ボロボロの家が、誰かを救うー「空き家」で社会貢献する、再生請負人たちに話を聞いた

ここ数年、深刻化してきている空き家問題。超高齢化や人口減少などの影響から、空き家の数は年々増え続けています。

そうした空き家問題に対し、全く新しい手法で解決に導いているのが、株式会社ベル。全国の空き家を魅力ある資産へと再生し、その物件を賃貸住宅がなかなか借りられない住宅弱者に提供するという、これまでにない社会問題解決型の不動産投資事業を行っています。

住むことも売ることもできず、放置したままになっている空き家のオーナー、そして家が借りられず困っている住宅弱者……。両者がハッピーになる空き家再生事業とはどんなものなのか? 日本が抱える空き家問題の実態とともにお伝えしていきます。

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今回のtayoriniなる人
礒崎和彦さん
礒崎和彦さん 株式会社ベル・代表取締役。神奈川県藤沢市出身。中央大学商学部卒。米モンタナ州立大学 会計、税務、法律、監査等の関連単位取得。大学卒業後、株式会社リクルートにて新規営業に従事、事業部トップの営業成績を残す。その後IT業界に転職、営業、会計、IT関係の分野でキャリアを積む。2006年11月に独立し、資金も経験もない中でまずは自力で生き抜く精神力を身につけるべくインターネット事業に着手。その傍ら、より良い不動産投資とは何かを10年間模索する。その結果、空き家を再生し、住宅弱者に提供するという社会問題解決型不動産投資の事業を確立させる。数々の空き家物件を魅力ある資産に転換させた経験をもとに、空き家再生コンサルタントの育成にも励む。
吉田理さん
吉田理さん 合同会社いい空間・代表社員。早稲田大学卒。欧州系生命保険会社を退職後、紆余曲折を経て空き家再生ビジネスに特化した不動産投資に成功。その手法を投資家に教える投資教育会社を経営。空き家問題や住宅弱者問題解決のため、契約に基づく提携ではなく純粋に「志」を一にする心のアライアンス仲間を増やし、空き家問題をより大きな規模で解決するため奔走中。
橋本岳さん
橋本岳さん 空き家再生コンサルタント。会社員の傍ら、不動産投資をスタートさせ、マンションやアパート経営を手がけるように。2019年6月より、ベルにて社会問題解決型不動産投資を習得するコンサルティング生になり、空き家投資を始める。これまでに15軒の空き家を再生し、高利回り資産を生み出す。高齢者やシングルマザー、保護猫・保護犬といった多頭飼いの飼育者など住宅弱者になりがちな人たちの力になりたいと空き家再生に力を注ぐ。

全国の空き家数は過去最高の846万戸に

まず日本全国にどれぐらい空き家があるのか? その実態からお伝えしていきましょう。

総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、平成30年(2018年)の全国の空き家数は過去最高の846万戸に。これまでの調査でも右肩上がりで増え続けていますが、前回の平成25年(2013年)の調査から比べると、26万戸も増加しています。

出典:総務省統計局「平成 30 年住宅・土地統計調査」

また、すべての住宅数に占める空き家の割合(空き家率)についても13.6%という結果となり、こちらも過去最高となっています。

空き家というと、住むことができないようなボロボロの家を想像しがちですが、実際には新築の借り手や買い手が見つからない、賃貸用・売却用の住宅も含まれます。空き家と一口に言っても、様々な種類があるのです。

<空き家の種類>

1.賃貸用住宅

2.売却用住宅

3.二次的住宅(別荘や保養所など)

4.その他の住宅

4つ目の「その他の住宅」が、いわゆる居住者の死亡などにより、長期不在になっている住宅のこと。近年、空き家問題として取り沙汰されている、長年放置されたままの空き家がこの「その他の住宅」に当てはまります。

総務省の調査によると、平成30年(2018年)時点で「その他の住宅」の数は347万戸となり、前回調査の5年前と比べて29万戸増加。急速なペースで増え続けています。

「売れない・貸せない・壊せない」。三重苦の空き家を再生

なぜ、そうした空き家が増え続けてしまうのか?

その大きな要因として、高齢になった居住者が老人ホームなどの介護施設に転居、あるいは亡くなったことで、空き家として残ってしまうということが挙げられます。その家を相続した子どもが移り住んだり、定期的に管理ができたりすればいいのですが、すでに遠方に自宅を所有していて、足を運ぶことすら難しいという人も多いようです。

売却しようにも築年数が古すぎて売れないし、リフォームして賃貸物件にするにも多額のお金がかかる。かといって壊すと解体費用がかかり、固定資産税も上がってしまう――。まさに「売れない・貸せない・壊せない」の三重苦に陥り、そのまま放置してしまうケースも数多くあります。

