年金が足りない。世帯分離で介護費用の負担額が下がることもある!?――知っておきたい公的制度

祖母の老人ホーム費用。実家の父が負担をしていたが‥‥。

今回のtayoriniなる人
公的支出診断士 藪内祐子(やぶうちゆうこ)
公的支出診断士 藪内祐子(やぶうちゆうこ) 一般社団法人日本ライフマイスター協会 理事
元行政職員として、年金・健康保険・税金・介護保険に関する相談支援を18年間務め、退職後に合同会社AYUMIサポートを設立し、一般社団法人日本ライフマイスター協会の理事に就任。賢約サポート事業、企業向けセミナーの企画・運営を手掛け、仕事と介護の両立支援や介護事業者のコンサルタントを行う傍ら、グループホーム外部評価委員も務める。

軽減制度があるのに、知らないため利用できていないという現実

介護に要した費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7.8万円との調査結果があります。※1

こういった費用は、親の年金だけでは賄えない場合もあります。「確定申告や住民票の手続きをすることで、月に10万円以上の軽減が受けられることも珍しくないんです」と言うのは、藪内祐子さん。そんな藪内さんが展開している「賢約サポート事業」とは?

※1:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度 「介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?」より抜粋。

もっと楽になる方法って、何ですか?

――4コマを読むと、藪内さんが何をされたのか、とても気になります。

藪内さん

そうですよね。前回と同様、これも実話です。

私の祖母は足腰が弱り、日常の生活を自宅で送ることが困難になったので、特養(特別養護老人ホーム)に入所しました。

祖母自身の収入は、祖父の遺族年金の月額7万円のみ。けれども、特養の自己負担額は、月17万円と言われました。差額は、実家の父が負担をしていたんです。でも、これって、父の年収が邪魔をしていただけなんですよね。

――父の年収が邪魔!? どういう意味ですか?

藪内さん

行政上では、介護は「世帯」単位で考えていきます。祖母は、特養に入所はしたものの、住民票上は、私の両親と同一世帯のままでした。

特養の費用が17万円 ⇒ 6万円台に

――え? 特養に入る時は、住民票を移さないといけないんですか?

藪内さん

それは、不要です。

ここで最も大切なことは、「祖母の世帯収入は、遺族年金が月7万円程度のみ」という実態を、きちんと申告することなんです。

結論から言えば、特養の費用は、月額6万円台になりました。実態を申告することで、非課税世帯として軽減制度を受けることができるようになったからです。

――そうなんですね……。

藪内さん

こういった話をすると、「戸籍」と「住民票」、そして「世帯」を混同されている方が、沢山いらっしゃるのがわかります。それぞれ、別のものなんです。


 

●戸籍と住民票と世帯の違い
戸籍 人の出生・死亡・婚姻・離婚・縁組などの重要な身分関係を登録・公証する公文書
住民票 住民の居住関係を公に証明するもの
世帯 独立して生活を営んでいる人々の集まり、もしくは、独立して生計を営む単身者

例えば、特養は在宅復帰を目的としている老健(老人保健施設)と違い、終身で入所できる施設ですので、施設に確認したうえで、住民票を移すことも可能です。けれども、「実家の両親」と、「祖母」は、世帯を別にすることはできるんです。

私は、「実家の両親」と「祖母」を世帯分離をさせて、祖母を世帯主にする手続きをとりました。

薮内さんの父が持ち出さなくて良かったお金は、いくら?

――世帯分離⁉

藪内さん

世帯分離とは、住民票の世帯を分けることを言います。繰り返しになりますが、ここで最も大切なことは、「祖母の世帯収入は、遺族年金が月7万円程度のみ」という祖母の世帯の実態を、きちんと申告することなんです。

世帯分離をしたので、祖母は、住民票はそのままで単独世帯の世帯主となりました。この手続きをすることによって、特養の自己負担額は祖母の世帯だけで計算されるようになった結果、自己負担額が月額6万円台になりました。

――すごいですね!

藪内さん

本当に(笑)。世帯分離をする前は、自己負担額で足りない分(毎月10万円)を父が支払っていました。祖母は、世帯分離をした後、10年で亡くなったので、結果的に10年分の自己負担不足分1200万円を、父は持ち出さなくて済みました。

1200万円

父の持ち出し分 毎月10万円 × 12ヵ月 × 10年

ケアマネージャーの母でも、知らなかったこと

――あの~、こういう話って、普通、知っているものなのでしょうか?

藪内さん

いいえ。残念ながら、違います。実は、私の母はケアマネージャーだったんです。軽減制度があることは知っていたので、祖母が施設に入った段階で、実家のある市役所に「軽減制度を受けられますか?」と、問い合わせをしたそうです。

けれども、回答は、(父の年収が邪魔をしていたので)「軽減制度の対象になりません」と、言われたそうです。

ケアマネージャーは介護サービスのプロではありますが、介護や医療の費用に関すること、税金や社会保険料のプロではありません。

――でも、これって「知っている」か「知らない」の差が、すごく大きい話ですよねぇ

藪内さん

そうなんです。現時点では、ほとんどの人が、知らないと思います。なぜなら、学校では公的な制度を教えてくれませんから。

必要な手続きをしないまま、言われたとおりの金額を払い続けている人も多いのが現状です。

公的支出を横断的に診断する!

――それって、大問題じゃないですか⁉

藪内さん

本当に、そうなんです。行政は「縦割り」で、それぞれに窓口が違います。窓口に相談をしたとしても、多くの場合、その担当窓口の制度についてのみしか説明を受けることができません。

けれども、本来であれば、公的制度を上手に使うためには、税金や社会保険料、医療費や介護費などの公的支出を横断的に見るという視点が不可欠なんです。

――でも、とても難しそう…。

藪内さん

私が展開する「賢約サポート」という事業は、税理士と弊社の人間が共に税金や社会保険料、医療費や介護費などの公的支出を横断的に診断し、お客様の現在や未来への支出を合理的に削減することを目的としたサービスです。

賢約サポートを受けると

1) 公的支出が適切かどうかの現状把握ができる

2) 適切でなかった場合、必要な手続きの仕方がわかる

3) 手続きをすることによって、公的支出を削減できる

まとめ

【次回予告】

『手続きをすることで、賢約できるお金がある!――公的支出の適正化を助けてくれる「賢約サポート」の事例』

実際に賢約サポートを受けた人たちは、どうなったのか!?藪内さんが立ち上げた賢約サポートを利用した賢約事例をご紹介します。

税金、保険料、介護費、医療費などご不安な方は、一度ご相談ください。
賢約サポート相談窓口はコチラ

楢戸ひかる
楢戸ひかる ライター

ウェブサイト「主婦er」運営。夫は長男、私は長女。「親の介護」が集中する(であろう)家庭の主婦です。双方の両親は、お陰様で「まだ」元気。仕事をしながら息子3人を育てている今、「介護」は脅威でしかありません(笑)。そんな私が、「知りたいこと」を記事にしていきます。

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