(連載)ご入居者ケースご紹介⑨ 自由と社会とのつながりを求めて

新型コロナウィルスの流行により未だ混乱の収まる気配のない2020年6月にご入居された方の事例です。
もともと他社のサ高住に入居されており、外に買い物に行き食事を自炊するなど自立して生活するだけでなく、市中でボランティア活動をするなど社会とのつながりを大切にしつつサ高住の生活をエンジョイされていました。
そこに新型コロナの流行が発生。
緊急事態宣言の発出に伴い住宅の方針で外出が禁止になり、これまで通りの生活が困難となったことで、外出もできずこのまま転がるように要介護になるのでは?と心配になり転居を決断。
当住宅に転入されました。
物件を探す際の条件は1つ。「外出の自由が確保されること」
当時は当住宅でも新型コロナにり患される方が散発的に発生。
2021年には全入居者の約20%の方が感染するクラスターも発生するなど感染対策には苦しみました。
一方で介護施設との違いも考えました。
要介護の方の多い介護施設では命を守るため、外出禁止や立ち入り制限を含む厳重な感染対策の必要性が高いです
一方、サ高住は集合住宅であり自由な生活の場です。
普通の賃貸マンション、集合住宅では出入りに何の規制もありません。
棟内の食堂も外のレストランと同様、飲食店の感染対策を講じれば営業継続は可能です。
高齢者や基礎疾患のある方は重症化リスクが高いのはもちろんですが、だからと言って高齢者というだけで一律に自由を制限するのは本当に正しいのか?
感染を恐れて心身の活動が低下することや、人とのつながりが希薄になることでフレイル化が進み、介護度の重症化が進むなど重大な副作用をもたらすのではないか?
選択肢が必要なのではないか?
このように考え、熟考の末、2023年の5類感染症への変更を経て、現在に至るまで出入りの自由を確保しました。
2021年頃には案の定、社会的に「コロナフレイル」のリスクが顕在化し、感染予防対策一辺倒からフレイル対策の両立が図られるようになりました。
高齢者にとって社会とのつながりが極めて重要であることは何度も述べてきました。
サ高住だからこそ出来ることがあると確信し、それを運営する上での道しるべとしています。
さて、このご入居者の現在ですが、毎日元気にどこかに外出され、ボランティア活動や趣味のコンサート鑑賞を楽しむなど、アクティブに生活されています。