長年、空き家を放置しておくと景観の悪化のみならず、倒壊や放火・不法侵入などの犯罪の温床になる危険性も。周辺住民に深刻な被害をもたらしかねません。

そうした様々な問題を抱える空き家に着目し、魅力的な資産へと再生しているのが株式会社ベル。一戸建ての空き家を中心に再生し、住宅弱者に低賃料で提供するという、これまでにない全く新しい形の不動産投資ビジネスで社会問題を解決に導いています。

代表取締役の礒崎和彦さんによると……。

「今、日本が抱えている住宅の問題には、『空き家の増加』とともに、『住宅弱者問題』があります。高齢者や障がい者、外国人、母子家庭、そのほか生活に困窮している人など、部屋を借りたくても入居を断られてしまう住宅弱者が増え続けています。

そうした行き場のない人たちに再生した広い一軒家を『地域で一番安い賃料』でお貸しする。最も低賃料だからこそ、入居者に喜ばれ、長く住み続けてもらうことができます。結果的に2つの社会問題を同時に解決することにつながるのです」

空き家を再生し、住宅弱者に提供するというこれまでにない社会問題解決型・不動産投資事業を確立させた株式会社ベル・代表取締役の礒崎和彦さん

なぜ、地域で一番安い賃料が実現できるのか?

空き家を再生するには、多額のリフォーム代がかかる印象がありますが、なぜ地域最安値の家賃を実現できるのでしょうか?

それはベル独自のノウハウで、「リフォーム代を大幅に抑えられていること」が要因としてあります。

空き家の多くは長年人が住んでいないことから老朽化が激しく、大幅なリフォームが必要となりますが、ここで通常のマイホームのリフォームを手がける施工業者に見積もりを依頼すると、高額な料金が提示されることも少なくありません。

リフォームはマイホーム用ではなく、あくまで「賃貸物件」として貸すことが目的のため、自宅のようにデザインや最新設備にこだわる必要はなく、内装も設備もある程度の機能性があれば十分と言えます。

そうした「賃貸仕様」に施工してくれるリフォーム業者を探し出し、必要箇所のみを修繕依頼することで金額を抑えることが可能になるのです。

「リフォーム業者にお願いして金額を下げてもらうというやり方では無理がありますし、大幅なコスト削減までは至りません。余分なコストを省きつつ、相手先にもしっかりと利益を得てもらうためにも、依頼する私たち自身がリフォームに関する知識を持っておくことが重要です。

たとえばフローリングや畳、壁紙の張り替えをする場合、単価がどれぐらいなのか相場を把握しておく。さらにリフォームが必要な箇所を見極め、その部分だけを工事してもらう。そうすることで、低価格のリフォームが可能となります」(礒崎さん)

一戸建ての場合、床、壁、天井など張り替えて内装を綺麗にするだけなら、30万ぐらいに抑えられるそう。ベルでは、そうした空き家再生の知識やノウハウを持つコンサルタントを育成し、現在、全国に180人ものコンサルティング生が在籍していると言います。

どんなにボロボロでもリフォームで美しくよみがえる

同社でノウハウを習得し、実際にいくつもの空き家物件を再生してきた吉田理さんと橋本岳さんは、現場での実体験についてこう語ります。

「まず不動産情報で売りに出されている戸建て物件の中からなかなか買い手のつかない、いわば空き家となっている物件を探し出し、現地に見学に向かいます。中にはかつて居住していた人の家具や荷物が手つかずのままになっていたり、悪臭が漂うようなゴミ屋敷になっていたりするものもあります。

この仕事を始めた当初は、そのような見るに堪えない状況に心が折れそうになりましたが、リフォームによって部屋が綺麗によみがえる経験を積んでいくうちに、ますますやりがいを感じるようになりましたね」(吉田さん)

空き家再生のスペシャリストとして活躍する吉田理さん

「私も最初はあまりのボロボロの状態に驚きましたが、一軒、乗り越えられると自信が湧いてくるというか(笑)。以前、千葉県にある空き家を手がけましたが、その家もかなり老朽化していて酷い状態でした。

オーナーさんは一級建築士で、リフォームに1000万円以上かかるので修繕を諦め、売りに出されました。しかし、全く買い手があらわれず、長年物件が放置されていたところを私が購入しました。学んだノウハウを使うことで、修繕費用は1000万円どころか、240万円で済み、入居者に低賃料で貸すことができました」(橋本岳さん)

空き家再生のスペシャリストとして活躍する橋本岳さん

こちらが放置されてそのままになっていた空き家のリフォーム前と後の写真。床も壁も傷みが激しく、手の施しようがないほどボロボロになっていた部屋が、リフォームや修繕工事によって美しく生まれ変わりました。

リフォーム代を払わずして、家賃収入の一部が手元に

ベルでは、空き家物件を購入して再生するほか、“物件を購入しない”形で再生する方法にも力を入れています。その方法は、リフォーム代を再生コンサルタントが全額負担する代わりに家賃収入を物件オーナーとシェアする、「シェアリングエコノミー型不動産投資」です。

