手続きをすることで、賢約できるお金がある!――公的支出の適正化を助けてくれる「賢約サポート」の事例

夫の年収が、下がった! 親の介護費用、払い続けられる?

 

今回のtayoriniなる人
公的支出診断士 藪内祐子(やぶうちゆうこ)
公的支出診断士 藪内祐子(やぶうちゆうこ) 一般社団法人日本ライフマイスター協会 理事
元行政職員として、年金・健康保険・税金・介護保険に関する相談支援を18年間務め、退職後に合同会社AYUMIサポートを設立し、一般社団法人日本ライフマイスター協会の理事に就任。賢約サポート事業、企業向けセミナーの企画・運営を手掛け、仕事と介護の両立支援や介護事業者のコンサルタントを行う傍ら、グループホーム外部評価委員も務める。

現状を把握し、必要な手続きの仕方を知る

「公的制度には、その人の状況に応じて軽減制度があります。現状を把握し、必要な手続きをとることで、さまざま還付があることは珍しくないんです」。そう言うのは、藪内祐子さん。藪内さんが展開している「賢約サポート事業」での実例を紹介します。

実例 : 総額300万円が還付された!

――「手続きをするだけで、300万円の還付」って、凄くないですか?

藪内さん

ありがとうございます。私がした手続きを、ざっとご紹介しますね。戻ってきた項目としては、「義父の税金」「夫の税金」「義父の医療費」「義父母の介護保険料」の4本柱です。

 ◆「公的支出の適正化」で賢約できた金額 総額300万円!

1)夫の税金 100万円
・夫の母と私の父を夫の扶養に。控除された所得税と住民税を過去5年に遡って還付してもらう

2)義父の税金 80万円
・本人が障害者控除を受ける。所得税と住民税を過去5年に遡って還付してもらう

3)義父の医療費 100万円
・義父が非課税世帯に。高額療養費の区分けラインの変更により払い過ぎになった医療費を過去2年に遡って還付してもらう

4)義父母の介護保険料 15万円
・義父が非課税世帯になったことで、介護保険料が安くなった。払いすぎていた分を、過去2年に遡って還付してもらう


※筆者作成

◆藪内さんと税理士さんで行った手続き

※夫の扶養に私の父も入れる(さらに夫の母と私の父の障害者控除も)

●非課税世帯となったので、夫の父の高額療養費の区分けラインが低くなる。⇒ 月額換算で3万円戻ってくる。非課税世帯だと入院時の食事代の軽減もある。その分の還付

●非課税世帯となったので、夫の母の分の高額介護サービス費も区分けラインが低くなる。

●非課税世帯となったので、介護保険料も安くなるので、その分を還付 など

「確定申告」をして、払い過ぎた税金をとり戻す

――なんか、もう、お腹一杯です‥。

藪内さん

そうですよね(笑)。 多くの方にとって、ここに出てくる言葉だけでも、聞き慣れないものばかりですものね。

――「そこの部分のサポートをしてくれるサービスがある」というだけでも救いです。

藪内さん

ありがとうございます。このケースで、知っておいて欲しいこと、ひとつだけお伝えしても良いですか?

――一つだけなら、頑張ります!

藪内さん

「還付の確定申告をしなければ、税金は戻ってこない」ということを知っておいて頂きたいのです。

――えーっと、それって、どういう意味でしょうか?

藪内さん

年金受給者の方の中で、受給額が400万円以下で年金以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は不要とされています。 けれども、たとえば、医療費が多くかかった年など、確定申告をすることで、払い過ぎた分の税金が戻ってくる可能性があるのです。

何が言いたいかと言うと、「もらえるお金」というのは、申告ありきなんです。こちら側から申告しないと、もらえるものも、もらえない‥‥‥。

元会社員などで経験がないと、確定申告のハードルは意外と高くて、本来だったら「もらえるお金」を、とりこぼしている場合もあります。

最悪な状況をたくさん見てきたからこそ伝えたいこと

――そういったことって知っておく必要ありますよね…。

藪内さん

高齢者の方が、今までお話ししたようなことを「今からできるようになる」というのは、厳しいのかもしれません。だからこそ、tayoriniの読者世代の方にメッセージをお伝えして、チェックをしてあげて欲しいです。

30代や40代は、自分の子供の教育や、自分の仕事で精一杯の年代なのは承知しています。けれども、だからといって介護に目を背け続けていると、最後に痛い目を見るのは、やっぱり自分なんです。

――痛い目!?

藪内さん

たとえば、自分の親が介護保険料を払っているかどうかなんて、子供は知りません。そこを確認するだけでも、全然、違います。なぜなら、「介護保険料を払っていない」という状況を、親は恥ずかしがって子供には相談しないケースが多いからです。

介護保険料を支払っていないことで、色々なペナルティがあるんです。そういったペナルティがあること自体を、子供は、親を介護する時点で、やっと知る……。親の介護費用で子供世帯の家計が破綻、夫婦が離婚に至ったケースもありました。私は、役所の窓口で、そんな最悪な状況をたくさん見てきたんです。

サードライフマネーを知れば、老後へのやみくもな不安は減る

――そうなんですね…。

藪内さん

私は、介護が必要になる時代を、セカンドライフになぞって、「サードライフ」と呼んでいます。親のサードライフをマネジメントすることが重要なんです。

――マネジメントって、子供がするべきなんですか?

藪内さん

介護に対する知識を得て、心とお金の準備ができれば、働きながらの介護は難しくありません。

「怪我や病気で入院し、要介護状態で退院する」。これが一般的な介護の始まりです。ここで重要なのは、親が自宅に戻る前にマネジメントの体制を整えておくことです。

――めちゃくちゃ憂鬱になってきました……

藪内さん

それも結局、自分のためになるんです。親の介護を通じて、自分が健康ではなくなった老後を見据えることができますから。

親の介護をするという経験は、おそらく「自分が望む生活に必要な費用」を知ろうとするきっかけになるはずなんです。自分の望むサードライフにどれくらいの費用がかかるかを知ることができれば、寿命より先に資産が尽きることを、やみくもに怖がらなくて済むと思うんです。

まとめ

1)年金収入400万円以下で年金以外の所得が20万円以下であれば確定申告不要だが、確定申告をしないと払い過ぎた税金は戻ってこない

2)親とお金の話をすることを始めてみる

3)親の「サードライフ」のマネジメントは、最終的には自分のためになる

【併せて読んでいただきたい記事】
 

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楢戸ひかる
楢戸ひかる ライター

ウェブサイト「主婦er」運営。夫は長男、私は長女。「親の介護」が集中する(であろう)家庭の主婦です。双方の両親は、お陰様で「まだ」元気。仕事をしながら息子3人を育てている今、「介護」は脅威でしかありません(笑)。そんな私が、「知りたいこと」を記事にしていきます。

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