにしていただきたいものです。

また、加えて大変だったのが、祖母が残していったものの処分。

祖母が暮らしていたのは借家なので、部屋は空っぽにして大家さんに明け渡さねばなりません。その時までに、荷物は全て引き払っておく必要があります。祖母はそれほどモノに執着しないタイプですが、それでも昔の旅行の記念品など、こちらで勝手に処分するには気の引けるものが大量にありました。

本人が一緒にいれば「これはもういらないよね」と処分もしやすいのですが、それもできず、大量の「思い出の品」を一旦わが家で引き取るしかありませんでした。徐々に整理・処分を進めていますが、なかなか難しいのが現状です。

離れていても近くに生きる

ホームに入ってからしばらくして、スタッフの方に祖母の様子を聞くことができました。

当初は、食事が口に合わずに文句を言っていたものの、次第に周囲とも打ち解け、それなりに新生活をエンジョイしているそう。一方で、「次はいつ孫が来てくれるのかなあ」と寂しそうにもしているそうです。

コロナ禍真っ只中の入居ということもあり、いつもと勝手が異なるであろうことがたくさんありました。ただ幸いにも、祖母は比較的近くの距離に住んでおり、入居先も何かあれば車ですぐに行けます。会いに行くだけでも丸一日かかる距離に住んでいる人と比べると、かなり恵まれた状況です。

入居先選び、荷物の整理、入居後の事務作業のいずれにおいても、今回挙げたような「大変だったこと」は、コロナ禍でなくても、高齢の家族を見守っていくにあたって多くの人が直面する可能性のある問題でしょう。「元気だと思ってたのに、急に認知症が進んで……」といった理由で、施設への入居が必要になるケースは多いと聞いています。

支える家族もですが、何より本人が一番大きな不安を抱えています。ネットもうまく使えず情報収集もできず、実際に見学に行くのも大変だし、お金の計算も難しい。周囲の人の手助けは必要不可欠です。

はっきり言って、施設の入所は大変です。わが家の場合、わたしが一番祖母のお世話になってきたこともあり、全権委任で対応しましたが、まずは「その負担を誰が引き受けるのか」でひと悶着あるご家庭も多いでしょうし、特に金銭面について家族内で意見が割れるケースもまた多いでしょう。

「これが本人にとって本当に良い選択だったんだろうか」と心残りができるようだと、支える側にとっても残念です。より良い選択ができるように、できるだけ早いうちから、さまざまな情報収集をしていくことが大切だと感じました。

しかしそれ以上に、いざ行動が必要になったときに同じ方向を向いて歩んでいけるよう、相手の考えをよく聞き、「心の距離」を近くして生きていくことが、お互いの人生を豊かにするために必要なんじゃないでしょうか。

苦労の多い仕事でしたが、施設を訪問する際に職員さんから「おばあちゃん、いつもお孫さんの自慢話をしてくれるんですよ」と言われるのもまた、中々悪くないもんですよ。

編集:はてな編集部

らくからちゃ
らくからちゃ

都内IT企業で働くごく普通の会社員。数字を見ると興奮する性癖があり、仕事だけでは飽き足らず、せこせこグラフを作っては夜な夜なブログを書いている。第一子誕生時に半年間の育児休業取得。

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