サービス付き高齢者向け住宅のコロナ対策と、家族ができること

先日、編集部のK山がコロナ禍の中の在宅介護についての記事をUPしました。

その内容に引き続き、施設内ではどのようなことが起こっているのかをサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で働いている母へ聞いてみました。

サービス付き高齢者向け住宅とは

今回のtayoriniなる人
ぐっち
ぐっち LIFULL介護でカスタマーの電話対応などを行っている。tayorini編集部にも顔を出している。
母(M子)
母(M子) 介護歴15年。介護の現場が大好きな仕事人間。何よりも入居者のことが大好きで、お酒に酔うと入居者との楽しかったことばかりを話す。

訪問介護、デイサービスの所長、特養を経てサービス付き高齢者向け住宅で勤務している。

取材日:2020年5月17日(加筆2020年6月22日)


 

サービス付き高齢者向け住宅のサービス内容に影響は?

ぐっち
ぐっち

新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出てから、影響って出てる?

母(M子)
母(M子)

対策はとるようにしていて、介護スタッフがサービスに入る場合は必ず窓をあけて、入る前と入ったあとは必ず消毒とうがいを徹底してる。施設のなかは1日3回、午前・午後・夜間と手すりや各お部屋のドアノブの消毒、加湿器の稼働、次亜塩素酸での空間除菌をして感染予防に努めている。

やっぱりスタッフが感染したらいけないって一番気を使っていると思う。

ぐっち
ぐっち

その消毒とかは、今までの業務にプラスアルファをしているってことだよね。

母(M子)
母(M子)

そうだね、だから一番コロナ対策で大変に感じているところはそこかもしれない。

あとは、よく入居者さんが通院に関して心配していることが多いかな。薬をもらいに行きたいけど、どうしよう。とか。

ぐっち
ぐっち

私も通院してコロナにかかってしまったらと思うと心配だな…。

母(M子)
母(M子)

そういうときは、サービス管理責任者(生活相談員)が相談に乗ってくれるから安心してほしいな。ニュースとかでよく聞く、受診はせずに薬だけもらってくるという方法をされている方もいらっしゃるよ。

ぐっち
ぐっち

そんな相談もちゃんと乗ってくれるんだね!!
ちなみに、緊急事態宣言は解除されたけど、そういった対応はずっと続けていく方針なのかな。

母(M子)
母(M子)

今のところはやめるってことはないと思う。

ぐっち
ぐっち

じゃあ感染リスクと戦いながら、入居者のサポートも引き続き行っていくんだね。

お散歩とかならOK?意外とサービス付き高齢者住宅は自由!?

ぐっち
ぐっち

いまってコロナで大変だと思うけど、面会とかってどうなってるの?

母(M子)
母(M子)

サービス付き高齢者向け住宅は介護施設ではなくて“住宅”だから面会自粛として家族にお願いしてるよ。

ぐっち
ぐっち

面会禁止にはしていないんだ!面会自粛にするって言っても面会したい人や緊急時には面会しているのかな?

母(M子)
母(M子)

うん!基本はみなさん協力的だから、緊急事態宣言後は宣言前に比べて面会する人は1割ほどに減っていたかな。

今(6月22日時点)も自粛は継続してお願いしているけど、緊急事態宣言前の2割~3割ぐらいになってきたよ。面会時にもマスク着用と、検温、消毒などは必須にしていて、面会自体も長くならないように協力してもらってる。

ぐっち
ぐっち

デイサービスに今まで通っていた人は?

母(M子)
母(M子)

緊急事態宣言中はできるだけ休んでもらうようにお願いしていたよ。デイサービスに行って入浴介助をしていただいていた方もいるから、そういう方はケアプランを追加して対応してるかな。

ぐっち
ぐっち

面会自粛だと、外出も自粛してもらっていると思うんだけどストレスとかはないのか心配…。

母(M子)
母(M子)

うちは介護施設ではなくて“住宅”だから、元気な人ならちょっとしたお散歩ならマスクをつけて行っている人もいるよ。近くのコンビニとかも買い物同行で一緒に行ったりね。

ぐっち
ぐっち

ええ!?意外と自由なんだね!!!

母(M子)
母(M子)

まあ、いまのホームは周りが住宅街で人通りもすくないからできていることもあると思うよ。

ぐっち
ぐっち

そうか、そのホームの周辺環境にもよるよね。

母(M子)
母(M子)

うん、だから今勤めているところだと、そこまで入居者さんの生活の仕方は実は大きく変わっていないかな。やはりテレビとか見ていたりするから、コロナ感染の心配はするし、さっき伝えたような通院に対する不安とかもやっぱりでてきてしまうけどね。

ぐっち
ぐっち

お元気な人はお散歩くらいならできるってことだけど、お散歩に行けない人はどうしてるの?

母(M子)
母(M子)

もともと外出などができない方に関しては、3時のおやつがなくなったのが大きな変化だね。

ぐっち
ぐっち

3時のおやつを中止しているってこと?

母(M子)
母(M子)

そうだね。緊急事態宣言前は3時のおやつの時間があって、みなさんに声掛けして食堂に集まってもらっていたけど大人数が集まるのが心配、という声があったので中止にしてる。

ほかの時間は自室で過ごしたり、食堂や共有スペースなどにきてテレビなどを見たりしてるよ。

ぐっち
ぐっち

緊急事態宣言中は、入居者さんの楽しみがすこし減っていたんだね。

母(M子)
母(M子)

そうだね、それはデイサービスのお休み同様、少し我慢していただいて、その分できるだけスタッフから声かけてお話するようにしていたよ。

ぐっち
ぐっち

スタッフさんも気遣ってくれてるんだね。

母(M子)
母(M子)

できるだけ穏やかにすごしてほしいからね。

あと家族から食事の時間をずらしてほしいという要望があって、今まで食事の時間になったら館内放送で一斉にお知らせをして集まっていただいたの。でも、緊急事態宣言中は食事の時間になったらそれぞれのお部屋に声掛けをして、食堂まで来ていただくようにしてた。そうすると同じ時間に大人数で食事を取らなくてよくなるからね。

ぐっち
ぐっち

家族からの要望にちゃんと答えつつ、対応してたんだね!

