老人ホームには、介護が必要になってから住み替えるものもあれば、お元気な高齢者が安心や安全を求めて住み替えるものもあります。LIFULL 介護で掲載している「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」の中にも、お元気なうちの住み替え先の候補となる住宅、施設が多数あります。
しかし、自分にあった住み替え先の居住形態について整理できていなかったり、そもそも住み替えをするタイミングのイメージができていないという人も多いのではないでしょうか。そこで、高齢期に向けた住み替えを検討する際の参考になればと思い、60歳以上の方を対象に、現在の住まいに住み続けることでの不安や、住み替えの希望についてたずねるアンケート調査を行いました。
新しい住居への住み替えの検討度を聞いたところ、「住み替えたくない」が56.0%と半数以上が住み替えの意向がないと回答しました。また、住み替えるタイミングとして「病気や要介護状態になってから考えたい」と回答した人は20.9%、「いつかは元気なうちに住み替えたい」と回答した人は18.7%と2割以下にとどまりました。元気なうちの高齢期の住み替えを検討するのは、まだ少数派の行動と言えそうです。
現在の住まいに住み続けるうえでの不安があるかどうか伺ったところ、全体の52.4%が不安があると回答しました。不安の内訳は「階段をのぼることが面倒」「家や庭の管理・清掃が行き届かない」が共に33.4%と最多でした。
また、住居の問題とは別に、現在の暮らしを続けるうえでの不安があるかたずねたところ、
不安があると全体の51.1%の人が回答していました。不安の内容として最も多かったのは「車が手放せない」(46.3%)でした。次いで「食事作りが面倒だ」(34.9%)「洗濯や掃除など家事が面倒だ」(30.1%)が挙げられていました。
車を不要にする暮らしや、階段のない暮らしは住み替えをしないと解決が難しい事項です。住み替えの意向は2割にとどまりましたが、住まいや暮らしの不安から考えれば、住み替えを選ぶ人が今後増える可能性もありそうです。
もし住み替え先を選ぶなら、重視するポイントを聞いたところ、最も多かったのは「介護サービスを受けられる」(29.2%)、次いで「何かあれば助けを呼べる」(25.3%)と、安心や安全を重視する回答が上位に来ました。
住み替え意向のある人に絞って、住み替える場合に好ましい住居形態を聞いたところ、「サービス付き高齢者向け住宅」が27.6%と人気を集めました。サービス付き高齢者住宅は、自宅と変わらない暮らしを送りながら、安否確認や生活相談サービス、さらに介護サービスが受けられる住宅です。多くの人が前項で住み替えの際に重視したいと回答していた「介護サービスが受けられる」「何かあったときに助けを呼べる」が叶えられる施設種別で、人気の理由も納得できます。
しかし、最も多い回答は「わからない」(33.8%)となりました。住居形態の種類が数多くあることから、それぞれの違いが分からない、また具体的にイメージができない人が多いことが推測されます。
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子どもが独立し夫婦二人暮らしになると、広かった家の管理が大変で、住み替えを検討するタイミングになります。足腰が衰えると階段の昇降や庭の手入れも負担になるため、使い勝手の良いコンパクトな住空間が住み替え先の候補にあがります。調査では56%もの人が「住み替えたくない」と回答していますが、現在の住まいが自分が高齢になっても不安なく過ごせるところであるかは確認しておくと良いでしょう。
実際に病気や要介護状態になってからの住み替えは多くの労力を要します。高齢期の住み替えについてイメージを持たれていない方も多いかもしれませんが、身体が元気なうちにぜひ情報収集を行い、住み替えの検討をすることがおすすめです。
有料老人ホームをはじめ、今や高齢者向けの住宅は10種類以上にのぼります。高齢期に住み替えを検討する際は、「介護サービスを利用できるか」「最期まで住み続けられるか」をよく確認しましょう。ここを曖昧にしておくと、要介護状態が進行した際に「これ以上の対応はできません」と、住み替えを促されることもあるからです。
長寿高齢化により、誰もが介護を視野に入れた生活を考える必要があります。家族や周囲のサポートを得ながら、安心して暮らせる環境を整えていくことが大切です。
▼調査概要
調査主体:株式会社LIFULL senior
調査期間:2024年5月15日〜5月16日
調査対象:60歳以上の男女989名
調査方法:インターネット調査
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
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