公益財団法人日本対がん協会が、全国のがん診療連携拠点病院における認知症のがん患者対応について調査を行い、その結果を公表しました。調査結果から、ほぼ全施設で認知症のがん患者の対応に苦慮しており、認知症対策には多くの課題があることが明らかになりました。超高齢社会を迎え、認知症のがん患者が増えている現状と、その対応についての課題を詳しく見ていきましょう。
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超高齢社会を迎え、認知症のがん患者が増えています。2021年の人口動態統計では、全悪性新生物(がん)死亡数のうち65歳以上が88%を占めています。また、別の調査では、日本人の65歳以上の認知症の推定有病率は2012年時点で15%で、患者数は約462万人と推計されており、2025年には約650万~約700万人に達すると見込まれています。
認知症のがん患者への対応で困ったこととして最も挙げられたのは「本人が治療について判断できない」でした。
次いで「入院中のリハビリを拒否する」、「大腸がん手術後の在宅でのストーマケアの支援者がいない」、「在宅での抗がん剤服薬の管理の支援者がいない」、「在宅での抗がん剤や分子標的薬による手足症候群をケアする家族がいない」などが挙げられました。
治療やリハビリに支障をきたす、退院後のケアを頼める人がいないなど、治療方針での困りごとが多いようです。
調査は2023年4~6月に、全国のがん診療連携拠点病院(451施設・2022年度)に対して行われました。256施設から回答を得て、有効回答率は57%でした。調査結果からは、入院前後や退院後の認知症スクリーニングテストを実施していた施設は3.5~22.1%にとどまりました。
調査結果からは、認知症のがん患者への対応には多くの課題があることが明らかになりました。具体的には、認知症のスクリーニングテストの実施率の低さ、退院後のチェック体制の不備、認知症患者への情報収集体制の不足などが指摘されています。
しかし、認知症患者への適切な対応を進めるための対策も見えてきました。高齢者とのコミュニケーション技術や脆弱な患者への支援方法を学ぶ機会を設けること、認知症患者の退院支援や手続きを定期的に見直す体制を整備することなどが挙げられます。
これらの対策を進めることで、認知症のがん患者への適切な対応が可能となり、患者のQOL(生活の質)の向上につながると期待されます。
認知症をもつ方の中には病気の自覚がなく、また痛みや不快感を言葉で伝えることが難しい人もいます。そのため、病気の早期発見につながるように家族や周囲の人たちが小さな変化に気付き、早期に専門家の意見を求めることが重要です。また、医療や介護の専門職との連携しながら、日常生活のサポートを行うことが求められます。ここで、「地域包括ケアシステム」の役割が重要となります。
地域包括ケアシステムは、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体となった体制を指し、認知症の方々が地域で暮らし続けられるよう支援します。これにより、専門職だけでなく、地域住民も患者のサポートに関わることができ、認知症の方々が社会の一員として受け入れられやすくなります。
認知症の方が病気と向き合い、可能な限り自立した生活を続けるためには、家族や専門職だけでなく、地域社会全体の支援が不可欠です。このような包括的なアプローチが、認知症の方々にとっての最大の支えになるのかもしれません。
公益財団法人 日本対がん協会「認知症のがん患者対応に苦慮」課題が浮き彫りに
公益財団法人日本対がん協会 がん診療連携拠点病院における認知症整備体制に関する全国実態調査
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