繋がっていく
ご利用者様とお話をしているとご家族との思い出を聞く機会が多々ある
お掃除のときなど家族とお会いすると、あの娘さん、息子さん、お孫さんだろうかと、勝手に身近になっている
更に、ご家族にお時間がありお話しさせていただくと、ご利用者様だけでなくご家族様も話の中だけでなく、実在するとても近い人になる
H様はカルチャースクールで英語の勉強をされ、それが長じて子どもさんたちをお義母様に預けカナダへ短期留学された
お風呂に入りながら毎回
「小さな子どもを面倒みてくれたお義母様はとても優しく、お世話になったのよ」
とH様も優しい表情でお話しされる
小さかった子どもさんたちはその時どんな気持ちだったんだろう、お母様が留学されることが誇らしかったのか、寂しかったのか、ときどきH様と二人で子どもさんの話しをしていた
ある日、普段は遠方に住まわれている息子さんが帰省され、入浴のお声掛けに伺った際、H様のお部屋におられた
お風呂の準備をしながら留学のお話をすると、息子さんはちょっとびっくりした顔で言われた
「母が留学したのは僕たちがだいぶ大きくなってからですよ」
そうだったかしら、とH様も笑っておられる
S様は昔の東京オリンピックが開催された頃、東京に住んでおられた
前回のオリンピックは観戦チケットがどの競技も取れず、我が家も本当はゴルフを観戦したかったのにチケットが取れなかった、そもそもコロナで無観客になってしまいましたが、とお話ししていた
S様に何か観戦されましたか?と伺うと
「昔もチケットがなかなか取れず、道で観戦できる競技を観た記憶があるけど、何だったか忘れたわ」
競技よりも、九州の親戚、知人が東京のS様の家を宿にしてたくさん上京したことの方が思い出深く、それ以降は親戚や知人のお話しになっていた
そんなお話を聞いたのち、S様の娘さんとお会いした
例によって東京オリンピックのお話をすると
「確か競技場で槍投げを観た気がする」
母はそんなことを話してるんですね、と話されてる娘さんも東京オリンピックの頃を思い出されている
何が事実かなんて関係なく、皆さんそれぞれの思い出があり、それをそれぞれから聞けることが嬉しい
ご利用者様を中心として広がる輪、繋がる思い出
その輪に加われる幸せ