同居だけが親孝行ですか?老人ホームと家族のカタチ

お母様の老人ホーム入居について話し合おうとすると喧嘩になってしまうシマダさん姉妹。「老人ホームに入れるなんて、家族に愛情がない!」と嘆く妹のトワコさんの言葉を受け、姉のエイコさんが向かったのはらいする老人ホーム紹介センターでした。

登場人物
ノスゲ
ノスゲ らいする老人ホーム紹介センターの所長。対応してきた老人ホーム相談件数は数知れず。「相談者が絶対に満足する」入居先をご提案する、伝説の老人ホーム入居相談員。
コミヤ
コミヤ 異業種から、らいする老人ホーム紹介センターに転職してきたばかりの新人。介護の世界に興味津々。

老人ホームに入居後、「あれ…?」と思いがちなポイントは?

コミヤ
コミヤ

シマダさんのお母様、無事に入居先が決まってよかったです。「老人ホームはすべてがご自宅と同じわけではない」ことを理解した上で、お母様がなるべく暮らしやすいホームを選ばれていましたね。

ノスゲ
ノスゲ

そうですね。「老人ホームさえ入ってしまえば…」と考える方も多いのですが、やはりご自宅とは異なる生活に最初は戸惑われる方も多いです。

ギャップを感じる主なポイントをご紹介しましょう。

(1)生活リズム
基本的に施設のスケジュールに合わせた生活を送ることに。起床、体操、食事、入浴、お茶、レクリエーション、就寝など、日常生活のリズムを施設のスケジュールに従って過ごします。
(2)外出
付き添いがないと外出ができない方は、外出できるタイミングなどが制限されます。
(3)入浴
入浴は週に2回が一般的です。ただし、安全面に問題がなければ自由に入浴できる施設もあります。
(4)食事や嗜好品
・健康状態によっては、お酒やタバコなどの嗜好品が制限されます。一部の施設では条件付きで許可されることも。
・健康上の理由から、塩分や糖質に制限が必要な場合は制限食にて対応します。また、面会時の差し入れは控えていただく場合があります。
(5)居室
居室は通常、18㎡程度のワンルームとなっています。必要最小限の荷物しか入居時には持ち込めません。
ノスゲ
ノスゲ

あと、一番自宅と異なるのは「他の入居者の存在」でしょう。時に性格や価値観の合わない方とも共同生活をしなければなりません。

コミヤ
コミヤ

ギャップといえば、入居した先が、介護度が重い方ばかりで交流できず孤独を感じる、という方もいらっしゃいました。あらかじめ入居している方の平均介護度も調べておくといいですよね。フロアによって介護度や認知症の有無を分けている施設もあります。

「外出も柔軟に対応してくれる、人員配置の手厚い施設」とは?

コミヤ
コミヤ

そんな中、シマダさんはやはり外出を諦めたくないと、人員配置が手厚い施設を希望されました。そもそも人員配置って何でしょうか?

ノスゲ
ノスゲ

介護施設は、入居者に必要なケアを提供できるように介護職員や看護師の最低人数が決められています。特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームでは、入居者三名に対しスタッフ一名を配置する「3:1」が法令基準です。一般的に、この法令基準を上回る人員配置の施設を「手厚い施設」と呼んでいます。

コミヤ
コミヤ

スタッフが多いと、それだけ気持ちや時間にゆとりが生まれますもんね。希望があれば近所の公園まで散歩したり、コンビニやスーパーへ買い物に行ったりできる施設もあるんですよね。

ノスゲ
ノスゲ

そうです。ただし、希望すればいつでも外出できるわけではありません。「個別ケアに力を入れています」という施設であっても、対応できるのは余剰人員がいた場合に限ります。また、散歩の付き添いなどを「有料オプション」として提供している介護施設もあります。

コミヤ
コミヤ

この場合も、人員にゆとりがないと実施できない場合があるので、見学をした時に実情を確認しなきゃですね。

意外にある!老人ホーム入居後の家族の役割

コミヤ
コミヤ

「老人ホームに入居してもご家族の縁がきれるわけではない」というノスゲさんの言葉にジーンときました。この仕事に就いてびっくりしたんですが、入居してもご家族が関わることは意外と多いんですね。

ノスゲ
ノスゲ

そうなんです。老人ホームに入居した後でも、家族は重要な役割を果たしますね。特に最初の頃は、ご本人の気持ちも不安定で、自宅から環境も大きく変わりますから、家族が面会に来て不安を軽くしてあげることが重要です。

コミヤ
コミヤ

スタッフや他の入居者とも初対面で、ゼロから人間関係を築かなきゃいけないし、心身にもストレスがかかりますよね…。

ノスゲ
ノスゲ

施設に不満を言えない方も多いんです。ご家族がいると話せることもあるので、家族は本人の代弁者として、施設に要望を伝える「橋渡しの役割」もあります。

コミヤ
コミヤ

施設からも、さまざまなタイミングでご家族には連絡がありますよね。

ノスゲ
ノスゲ

はい、ざっとまとめてみるとこんな時にご家族への連絡が入ります。

(1)ケガや体調不良、入院など緊急時
(2)サービス担当者会議の開催
サービス担当者会議とは、ケアマネジャーをはじめとする専門職が一堂に会しケアプランについて相談する場です。
(3)運営懇談会の開催
運営懇談会とは、半年または年1回程度開催される施設運営の共有会で、入居者・家族・事業者が一体となり、質の高い住まいづくりを目指す会合です。本人・家族の出席は任意ですが、意見を直接運営側に伝えられる場です。また、家族間のコミュニケーションの場にもなっています。
(4)金銭に関する相談
買い物代行の際に、本人が大きな金額の買い物がしたいと希望があったとき。トラブル防止のため家族に確認を入れるときがあります。
コミヤ
コミヤ

入居時に、ホームがどんな連絡手段をとっているか、頻度や連絡の内容などを聞いておいた方が良さそうですね。

監修
LIFULL 介護編集長 小菅秀樹
LIFULL 介護編集長 小菅秀樹 老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。
マサまさる
マサまさる 漫画家

横浜市出身。主な著作として聖徳太子の伝説をギャグにした四コマ『かみびと太子!』、輪廻転生をテーマにしたBL『さつき待つ』など。コスメと飛鳥時代が好き。

Twitter@masa5masaru マサまさるさんの記事をもっとみる

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