家賃収入は、基本的にコンサルタントとオーナーで折半する形で、家賃が月5万円だとすると、オーナーにはその半額の2万5千円が入ります。東京都内の空き家物件の場合は家賃が10万円台になることもあり、毎月ある程度の金額がオーナーのもとに入ってきます。

「老朽化が激しく、修繕費用が大幅にかかる場合はオーナー様に分配する家賃収入は2、3割になる可能性もあります。ただ、それでも固定資産税分を賄えるぐらいの収入になるかと思います。

相続した家を売るか売らないかで、兄弟姉妹の間で揉めるケースもよく聞きますが、定期的な家賃収入が見込めるとなれば、そうした揉め事もなくなるでしょう。何より気がかりだった空き家の問題から解放されるとともに、思い入れのある実家を残すことにもなるので、オーナー様やそのご家族にも満足していただけると思います」(橋本さん)

とはいえ、空き家をリフォームして再生したとしても、入居者がすぐに集まるのか気になります。それに対し、礒崎さんはこう強調します。

「綺麗にリフォームしただけに家賃を高く設定したくなりますが、そこはあえて地域最安の賃料にこだわります。さらに年齢や国籍、ペットの有無などで入居の制限を設けず、どなたでもウエルカムにしていることで必然的に人気の物件となります。駅前の不動産屋さんで募集をかけると即座に埋まることも多いです。これは不動産屋さんにとってもメリットが大きいんですね。というのは、これまで年齢やバックグラウンドのせいで断らざるを得なかった入居希望者にも案内ができることで、断るストレスもなくなりますし、入居者からも大変喜ばれるからです」

実際、入居者からの感謝の声は現場のコンサルタントのもとにも度々聞こえてくるそう。

「入居されたシングルマザーの方から、『自分が探していた条件でこれだけ家賃が安くて広くて綺麗な部屋は他にはありませんでした。一軒家だから子どもが走り回っても泣いても、周囲への騒音を気にすることなく安心して暮らせます。本当にありがとうございます』と涙を流されていて、私も思わずもらい泣きしてしまいました」と橋本さん。

動物愛護活動に携わる人も積極的に応援していて、「保護猫を数十匹も育てているような多頭飼いの人も入居OK」だと言います。

「そうしたボランティアに励んでいる方を受け入れることで、今問題になっている動物の殺処分を食い止めることにもなります。社会貢献につながるからこそ、多くの人がこの空き家再生事業に共感して情報を広げてくれる。いい循環が生まれていると感じますね」(橋本さん)

自己流や相談先を間違えると負債を抱える危険性も

ただ、入居の制限を設けず、どんな人も受け入れるということは、家賃滞納もあり得るのではないかと不安もよぎります。

それについても、「入居時に賃貸保証会社との契約を条件としているため、万が一滞納があった際には保証会社からの立替が可能」だと言います。

「家賃滞納は、むしろ身の丈以上の高額な家賃を支払っている方に多く見受けられます。逆に、最も安い家賃の住居を探して入居される方というのは、お金の面でも生活の面でも堅実できちんとした方が多いんですね。

この家を借りられなくなったら他に選択肢がないということをよくわかっているからこそ、信用を落とすような行為はされませんし、長年大事に住み続けていただけます。その結果、空室のリスクもなくなり、長期的かつ安定的な家賃収入が見込まれるわけです」(吉田さん)

空き家オーナーの中には、「この家をなんとかしなければ!」と、数百万~1000万もの多額のお金をかけてリフォームする人もいるそう。でも、結局売却できなかったり、賃貸しても赤字になってしまったりと負債を抱えてしまうケースも多いと言います。

「空き家問題が話題となり、様々な会社が空き家再生事業に乗り出していますが、蓋を開けてみると修繕箇所の少ない、比較的綺麗な物件のみ取り扱うところも多かったりします。でも、私たちはたとえボロボロになってしまった家屋でも一切断らず、すべて再生しようという気概と、他にはないノウハウを持っていると自負しています。

自己流で空き家のリフォームを進めてしまったり、相談する相手を間違えたりすると負債を抱えることにもつながりかねません。時間が経てば経つほど建物は劣化していきますし、家賃収入を得るチャンスもどんどん先送りになってしまいますので、一刻も早く相談に来ていただきたいですね」(橋本さん)

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〇株式会社ベル

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撮影:佐々木睦

伯耆原良子
伯耆原良子 インタビュアー、ライター、エッセイスト

日経ホーム出版社(現・日経BP社)にて編集記者を経験した後、2001年に独立。企業のトップから学者、職人、芸能人まで1500人以上に人生ストーリーをインタビュー。働く人の悩みに寄り添いたいと産業カウンセラーやコーチングの資格も取得。12年に渡る、両親の遠距離介護・看取りの経験もある。介護を終え、夫とふたりで、東京・熱海の2拠点ライフを実践中。自分らしい【生き方】と【死に方】を探求して発信。

Twitter@ryoko_monokakinotenote.com/life_essay 伯耆原良子さんの記事をもっとみる

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