意外と自由なサービス付き高齢者向け住宅の緊急時の対応は?

ぐっち
ぐっち

高熱が出たり、入院ってなったらどうするの?

母(M子)
母(M子)

介護施設だと施設側が基本対応をすることになると思うけど、サ高住は「基本は自分で呼んでもらう」ことになってるよ。

ぐっち
ぐっち

自分で呼ぶ方式なんだね!?

母(M子)
母(M子)

うん、あとは入居者さんご本人から頼まれた場合は、一度ご家族に救急車を呼んでいいかの確認をしてから呼ぶようにしてる。緊急時は、こちら側で先に呼んでしまうことも、もちろんあるけどね。

ぐっち
ぐっち

自分で呼べない場合ってある気がする。倒れてしまって、気づけないとかはないの?

母(M子)
母(M子)

うちは共用部分の定期巡回があるから、希望の人にはそのときにお部屋に伺うようにしてる。あと発見するのが多いのは安否確認をする時だね。入居者さん同士の付き合いがあるから、そこからの連絡もあったりする!

ぐっち
ぐっち

入居者さん同士の付き合いすごい!!

母(M子)
母(M子)

ね、本当に大切かもしれない。そこからはサービス提供責任者に連絡、二人対応でバイタル計測、意識レベルの確認など…、いろいろ大忙しで対応する。

ぐっち
ぐっち

頼りになる!そこはスタッフさんもプロだから、迅速に対応していくんだね。

コロナ自粛明けのサ高住生活のすすめ

ぐっち
ぐっち

やっぱり施設の中にいる時間が長いと、入居者さん同士でコミュニケーションとったりしてることが多い?

母(M子)
母(M子)

サ高住で自由に過ごしたい人が多いから、そこまで積極的にコミュニケーションを取りましょう!というわけではないけどやっぱりコミュニティはできてくるね。

ぐっち
ぐっち

どうやったら入居者さん同士で仲良くなれるのかな。

母(M子)
母(M子)

入居初日は職員が間に入って皆さんに「今日から入居されましたのでよろしくおねがいします」って紹介したりするね!やっぱりご飯を食べているときに仲良くなったり、テレビの話題について話したりしていることが多いね。

ぐっち
ぐっち

職員が間に入ってもらえるのは安心だね!食べるときの席って自由?

母(M子)
母(M子)

大体決まっているけど、やっぱり人間同士だから相性もあるし合わなそうなら席移動もしていただいたりしているよ。

ぐっち
ぐっち

人間関係の部分も見ながら調整しているんだね、すごい!

母(M子)
母(M子)

さっきも伝えたけど、コロナウイルスの影響でみんなが集まったりする時間がなくなってきているのが現状だから、コミュニケーションの機会も少なくなってきてる。

ぐっち
ぐっち

コロナの緊急自粛宣言は解除されたけど、施設の中は引き続き面会自粛などをしているんだもんね。コロナが明けてもしばらくはこの状況が続くと思うけど…

母(M子)
母(M子)

うん、デイサービスもできるだけ通わないようにお願いしているから、一人で出来る趣味を自分でされている方が意外と多いよ!

ぐっち
ぐっち

そうなんだ!どんなことをしている人が多い?

母(M子)
母(M子)

手先が器用な人なら編み物や、おりがみとかは聞くかな。読書している人も多いね。

ぐっち
ぐっち

入居者さん同士で関わり合う時間がない分、一人で楽しめる趣味があると良いんだね!これは新しい生活様式の一つになっていきそうだね。

母(M子)
母(M子)

入居者さんのご家族は面会にはなかなか来られないと思うから、入居者さんの趣味が楽しめるようなサポートしたり(編み物セットを送ったり、新しい本を送ってあげる)すると喜んでもらえるんじゃないかな。

ぐっち
ぐっち

それ、すごくいいね!これはサ高住に住んでいる人だけに限らず、ご両親や祖父母と離れて暮らしている方にもいいかも!

母(M子)
母(M子)

やっぱり会えなくても家族からのサポートがあるだけでも喜んでもらえると思う!

ぐっち
ぐっち

そうだよね!…お母さん、なにか困ったらいつでも私に言ってね…!

母(M子)
母(M子)

まだまだ元気だから大丈夫よ!(笑)

緊急事態宣言が解除された今も、現場では感染リスクを抑えるために一生懸命対応されています。今、施設へ入居されている家族への面会が難しい方も、ちょっとしたサポートで繋がりを感じることが出来るかもしれません。

イラスト/カワグチマサミ

大阪在住のイラストレーター。
1984年生まれ。2012年に男の子を出産。今は育児をしながら
「家族」や「働き方」をテーマにしたエッセイ漫画を描いている。
趣味はゲームと家事時短研究。

著書
主婦の友社『新米かーちゃんがテケトー料理をはじめたら、どエライことになりました。』
高橋書店『ゼロからわかる お金のきほん』

連載
ヤマサ『昆布つゆ子さんとの日々』
竹書房『本当にあった愉快な話』

著者・編集:tayorini編集部

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