介護とは?

もしも誰かに介護とは？と尋ねられた私はきっと゛分からない〟と答えるだろう。この世界で30年も生きてきたのに未だに介護が分からないのである。こんな私にでも３０年前、熱い使命感のようなものがあった。「よし、自分の力でお年寄りを幸せにしてやろう」と…。しかし、そんな想いも１週間で消えた。現実はそんな甘いものではなかった。その時、私は自分を恥じた。それからはこの仕事に理想は抱かなくなった。ただただ現実とだけ向き合った。当時、私は周りの人達から「若いのに介護職なんてやって偉いわね」と言われる事が堪らなく嫌だった。違う、偉くなんかない！自分はそんなに立派な人間じゃない！と心の中で反発した。「今度のボーナス貰ったら辞めよう」といつも辞める事ばかり考えていた。そして気が付けば３０年もやっている。唯々、現実とだけ向き合って。これは私の持論でしかないので批判を受けるかもしれないが介護職に理想を抱いてはいけないと思っている。抱けばいつか現実に押し潰されてしまう。大切な事は先ずはしっかりと現実を知り、その中で私達が何をできるか？を探す事だと思う。冒頭で介護が分からないと言った。分からないから悩むし、今も考えるのだと思う。ただ感じたのはその歳になってみないと分からない事もあるという事だ。歳を取るにつれ分かってきた事もある。お世話をしているつもりが逆に利用者様に教えられた事が沢山ある。仕事を通して人生を学ぶ…。もしかして介護とはそのようなものなのかも知れない。