特別養護老人ホームと養護老人ホームの違い

特別養護老人ホーム(略称:特養)は、中~重度の介護を必要とする高齢者が対象の介護施設です。一方、養護老人ホームは、介護の必要性に関係なく環境的・経済的に在宅で生活することが困難な高齢者を対象としています。名称がよく似ていてわかりづらいですが、そのなりたちや目的、入所基準は大きく違います。その違いを詳しく見ていきましょう。 老人ホーム・介護施設を探す

それぞれの施設の歴史的な成り立ち

歴史的には、1929年(昭和4年)に制定された救護法において、老衰、疾病、貧困などのため生活できないものを保護する施設として作られた「養老院」が養護老人ホームの始まりです。戦後、日本国憲法が制定され、第25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」のもとに生活保護法が定められ、戦前の「養老院」が保護施設となりました。その後、老人福祉法が制定された昭和38年に老人ホームが規定され、養護老人ホームの類型としてできたのが特別養護老人ホームでした。特養は、これまでの養護老人ホームの対象者のなかでも要介護者の介護をすることを主な目的として作られました。

特別養護老人ホームと養護老人ホームを比較した表は下記の通りです。

特別養護老人ホーム 養護老人ホーム
施設の目的 中~重度の要介護高齢者が身体介護や生活支援を受けて居住する施設 生活環境や経済的に困窮した高齢者を養護し、社会復帰させる施設
入所基準 (原則)要介護3以上 自立した高齢者
サービス内容 身体介護を中心とした自立支援 食事の提供、健康管理を含む自立支援
設備 居室、浴室、トイレ、食堂など
居室タイプ 個室/多床室
費用 入居一時金:なし月額費用:8~13万円 入居一時金:なし月額費用:0~14万円
入居難易度 入居待機者が多く数ヶ月以上待つ場合がある。 市区町村が対象者の調査を行い入居を決定

以下より、2つの施設の違いをくわしく解説します。

施設の目的

特養は身体的または精神的に障害があり介護を常に必要とする高齢者が、自宅で介護を受けられない場合に、介護を受けながら生活を送るための施設です。そのため、施設の主な目的は高齢者の「介護」です。特養は介護保険サービスの施設であり、介護保険を利用して生活を送ります。
一方、養護老人ホームは介護保険サービスの施設ではありません。養護老人ホームは環境上の理由、経済的理由で困窮した高齢者が、自立した日常生活を送り、社会活動に参加できるようにするための施設です。そのため、施設の主な目的は高齢者の「養護」であり、本人の社会復帰を支援します。
このような違いから、特養では施設と本人が「契約」して入所しますが、養護老人ホームは市区町村が本人の調査を行い、入所の必要性があれば「措置」として入所が決まります。

入所基準

特養も養護老人ホームも、原則として65歳以上の高齢者を対象とし、一定の健康状態を満たしていることが条件です。
なかでも特養は、要介護3~5に認定されていることが条件です。ただし要介護1・2であっても、平成27年4月より前から入所している場合や、やむを得ない事情があると認められた場合には入所できます。
一方養護老人ホームは、環境上の理由や経済的理由で困窮していることが条件です。環境上の理由とは、身寄りがないなどで、現在置かれている環境では在宅での生活が難しいことが条件になります。また、経済的理由とは、生活保護世帯や住民税非課税世帯に該当するなど、一定の経済状況であることが条件です。特養と比較すると身体的に自立された方が多いようです。

サービス内容

施設の目的から、各々の介護サービスには大きな違いがあります。
特養は介護を目的とした施設ですので、介護サービスが充実しています。食事や入浴、排せつなど日常生活に必要な介護や、機能訓練や健康管理、療養上必要な世話などを受けることができます。介護職員も常時配置されています。
一方、養護老人ホームは生活困窮者の養護が目的であり、基本的に身の回りのことは自分でできる方を対象にしています。そのため、一般に施設による介護サービスは行っていません。介護職員の配置も義務ではありません。介護が必要になった場合には、施設の相談員に相談し、外部の介護サービスを利用することになります。どのような対応がされるかは、施設によって異なります。また、介護度が重度になってくると養護老人ホームでは対応できなくなり、別の施設への転居を求められます。

費用

特養では介護度や利用する部屋、所得等によってかかる費用が異なりますが、おおよそひと月8~13万円程度で、加えて身の回りの生活費がかかります。所得が低く資産が少ない場合は、居住費や食費の軽減が受けられます。
一方、養護老人ホームは前年度の収入によってかかる費用が決まります。ひと月にかかる費用は0円~14万円です。災害を受けた場合や生活保護法の適用を受けた場合、そのほか特に負担能力がないと認められた場合には、施設の費用を減らしたり免除したりできます。

まとめ

特別養護老人ホームと養護老人ホームはその目的が大きく異なることがおわかりいただけたでしょうか。養護老人ホームは、行政の措置として入所する施設ですので、生活に困っているからといって必ず入れるものではありません。高齢で、経済的な理由などで自宅に住み続けることが難しい場合、または自宅で介護が受けられない場合など、困ったことがあればまずは地域包括支援センターに相談し、適切な選択肢をアドバイスしてもらうとよいでしょう。

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