たーくん、アイドルになる-岡崎さんちのダブルケア(12)

認知症のお父さんと、まだ幼い長男たー君を抱えたライターの岡崎杏里さんは、育児と介護を同時進行で行う、まさに「ダブルケア」の当事者です。

育児も介護も大変な状況がクローズアップされがちですが、幼い孫と認知症のじいちゃんが織りなす日々は、意外にも笑える場面が多かった!岡崎さんちの日常をお届けします。


「ダブルケア」から「トリプルケア」となった岡崎家。父さんは高齢者施設に入居することになりました。面会に通うたーくんを待ちわびていたのは父さん(たーくんにとってはじいちゃん)だけではなく……?

   
前回書いた通り、体調を崩してしまった母さん。

ですが、父さんの通院には付き添い続けていました。すると、父さんの主治医が父さんよりも母さんの衰弱ぶりに驚き、自身が理事長を務める介護老人保健施設(以下、老健)(※)に、父さんを緊急で入居させてくれることに。 

これにより、老健に入居した父さんのもとに、週末になるとたー君と面会へ出かける日々が始まりました。 

私が「父さん、面会に来たよ!」と言っても、「おう!」と、そっけない顔をする父さんですが、横からひょっこりたー君が顔を出すと「おうおう!」と、たちまち笑顔になります。

この笑顔のために、汗だくになりながらも自転車の後ろに息子を乗せて、山あり谷あり片道20分の道のりを力の限り急ぐのです。 

ところが、面会に来て5分もすると、父さんは「じゃ、オレ昼寝するから」とデイルームから部屋に戻り、ベッドに入ってしまうというツンデレぶり。仕方がないので、帰ろうとすると…。 

リビングにいたおばあちゃまたちから「ボク、どこから来たの?」「かわいいね~」「こっちにも来てよ!」とたーくんにお声がかかったのです。 

「おばあちゃんと一緒にテレビを見よう」「手を握っておくれよ」などなど、おばあちゃま達に大人気のたー君。はじめは戸惑っていましたが、何回か通っているうちに慣れてきたようで、「こんにちは~」などと、自ら笑顔を振りまき、声を掛けに行くまでに。 

実はたー君は某男性アイドルに憧れていて、コンサートで乙女にキャーキャー言われている彼らの姿と、老健の乙女たちに大人気な自分を重ねているのかもしれません(汗)。 

週末はずっと面会に行ってばかりで、どこにも遊びに連れていけず母は申し訳なく思っているのですが、意外と息子のお気に入りの場所になっているのかも? 嫌な顔ひとつせず、じいちゃんのもとに付いてきてくれるたー君は、ある意味じいちゃん孝行な孫なのかもしれません。 

※介護老人保健施設…医療法人などが運営し、要介護状態の人が再び在宅で生活できることを前提に、一時的に入居できる施設

漫画/栗生ゑゐこ

茨城県つくば市出身。池袋の近くと横浜市の内陸部を経て、つくば市在住。書籍編集・ライティング→IT関連企業を経て、2009年よりフリーランスのイラストレーターとして活動中。
書籍・雑誌・WEB・広告などの媒体をメインにイラストを提供しています。著書に「赤子しぐさ」「赤ちゃんのしぐさ」(共著)があります。

岡崎杏里
岡崎杏里 ライター&エッセイスト

ダブルケアラー(介護と育児など複数のケアをする人)として、介護に関する記事やエッセイの執筆などを行っている。2013年に長男を出産。ホームヘルパー2級。著書に23歳から若年性認知症の父親の介護、ガンを患った母親の看病の日々を綴った『笑う介護。』や『みんなの認知症』(共に、漫画:松本ぷりっつ、成美堂出版)などがある。

ブログ続・『笑う介護』 岡崎杏里さんの記事をもっとみる

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