ビジネスケアラーの55%が「介護が仕事に影響した」と回答。準備しておけばよかったこと1位は?

LIFULL 介護では働きながら介護を始めたワーキングケアラーへのアンケート調査を実施しました。そこで見えてきた、ワーキングケアラーの介護の実態についてご紹介。アンケート結果から、「働きながら介護」への備えとして重要な「知識」が見えてきました。

仕事をしながら介護を始めた人のうち、半数以上が「休業、退職など介護が仕事に影響した」と回答

仕事をしながら介護を始めた人のうち、仕事に何らかの影響があった方は約55%と、半数以上にのぼる結果となりました。なかでも多かったのは「仕事の量を減らした」で18%です。次いで「退職し介護に専念した」が9.4%となっており、介護離職を選択することは珍しくないことがわかりました。

ワーキングケアラーの45%は週4日以上介護に当たっている

それでは、働きながら介護をしている人はどれだけの時間を介護に費やしているのでしょうか?

一番多かった回答は「週7日」(26.4%)でした。週4日以上と回答している方は全体の45%を占めています。介護が必要な方と同居していると、切れ目なく介助や見守りが必要になるため、毎日のように介護に携わっているのは、珍しい状況ではないことが伺えます。

一日のうち、介護の時間は3時間までが半数以上。一方で「5時間以上」も約30%

一日のうち、平均して何時間介護に携わっているかをたずねたところ、最も多かったのは「3時間」で20%でした。1〜3時間が、合計で55.6%と半数以上ありましたが、一方で5時間以上の回答も合計で約30%ありました。一日のうち5時間以上を介護に費やすとなれば、仕事との両立が難しいことは想像に難くないでしょう。

介護で負担が大きいのは「日常の介助」のほかに「突発的な対応」や「病院の付き添い」も

介護のどのような部分が負担だったかをたずねると、最も多かったのは「食事や排せつ、入浴など日常の介助」(38.1%)でした。次いで「介護される人の体調不良など突発的な対応」(30.6%)、「病院など外出の付き添い」(28.2%)となりました。

介護を必要とする人の突発的な体調不良により、病院への付き添いが必要になる場面は非常に多く、介護サービスでもなかなか代替できない部分です。急な休みが必要な点も、介護と仕事の両立を難しくしています。

介護を経験した人でも約36%が介護休業を知らない

介護についての知識で、知っておくと便利な事柄についての認知度を調べたところ、介護を経験した人でも36.4%が「介護休業」について知らないことがわかりました。また、介護が始まる前から頼りになる「地域包括支援センター」も、介護が始まる前から知っていた人は33.2%に止まることがわかりました。

関連サイト

地域包括支援センターとは

業界最大級の老人ホーム検索サイト | LIFULL介護

介護が始まる前に知っておきたかったこと、1位は「介護保険サービス」と「介護の費用感」

介護を経験した人が、介護が始まる前に知っておきたかったことで最も票を集めたのは「介護保険サービスでできること」と「介護の費用感」(どちらも31.3%)でした。

介護保険サービスでできることは、ヘルパーによる介助だけでなく、福祉用具の貸し出しやリフォームなど多岐に渡ります。介護が始まる前に知っておくとスムーズに利用を開始できるでしょう。

関連サイト

介護保険適用サービスの種類

業界最大級の老人ホーム検索サイト | LIFULL介護

関連サイト

在宅介護にかかる費用

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介護が始まる前に準備しておけばよかったこと1位は「相談先」

介護を経験した人に、介護が始まる前に準備しておきたかったことをたずねたところ、1位は「介護の相談先を知っておく」(28.5%)でした。次いで「介護施設を探しておく」(27.1%)も票を集めました。

あることがきっかけで、自宅での暮らしが難しくなり、一刻も早く介護施設に入居したいというケースは珍しくなく、「LIFULL 介護」にもそういった相談が多く寄せられます。元気なうちから周辺の介護施設について情報を収集しておくと、余裕を持った介護施設探しができます。

関連サイト

入居までの流れ

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「LIFULL 介護」編集長 小菅 秀樹(こすげ ひでき)のコメント

2024年には、3年に1度の介護保険制度の改正があります。社会保障費の増大は誰もが認識する課題であり、介護を必要とする高齢者の人口が増加するなか、介護者の負担増はほぼ避けられません。そうしたなか、介護離職を回避するため、現代のビジネスパーソンには介護リテラシーの向上が求められています。地域が提供する社会資源や、「介護休業」など働く人のための支援制度を上手に介護に活用したいところです。

今回の調査では「介護休業」の知名度の低さや、「介護保険サービス」への理解度の重要さが浮き彫りになりました。そもそも、日本では社会保障制度、特に介護保険制度に関する教育は、ほとんど行われていないのが実情です。厚労省は、40歳以上の社員に対する、介護休業などの支援制度の周知を、企業に義務付ける方針を示しています。こうした方針が国民全体の介護リテラシーをあげ、介護離職を減少させていくのか引き続き注視していきたいと思います。

調査概要

調査主体:株式会社LIFULL senior

調査期間:スクリーニング調査:2023年12月19〜21日、本調査:2023年12月22〜23日

調査対象:スクリーニング調査:15,407人、本調査:過去10年以内に家族や親族の介護に携わったことがあり、介護が始まる前に仕事をしていた方 1,105人

調査方法:インターネット調査

※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合があります

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