おじいちゃん・おばあちゃんと孫が、一緒に食べて楽しめる、「だんらんレシピ」。今回は、秋ならではの味と、親子三代の楽しい時間をお届けします。
監修/鈴木俊美(管理栄養士)
秋が深まって、さつまいもがおいしい季節です。あー、石焼きいも食べたい! と思う瞬間がありますよね。甘くってホックホクで、まさにスイーツです。電子レンジや蒸し器で加熱すると、あの甘みが出ません。ただ、屋台のおじさんから買うとなかなかいいお値段。最近はスーパーでも売っているところがありますが、それもなんだか味気ない。そこで、家で作ってみました。
今回は、シンプルながらじわっとおいしい、焼きいもレシピです。
カロリー 268kcal/塩分 0.1g(1本分)
ところで、なぜ石焼きいもは、電子レンジで加熱するよりも甘いのでしょうか?
サツマイモには、「アミラーゼ」という消化酵素が含まれています。このアミラーゼにはでんぷんを分解して麦芽糖(ばくがとう)にする働きがあります。アミラーゼが働くのは40~75℃くらいだといわれ、電子レンジのようにすぐに食品を熱くすると、デンプンが分解される時間が短く、麦芽糖があまり作られず、甘みが薄い、というわけです。
石焼きいもは火であぶった石の中で、さつまいもをじっくり焼くので、アミラーゼが長く、よく働き、麦芽糖の量が多くなっておいしくなるのです。
また、加熱の途中でさつまいもの水分が蒸発すると、麦芽糖の濃度が増して、甘さを強く感じる、ということもあるようです。ただ、水分が抜けすぎるとパサパサになってしまうので、適度な抜け具合がおいしい、ということになりますね。
というわけで、家庭ではどんな焼き方がいいか、いろいろ試してスタッフ3人で食べてみたところ、細いさつまいもを選び、魚焼きグリルで焼くのがカンタンでおいしい! という結果になりました。
細めのさつまいもは、長い場合には長さを半分に切り、アルミホイルで包みます。グリルを弱火にして20分~25分程度焼きます。竹串などを刺してみて、すっと通ったら火を止めて、10分程度そのまま放置し、余熱でじんわり火を通します。これだけ!
ほどよく水分が抜け、焦げた香りがプラスされて食欲をそそります。アルミホイルなしだと焦げすぎたり水分が抜けすぎたりするので、やはりアルミホイルが必要だというのがみんなの意見でした。
魚焼きグリルは、上だけから加熱する片面焼きタイプと下からも加熱する両面焼きタイプがありますが、弱で調節をすれば、どちらもさほど加熱時間に変わりがないようです。また、アルミホイルがグリルの熱源にさわらないよう、くれぐれもご注意ください。細いさつまいもを使うのは、早く焼ける、というほかに、熱源にさわらないため、という理由もあります。
アルミホイルで包み、160~170℃ぐらいで30分以上加熱して放置。オーブンは庫内が広いので、太いさつまいもをもっと長く加熱してじんわり火を通すと、とてもおいしく焼きあがります! ちょっと時間がかかり、オーブンのない人ができないのがデメリット。
さつまいもをアルミホイルで包み、10分加熱しては10分放置、を3回繰り返す。ちょっとめんどうだけれどおいしい。
電子レンジでもおいしく食べられる方法はないかと調べ、「キッチンペーパーを濡らしてさつまいもに巻き、その上からきっちりラップで包んで100wでじっくり加熱する」という方法でやってみました。でも、濡らす水分によってはベチャベチャになるし、意外に時間もかかるし、スタッフからは人気薄。500~600Wでチン! するよりはおいしいけれど、やっぱりさつまいもは「焼く」からおいしい、という結論に。
もちろん、いもの種類や鮮度、調理器具の性能、味の好みなども関係するので一概にはいえませんが、結果、魚焼きグリルに軍配が上がりました。
日ごろあまり使わない魚焼きグリルの活用法、ぜひトライしてみてください。ちょっとぐらい手入れが悪くて魚臭いグリルでも、焼いてしまえば気になりませんから大丈夫です。
おばあちゃん、おじいちゃんの世代なら、焚火で焼きいもを焼いた世代ではないでしょうか。今は消防法などで宅地での焚火は禁止されていますので、味わうことができませんが、どんな様子だったのか、聞いてみるのもいいですね。
焼きいもが余ったり、そのまま食べるのもあきちゃった、というときには、さつまいも入りの蒸しパンを作ってみては。ホットケーキミックスを使うので、とてもカンタンで失敗がありません。
*グラシンカップやアルミカップ6~7個
カロリー 166kcal/塩分 0.3g(1個分)
aの卵をよく溶き、牛乳と砂糖を混ぜたら、そこにホットケーキミックスを入れて、ゴムべらなどでさっくりと混ぜます。そこに1.5㎝角くらいに切った焼きいもを混ぜます。(トッピング用に少し残しておきましょう)
それをグラシンカップやアルミカップに均等に分け入れて、最後にトッピング用のいもを飾り、蒸し器で蒸します。生地がふくらむので、カップの半分くらいをメドに入れること。しっかりしたカップならそのまま、やわらかいなら耐熱のプリン型などにカップを入れ、生地を注いで蒸すときれいな仕上がりになります。10~15分で竹串などを刺し、生地がついてこなければOKです。
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そのほか、つぶしてポテトサラダ風にしたり、つぶして牛乳と砂糖、バターを混ぜてスイートポテト風にしたり、余ってもおいしく食べられるのが、焼きいものよさですね!
写真/大槻茂
女性誌や子ども関連雑誌・書籍の執筆を長年手がけ、現在も乳児や幼児のママ向けフリーペーパーで食育の連載を担当。生涯学習2級インストラクター(栄養と料理)。近年は介護・福祉・医療関連の記事、書籍編集も数多い。社会福祉士資格を取得し、成年後見人も務める。福祉住環境コーディネーター2級。
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