(連載)ご入居者ケースのご紹介 7.夫婦で入居し最期を看取る
当住宅のすぐ近くのご自宅からご入居されたご夫婦の事例です。
ご主人様が闘病を経て寝たきりとなり、衣食住で介助が必要になりました。
奥様がお一人で介護していましたが、他に同居家族はなく負担も不安も大きいことから高齢者施設への転居を検討。
寝たきりで常時介護が必要なご主人様と、自立の奥様、双方にとって快適で、且つ今までどおり家族介護が継続でき、必要に応じて随時支援が得られる環境が好適と判断され当住宅にご入居されました。
入浴は訪問入浴を利用し、体調管理は訪問診療と訪問看護が担当。
その他生活全般の介護は奥様が行い、訪問介護は利用されませんでした。
一方、住宅スタッフは奥様が外出された際のご主人様の安否確認や緊急時の対応を実施。
お部屋で食事介助中に奥様から緊急コールがあり、スタッフが駆け付けるとご主人様が喉に食べ物を詰まらせており、スタッフの応急手当により事なきを得たこともありました。
また、風呂の準備と掃除をしなくても良いことは家事の軽減にもなり、介護で多忙な奥様にとっても至適な環境となりました。
(注:共用浴室のお湯はりと掃除は基本生活支援サービスに含まれます)
何よりも、悩みや苦労を気軽に話せる友達ができたことでとても気が楽になり、介護以外の他愛のない日常会話もよい気分転換になったそうです。
その後、ご主人様は奥様に見守られながらご逝去されましたが、奥様は現在もお住まいです。
当初はご主人様に先立たれ際は普通の賃貸住宅等に転居されることも考えていたそうですが、実際に住んでみるとシンプルでコンパクトなライフスタイルが快適であることと、棟内で得た「人とのつながり」は貴重な財産だと考え選択をされたそうです。
新盆の年には棟内でお盆のお祀りも行いました。
高齢化が進み老々世帯、老々介護が増加しある現代ですが、在宅で介護を継続するのは時として困難が伴います。
老々介護に限らず、高齢者の単身生活でも無縁や孤立が課題となることも少なくありません。
「話し相手がいる」、「つながりがある」、「心の拠り所がある」というのはとても重要です。
介護サービスなどフォーマルサービスに目が向きがちですが、近所とのつながりや地域活動などのインフォーマルサポートは同じように大切です。
当住宅でも、棟内のコミュニティが家族介護に携わる方にとっての心の拠り所になることを願っております。