ケアマネジャーが代行する入居相談、自宅で独居の方を対象とするものが最多

ケアマネジャーとは、要介護認定を受けた人が適切な介護サービスが利用できるよう「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成するなど、介護を受ける方の総合的な支援を行う専門職です。

ケアマネジャーの業務はケアプラン作成以外にも多岐に渡っており、過剰な業務負荷が課題となっています。

介護施設への入居支援や相談対応も、負担の大きな業務の一つです。LIFULL 介護が2023年に実施した、介護施設探しに関するアンケート調査によれば、半数以上の方がケアマネジャーに介護施設について相談していることが分かりました。

2024/05/28

介護施設探しに利用した手段、インターネット検索はわずか3割

地域の介護施設の正確な情報収集や空室確認は、負担が大きい業務です。これにとどまらず、施設の選定や入居手続きまで引き受けるケースもあるようです。個別の状況により異なりますが、そこにはケアマネジャーが本来担わなくてもいい業務、「シャドーワーク」が含まれる場合もあります。

そこで今回は、LIFULL 介護に寄せられたお問い合わせや入居相談のうち、ケアマネジャーがご家族、ご本人に代わって行っているご相談を集計し、ケアマネジャーが施設探しに関わるケースの傾向について調査しました。

ケアマネジャーが入居支援に関わるケース、最多は「入居対象者が自宅で独居」

上記のグラフは、ケアマネジャーからの問い合わせ、ご相談について「入居対象者の居住地」を集計したものです。ケアマネジャーから寄せられるお問い合わせは、自宅で独居状態の対象者についての相談が最も多いことがわかりました。やはりご家族など、他に施設入居支援の役割を担える人がいない場合に、ケアマネジャーが代わりに施設探しをせざるを得ないことがわかります。

ケアマネジャーが関わっている入居相談は「なるべく早く入居したい」が最多。「3ヶ月以内に入居したい」も14%

続いて希望の入居時期の傾向をまとめたところ、「できるだけ早く」が31.5%と最多でした。対象者の多くが「独居」だった前項のデータと合わせると、一人暮らしでご本人以外に施設入居について判断や調整を行う方がいない場合、限界を迎えるまでご自宅で暮らしている場合が多いと推察されます。緊急性が高まったタイミングで、ケアマネジャーが介護施設の入居のサポートを実施するようです。

また、次いで多かったのが「未定」でした。これはケアマネジャーが在宅介護の限界を見据えて、ご家族やご本人に前もって介護施設の提案を行うための相談が多いと推測されます。

ケアマネジャーからの入居相談、要介護度のボリュームゾーンは「要介護1、2」

入居対象者の要介護度を集計したところ、要介護1、2がそれぞれ20%を超えて上位となっていました。

要介護3以上であれば公的な介護施設が利用できます。しかし、要介護3に満たなくても、施設入居の緊急度が高まり、ケアマネジャーが施設探しを支援することは多いようです。

参考:要介護認定区分

要支援1 日常生活の基本的な動作をほとんど自分で行えますが、掃除など一部の家事を一人で行うのは困難な状態
要支援2 日常生活の基本的な動作をほとんど自分で行えますが、入浴時に背中が洗えない、浴槽をまたげないなどの能力低下が見られる状態
要介護1 起立や歩行が不安定で排せつ時のズボンの上げ下げ、入浴時や着替えなど日常生活において部分的に介護が必要な状態
要介護2 起立や歩行が自力で行えないことが多く、見守りがあれば着替えはできるが、排せつや入浴など、日常生活全般の一部もしくは全部において介護が必要な状態
要介護3 自力での起立や歩行が困難で、排せつ、入浴、着替えなどの日常生活全般において介護が必要。認知症の症状も認められ、日常生活に支障がある状態
要介護4 自力での起立や歩行がほとんどできず、排せつ、入浴、着替えなどの日常生活全般において介護が必要。理解力の低下が見られ、意思疎通もやや難しい状態
要介護5 寝たきりの状態で、食事やオムツ交換、寝返りなどの介助が必要です。理解力の低下が進み、意思疎通は困難な状態
関連サイト

要支援と要介護の違い

業界最大級の老人ホーム検索サイト | LIFULL介護

LIFULL 介護 編集長小菅のコメント

今年3月におこなわれた日本介護経営学会で、厚労省老健局の局長が「ケアマネジャーのシャドーワークが多い」と指摘しメディアでも取り上げられました。シャドーワークとは、報酬のないボランティア業務のことです。要介護者本人や離れて暮らす家族からの依頼で、その内容は電球の交換、買い物代行、公共料金の支払い、退院時の付き添いなど多岐に渡ります。本来はやる必要のない事ですが、他にできる人がいないなど頼み込まれ、しぶしぶ対応しているケースが大半です。ケアマネジャーは常時35〜40名ほどの利用者を担当しているため、こうした依頼が相次ぐと本来の業務に支障をきたします。

介護施設への入居支援も、状況によっては「シャドーワーク」となり得ます。業務の一環として担うにも、利用者の身体状態で入居できるのか、空室はあるかなど多数の事柄を、老人ホームに一件ずつ電話して確認を取らねばならず大きな負担になっています。また、高齢のご家族だけで心もとない場合は見学に同行したり、契約に立ち会ったりするケースもあります。老人ホーム探しには相当な時間が掛かり、ケアマネジャーの業務負担になっていることは事実でしょう。

そもそもケアマネジャーは、介護家族の相談や支援を業務とするものの、介護施設の専門家ではありません。また、担当地域の介護施設には詳しい場合もありますが、地域外の情報に通じている方は少ないのではないでしょうか。

そこで「LIFULL介護」の入居相談室をご活用いただきたいと思います。入居相談室には、高齢者住まいアドバイザー資格を持つ専任の相談員が在籍しています。相談員はそれぞれの介護施設の特色や内情に詳しく、データベースを用いて全国の介護施設を無料でご案内できます。

お電話やLINEにて条件や要望をお伺いし、ご希望に沿う介護施設のご紹介やご見学の手配が可能です。また、見学する際に見るべきポイントや、確認しておきたい事項など、プロならではの視点でご入居までサポートします。「介護施設に直接連絡したらしつこい営業にあった」という事も防止できます。

LIFULL介護を活用することで、老人ホームへの入居支援の業務負荷を削減できます。ケアマネジャー本来の業務効率を向上させ、より良い介護サービスの提供につなげていただきたいと思います。

▼調査概要

対象データ:2023年4月1日〜2024年4月22日に寄せられたLIFULL 介護の入居相談、問い合わせデータより、相談者がケアマネジャーであるもののみを抽出して集計

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