東京都が若手介護職員に月額2万円を支給、介護人材不足への東京都の対策とは

東京都は2024年1月、都内で働く全ての介護職員とケアマネジャーに対し、独自に月1〜2万円の給付を行う方針であることを明らかにしました。特に給与水準が低い勤続年数が5年以内の介護職員には月額2万円を、6年目以降の介護職員と全てのケアマネジャーに月額1万円を支給します。

厚生労働省が2024年2月から介護職員1人あたり月6000円の賃上げを実施しますが、それとは別に東京都独自の介護職支援策として実施するとのことです。東京都は他地域と比較し、住宅費など生活コストが大きいため、支援をより手厚くすることで介護職員の不足に対応する考えです。

深刻な介護人材不足、東京都の場合

介護人材の需要と供給のギャップは全国的な課題となっており、東京都も例外ではありません。平成29年に東京都が推計した結果では、2025年には約3万5千人の不足が見込まれています。また、東京都の介護関連職種の有効求人倍率7.15倍となっており、全職業の1.8倍を大きく上回っていることからも、介護人材不足の深刻さがわかります。

介護DX、再就業支援など、東京都の介護人材確保の取り組み

東京都では、介護職員の離職理由に関する調査を行っており、それによると最も多いのは「ライフイベントや体調不良等の職員の個人的な事情」でした。次いで「体力面での負担」が上がっています。調査結果からは、子供が生まれても安心して働ける、また体力面の負荷が大きくなりすぎないといった、安心して働き続けられる職場の整備が、介護人材不足への対策として有効だとわかりました。

そこで東京都では介護施設内に設置された保育施設の運営費の助成を行い、さらに介護職員の再就業の支援として最大で40万円を貸付し、都内で介護職として2年間継続して働けば全額免除するといった支援を行っています。

また、介護DXの促進策として、介護保険サービスの事業所に対し、ネットワーク機器やクラウドサービス、タブレットなどの端末の購入経費や、ICT活用のコンサルティング経費を補助する施策も行っています。

LIFULL 介護編集長 小菅のコメント

介護人材不足は、国全体にとって喫緊の課題となっています。人材が不足している理由の一つとして、他職種との賃金格差があります。2012年の調査では、介護職員と全産業の間に約9.5万円の賃金格差がありました。しかし、2020年には全産業の平均賃金が下降傾向にある中で、介護職員の賃金は29.3万円となり、賃金格差は5.9万円まで縮小しています。これは、介護職員の処遇改善を継続的に行ってきた結果と言えるでしょう。

しかし、介護業界は保険事業という性質上、給与の大幅な上昇は難しいという課題があります。そのため、賃金を上げている会社は、人材獲得コストを抑えるために人材紹介サービスを使わずSNS採用に切り替えるなどの工夫をしています。また、介護現場にICT機器等を積極導入し、少ない介護スタッフでサービス品質を維持できるように効率化を図っています。このように、介護人材の処遇改善は賃金の増額だけではなく、労働環境全体の質の向上という形で進めることで、人材の定着率も高まると思われます。

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情報出典元

東京都福祉局

編集長プロフィール
小菅秀樹
小菅秀樹 老人ホーム、介護施設の入居相談員や入居相談コールセンターの管理者を経て現職に就任。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、さまざまなアプローチで介護関連の情報を発信しています。

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